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[2014年第14週]LINE4億ユーザーに、イオンの格安スマホ登場、ビジネスパーソンはスマホがお好き?

2014.04.08

Updated by Naohisa Iwamoto on April 8, 2014, 10:00 am JST

関東では一気に桜が満開となったこの週、モバイル関連でも多くのニュースが飛び込んできた。LINEは、世界で登録ユーザー数が4億を超え、さらなる拡大を目指す。楽天グループは店舗に来店するだけで楽天スーパーポイントが貯まるO2Oサービスを開始した。こうしたOTTプレーヤーの活躍のニュースと並んで、通信事業者65社がNTTグループの独占回帰をけん制する要望書を総務省に提出したという話題もあった。一方でイオンは格安のスマートフォンを発売し、高値で安定するスマートフォン市場に一石を投じる。

3億から4億へは4カ月、加速するLINEのユーザー取り込み

LINEは、無料通話・メッセージアプリ「LINE」の登録ユーザー数が、2014年4月1日に全世界で4億人を超えたと発表した。iPhone/Android/Windows Phone/BlackBerry/Nokia Ashaアプリ、フィーチャーフォンの総計で、3億ユーザーから約4カ月というスピードで1億ユーザーを増やし、4億人を超えた。同社ではユーザー数の増加とともにLINEによるコミュニケーション量も増加しているとしており、2014年に入って以降、全世界での1日のトーク送受信数は100億件、同スタンプ送受信数は18億件、同通話回数は1200万件以上と、過去最大値を記録しているという(報道発表資料:LINE、登録ユーザー数が世界4億人を突破)。

登録ユーザー数の推移グラフ
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LINEは、着々とサービスを拡大し、成長基調の確保を目論む。固定電話などへも音声通話ができるLINE電話のサービスを3月17日に開始し、コミュニケーションの機会を増加。またスマートフォンECサービス「LINE MALL」では、販売手数料の無料化とiPhone版の公開を行った3月6日から19日までの2週間で、100万件を超える新規ダウンロードと10万点を超える新規出品数を記録したというアナウンスもしている。3月31日にはスマートフォンのホーム画面を着せ替えできる「LINE DECO」のサービスも開始し、LINEのエコシステムにユーザーを取り込む施策の展開を加速させている(報道発表資料:LINE、スマートフォンのホーム画面"着せ替え"アプリ「LINE DECO」を公開)。

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65社が総務省に要望書、イー・アクセスが4Gトライアル

通信事業者関連のニュースを見ていこう。移動体通信事業者、固定事業者、CATV事業者、DSL事業者、ISP事業者、MVNO事業者など65事業者・団体は、連名の要望書「2020年代に向けた情報通信制作の在り方に関する検討について」を総務大臣に提出したというニュースがあった。その内容は、2月に諮問された「2020年代に向けた情報通信政策の在り方―世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及と発展に向けて―」の検討に関して、「複数の報道で総務省がNTTにグループに対する規制を緩和する方向で検討を始めたとされている」ことを受け、NTTグループの独占回帰につながる政策見直しに反対するものであるとする(関連記事:NTTグループに対する規制緩和をけん制 65事業者・団体が総務大臣に要望書を提出)。

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ヤフーによる買収の話題で持ちきりのイー・アクセスだが、技術面で存在をアピールするアナウンスもあった。同社は、1.7GHz帯と3.4G〜3.6GHzを用いた実験試験局免許を総務省に申請した。1.7GHz帯ではFDD方式を、3.4G〜3.6GHz帯ではTDD方式と、異なる方式を用いた第4世代(4G)移動通信システムの評価を行う。FDDとTDDを組み合わせキャリアアグリゲーションの実験で、免許を取得すれば日本初の実験となると同社は説明する。両帯域の合計5波により、FDDとTDDが混在したキャリアアグリゲーションの検証を行う計画だ。実験は、実験試験局免許の取得後、2014年5月から7月にかけて実施する。試験局は埼玉県内に設置する(関連記事:イー・アクセス、TDDとFDDを組み合わせたキャリアアグリゲーションの試験局免許を申請)。

キャリアが取り組み技術としては、「SDN」(Software-Defined Network)および「NFV」(Network Functions Virtualization)も注目されている。IDC Japanは、SDNとNFVの国内市場動向の分析結果を発表し、SDN、NFVは期待を抱く段階から、現実のネットワーク環境に適用する段階に入ってきていると分析している。これらの市場規模は、先行するデータセンターSDNが前述の通り2017年に342億3400万円に達すると予測する。また、キャリアSDN、NFVは、2016年以降の急速な立ち上がりを予測しており、2017年にはSDNが366億5600万円、NFVが560億4900万円に達すると見る(関連記事:SDN、NFVの国内市場、データセンター向けは2014年に、キャリア向けは2016年に立ち上がりを予測--IDC Japan)。

