October 8, 2026
服部 希代野 hattori_kiyono
静岡市出身。早稲田大学文学部卒業後、東京写真学園にて、写真を学ぶ。出版社スタジオ勤務後、広告、音楽関係のカメラマンのアシスタントを経て、2013年、独立。雑誌広告中心にファッション、ポートレート、フード、旅など幅広く撮影。ライフワークは民藝や道具、手仕事。
バルト海の東岸に位置し、エストニア、リトアニアとともにバルト三国を構成するラトビア。国土の半分以上を森林が占める自然豊かな国で、身近な木々を生かした手仕事が今も受け継がれている。白樺の樹皮を編んで作る工芸品も、その1つだ。
写真家の服部希代野氏は、首都リガからバスと車を乗り継ぎ、白樺細工の職人ナウリスさんの工房を訪ねた。静かな工房で、樹木と向き合うように黙々と手を動かすナウリスさん。その所作と流れる時間は、服部氏に黄昏から夜へと移ろうブルーアワーの一瞬を思わせた。白樺を編む手と、そこから生まれる工芸品に宿る静かな空気が伝わってくる。
地元の木材を使い、ものづくりをされている人に興味がある。
バルト三国に行く機会があり、調べているうちに、ラトビアの白樺の皮を使ってクラフトを作る職人を知った。
おじさんの工房を引き継いで今も制作を続けている。
工房の静かで澄んだ空気感。
できた工芸品はすべてが初めからこの形になると決まっていたことのような
運命に吸い寄せられる様な不思議な感覚がある。

国土の半分以上が森林や湿地に覆われる自然豊かな国、ラトビア。
白樺の皮を使ってクラフトを作る職人ナウリスさんに会いに行った。
リガからバスで1時間半、さらに車で20分ほど行った場所に
工房がある。

本数が少ないバスのため、近くのバス停まで、家族が迎えに来てくれた。
到着すると愛犬が迎え入れてくれた。

工房に一歩足を踏み入れるとひんやりと冷たい。
年季の入ったカゴに目がいく。
あそこに置かれるために作られたかのようなカゴだ。



木の皮を編む静かな時間。
優しく心地よい時間が流れ、楽しげなハミングが、しじまを縫うように行き渡っていく。


祈りの様な所作。
すべてが初めから決まっていたことのような、運命に吸い寄せられる様な不思議な感覚があった。








白樺細工の職人ナウリスさんが樹木と対峙する時間、自然の中で向き合う静かな時間が、ブルーアワーに重なって感じられる。
黄昏から夜にうつろうあの一瞬の息を呑むような感覚と似たものがあった。(服部希代野/写真家)
