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量子論で人間を考え直す/生命・認知・AIを貫く Quantum Thinking

© Shigeru Takeda, Courtesy of Schrodingers.jp(Photograph)

量子論で人間を考え直す/生命・認知・AIを貫く Quantum Thinking

April 17, 2026

シュレディンガーの水曜日事務局 Schrödinger

オンラインイベント「シュレディンガーの水曜日」の運営事務局です。東京工業大学・物質理工学院・原正彦研究室で始まった、WirelessWireNewsが主催するオンライン・サイエンスカフェです。常識を超えた不思議な現象に溢れた物質科学(material science)を中心に、日本の研究開発力の凄まじさと面白さを知っていただくのが目的です。

メインコーディネータ&キャスターの入來篤史先生((帝京大学 先端総合研究機構 /理化学研究所)からいただいた5月13日開催の「シュレディンガーの水曜日」の趣旨をご紹介させていただきます。


量子論は、もともとミクロな物理現象を記述する理論として生まれました。しかし近年、その考え方や数理を手がかりに、生命、認知、社会、AIの複雑な現象を捉え直そうとする試みが広がっています。もちろん、それは人間や社会を「神秘的」に説明するための便利な比喩ではありません。ここで問いたいのは、古典的な因果や確率だけでは捉えきれない、生命のゆらぎ、身体のはたらき、他者とわかり合うこと、意味が立ち上がる過程、そしてAIとの関係を、別の数理と言葉でどこまで考え直せるのか、ということです。前回の「シュレディンガーの水曜日」で示された生命と認知への視座を受け、今回はその射程をさらに「人間」へと広げます。

近代科学は、世界を対象へと切り分け、要素に分解し、因果関係を明晰に記述することで、大きな成果を上げてきました。その一方で、私たちが実際に生きている世界は、それだけでは収まりません。人はつねに環境の中に身体をもち、他者との関係のなかで感じ、迷い、解釈し、決断しています。こうした多層的で文脈依存的な営みをどう捉えるかは、哲学、認知科学、人文学、AI研究に共通する大きな問いです。最新の『認知科学』第33巻第1号特集「人文学の新しい次元:量子論のメガネで覗く」 も、こうした問題意識と響き合うものとして参照できます。

今回は、量子論と哲学のあいだに見いだされる構造的な響き合い、身体をもつAIにおける間主観性の問題、そして量子的な発想を単なる比喩に終わらせず、反証可能な研究や実機実験へどう接続するか、という論点が立ち上がります。前半の話題提供、後半の討論を通じて、量子論をただ物理学の外へ拡張するのではなく、人間を理解するための新しい記述原理としてどこまで鍛えられるのかを、参加者のみなさんと一緒に考えます。

物理や数理の専門知識は前提ではありません。生命とは何か、人間とは何か、わかるとはどういうことか、AIは他者になりうるのか。そうした問いに関心のある方にこそ、開かれた会になるはずです。前回から引き続き参加される方には、生命から人間へと議論がどう展開していくのかを追う場として、そして今回初めて参加される方には、新しい知の入口として、広くご参加いただければ幸いです。


今回は入來先生のイントロダクションを皮切りに、量子論の専門家3名から話題提供いただき、後半、いつものシュレディンガーな皆様にも参戦いただきディスカッションします。

催概要

名称「シュレディンガーの水曜日」量子論で人間を考え直す/生命・認知・AIを貫く Quantum Thinking
開催日時2026年5月13日(水) 19:00~21:00
アジェンダ
(敬称略)

イントロダクション
入來篤史:帝京大学 先端総合研究機構 AI活用部門 特任教授/理化学研究所 数理創造研究センター 量子数理科学チーム 客員研究員

入來篤史

量子計算機は人文・社会・自然科学にどのような影響をもたらすか〜量子反証可能性を軸にした実機実験によるアプローチ〜
江守陽規:北海道大学大学院情報科学研究科D3 / 理化学研究所iTHEMS JRA

専門は量子情報理論および量子基礎論。量子力学の原理に従う命題は,同じく量子力学の原理に従って動作する制御装置(系)によってのみ、真に反証する能力を持ち得るという「量子反証可能性」の概念をもとに、量子計算機による実験に関する研究を行っている。近年は,認知科学などへ応用がひろがる汎量子モデルの量子計算機による実験に興味がある。

江守陽規

量子論と哲学のあいだに見いだされる構造的共鳴のいくつかの事例:田邊元とステファン・リュパスコ
近藤和敬:大阪大学大学院人間科学研究科・教授

フランス科学認識論(エピステモロジー)を軸に、科学と数学の哲学を研究する。近年はオーソモジュラー束(OML)を手がかりとした「文脈の論理」の数理的構築と、「問題論的-実在論」の立場からの認知・社会性・歴史に関する哲学的研究を並行して進めている。

近藤和敬

量子LLMの可能性を考える:「語る言葉」と「エージェンシャル・カット」の概念を手がかりに
田中彰吾:東海大学文明研究所・所長

現象学的身体論を背景に、認知科学と哲学に関する研究を行っている。近年は、量子論から身体と言語を捉え直す、新たな存在論を構想している。

田中彰吾

ディスカッション&ラップアップ
(原正彦先生、桜田一洋先生を始めとするいつものシュレディンガーな人たちも加わります)

参加方法Zoomウェビナー(Webinar)を利用したオンラインイベントです。
お申し込みはこちらから
参加料無料
申込期限2026年5月13日 (水)の午前11時まで
主催シュレディンガーの水曜日編集委員会/スタイル株式会社

※プログラムの内容・時間などは予告なく変更となる可能性があります。ご了承ください。

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