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イオンは2980円スマホ、楽天グループはO2O

エンドユーザーに直結するニュースを3本紹介する。イオンは、日本通信との協業により月額2980円(税抜き、以下同)と低料金で使えるスマートフォン「イオンのスマートフォン」を発売した。全国限定8000台で、イオンなど約170店舗で販売する。イオンのスマートフォンは、端末としてGoogleの3Gスマートフォン「Nexus 4」(LG電子製)を、通信サービスとして日本通信のb-mobileを利用したもの。Nexus 4の端末代金は、月額1420円の24回払い(端末代金総額は3万4080円)、通信サービス料金は月額1560円。これらの合計の月額2980円でスマートフォンを利用できる。料金には、通信速度が最大200kbpsで使い放題のデータ通信サービスが含まれる(関連記事:イオン、2980円から使える「イオンのスマートフォン」を4月4日発売)。

イオンのスマートフォン
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楽天グループのスポットライトは、O2Oサービス「楽天チェック」の提供を開始した。楽天チェックは、店舗に立ち寄るだけで楽天スーパーポイントが貯まるなどのO2Oサービス向けの機能を備える。楽天チェックのアプリは、iPhone向けとAndroid向けにいずれも無料で提供する。アプリ内に表示された店舗に出向き、指定されたエリアでチェックインボタンを押すことで、楽天スーパーポイントが貯まる。4月2日時点の参加ブランドは「紳士服はるやま」「ジョーシン」「日比谷花壇」など30社以上の61ブランドで、利用できるのは全国1112カ所に上る(関連記事:来店でポイントが貯まるスマホアプリ「楽天チェック」、61ブランドの店舗で運用開始)。

ソフトバンクモバイルは、1月24日に発表したスマートフォン向けの"新定額サービス"に改定を加えた上で、4月21日にサービスを開始する。サービス名称は「スマ放題」。定額対象となる通話の1回あたりの時間制限を延長するなど、当初の発表内容よりも使いやすくした。発表当初の内容では、定額に含まれる音声通話の1回あたりの時間が短く、さらに超過した場合の通話料金が主流の通話料金よりも割高であることなどから、既存のプランよりも割高になる可能性などを指摘されていた。今回、「発表後にお客さまからいただいたさまざまなご意見を踏まえ、内容を改定すること」としたという(関連記事:ソフトバンク、"新定額サービス"に通話時間を伸ばすなどの改定を加え、「スマ放題」として4月21日に開始)。

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クラウド型PBXソリューションの提供、ビジネスパーソンは7割近くがスマホ所有

法人のモバイル活用に関連するニュースを紹介する。NTTコミュニケーションズは、従来型のPBXやビジネスホン主装置を使わずにPBX機能と内線機能を実現するクラウド型PBXサービス「Arcstar Smart PBX」の提供を開始した。PBXなどの機能をクラウド化することで、設備の購入費用、保守・メンテナンス費用が不要になるほか、柔軟な運用ができるようになる。スマートフォンに専用のアプリをインストールすれば、スマートフォンで通話料無料の内線通話が可能になる。またデバイスフリー、アクセスフリーであるため、BYODの実現にも貢献できるという(報道発表資料:企業内のPBXやビジネスホンが不要となるクラウド型PBXサービス「Arcstar Smart PBX」を提供開始)。

スマートフォン用アプリケーションの画面イメージ
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MMD研究所は、「ビジネスパーソンのデバイスに関する調査」を実施し、結果を公表した。3月27日〜30日にかけて実施した調査で、有効回答は4414件。20歳から49歳のビジネスパーソンに所有しているデバイスを尋ねたところ、「スマートフォン」が67.2%、「フィーチャーフォン」が31.1%と、すでにスマートフォンが3分の2を超える利用率を示した。タブレットの所有率は27.9%だった。会社から業務用にフィーチャーフォンまたはスマートフォンが支給されているという回答は全体の22.2%。支給されている端末ではフィーチャーフォンが12.5%と最も多く、iPhoneが4.3%、iPhone以外のスマートフォンが3.6%だった。スマートフォンは会社が支給するのではなく、BYODでの活用を模索する法人の姿が透けて見える(報道発表資料:ビジネスパーソンのスマートフォン所有率は67.2% 、タブレット端末所有率は27.9%)。

昨年の第14週のできごと

・携帯電話は約160万件の大幅純増、11月から「070」を携帯にも
・イーモバで通信障害、NTTグループのモニター調査が中止に
・Google日本語入力が正式版に、LINEはスペインで1000万突破

[2013年第14週]3月の携帯は大幅純増、携帯でも「070」、イーモバで通信障害

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。