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ドコモ、5Gの構想を展示、M2Mプラットフォームなどのグローバル展開も

2014.02.27

Updated by Naohisa Iwamoto on February 27, 2014, 07:59 am JST

NTTドコモはスペイン・バルセロナで開催されているMobile World Congress 2014(MWC 2014)に出展し、5Gのリアルタイムシミュレーターを展示、5Gへのマイグレーションの構想を示した。M2Mプラットフォーム、ドコモのコンテンツサービスのグローバル展開に向けた展示もあった。

ドコモは5Gへの要求条件として、「1000倍のキャパシティ」「10~100倍のデータ通信速度」「100倍の端末収容」「1ミリ秒以下の遅延」「省エネ&コスト削減」の5つを掲げる。そのための1つの技術的解として10GHz以上の高い周波数帯で1000MHz帯域といった広帯域を確保してピークレートの向上を目指す。高い周波数では電波の到達距離が短くなるため、スモールセルを多く配置するなどの方策と、低い周波数のマクロセルを組み合わせる。ブースでは、新宿の街路で現行マクロセルのLTEとスモールセル+マクロセルの5Gで通信状況をシミュレーションした様子を示した。5GのトータルスループットはLTEの1200倍、1Gbps以上の高速通信が可能な端末が9割に上るという結果である。2020年の商用化を目指す。

▼画面上部が5GE、画面下部が現行LTEのシミュレーション結果。赤い部分が1Gbps以上を得られるエリア20140226_docomo001.JPG

サービスのグローバル展開についての展示もあった。1つがドコモM2Mプラットフォームの海外展開。国内では豊田市で実施されている電気自動車のカーシェアリングサービス「Ha:mo RIDE」にすでに利用されているもので、ドコモのネットワークを使って電気自動車の予約、施錠管理、バッテリーや位置などのデータ収集を行う。ドコモM2Mプラットフォームは建設機械や自動販売機の遠隔管理、コンシューマ向け機器の保守管理などに利用できるもので、これをグローバルに展開する。まず、日本企業のグローバルサービスのプラットフォームとしての採用を進める。世界の通信事業者8社からなる「M2M World Alliance」の連携を利用し、海外では現地事業者のSIMを使ったサービスを提供できるようにしたり、SIMに無線で事業者情報を書き込めるEmbedded SIMの導入を推進するなどして、利用の広がりを目指す。

▼Embedded SIMのデモ。ドコモの回線を使っていた状態(右)から、テレフォニカへと無線で切り替わった(左)様子を示していた20140226_docomo002.JPG

コンテンツサービスでは、中国ですでにサービスが提供されている「dゲーム」、フランス、台湾でトライアルが実施された「dアニメストア」の展示もあった。海外のパートナーを発掘し、それぞれの国の文化や宗教、習慣にあったサービスの提供につなげたいという。日本の文化の海外への発信に寄与することになりそうだ。

▼dアニメストア、dゲームのグローバル展開で日本文化の輸出に貢献20140226_docomo003.JPG

このほか、国内でサービスが始まるペットケアサービス「ペットフィット」、着るだけで生体情報をモニターできる機能素材「hitoe」を使ったウエアなども展示され、来場者の関心を集めていた。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。