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ソフトバンク、フルセグ対応など4機種のスマホを含む少数精鋭の夏モデルを発表

2013.05.07

Updated by Naohisa Iwamoto on May 7, 2013, 20:26 pm JST

ソフトバンクモバイルは2013年5月7日、都内で発表会を開催し、2013 夏モデルの新製品と新サービスを発表した。SoftBankスマートフォンは少数精鋭の4機種ながら、地上デジタル放送の12セグメント放送(フルセグ)に対応するモデルを2機種投入するなど意欲的な製品が目に付く。またヘルスケア分野でのサービスの開始も発表した。

登壇したソフトバンクモバイルの孫正義社長は、「ソフトバンクのユーザーは世界でもっともスマホ化が進んでいるユーザーで、世界で最も早くスマホ時代のネットワークを考えてきたのがソフトバンク」と語り、高速データ通信網が詰まってしまう"パケ詰まり"の解消に力を入れていることをアピールした。

▼基地局をクラウド化させる「SFN」について説明する孫社長20130507_softbank001.jpg

孫社長は、ソフトバンクモバイルでは、つながりやすさのため、3つの策を講じていると言う。1つは「小セル化」で、1つの基地局でまかなうユーザー数をできるだけ少なくする。小セル化を進展させる新技術として基地局をクラウド化させる手法を、AXGP方式の「SoftBank 4G」で導入しているという。SFN(Single Frequency Network)と呼ぶもので、複数の小セルの基地局を1つの制御装置でコントロールすることで、基地局間の干渉を取り去る。2つ目は「Wi-Fi化」で、認証時間を早められるSIM認証方式を導入したほか、不安定な弱電接続を制御してあるしきい値以下のWi-Fi電波強度ならば3G/LTEにつなぐ制御を世界で最初に採用したと語る。3つ目は「ダブルLTE」の導入で、ソフトバンクの2.1GHzのLTEと、イーモバイルの1.7GHzのLTEを、1台のiPhoneで使えるようにした。

こうした施策により、ソフトバンクモバイルのネットワークが「つながりやすくなった」ことを第三者機関の調査結果で示した孫社長は、「ソフトバンクはスマホ時代のつながりやすさNo.1。このネットワークを活用する端末を紹介する」と夏モデルをお披露目した。

SoftBankスマートフォンは4機種の少数精鋭

夏モデルで新しく発表したスマートフォンは、地上デジタル放送の12セグメント(フルセグ)の受信が可能な最上位機種が2機種、コンパクトで使いやすさを重視したモデルが2機種の合計4機種だった。いずれも、孫社長がつながりやすさNo.1をうたう「SoftBank 4G」に対応する。

▼ソフトバンクの夏モデルラインアップ20130507_softbank002.jpg

●AQUOS PHONE Xx 206SH(シャープ製)
スマートフォン初のフルセグ対応のフラッグシップモデル。ディスプレイは5.0インチでフルHD(1080×1920ドット)の「S-CGSilicon液晶システム」を採用し、フルセグを含めた映像や画像コンテンツを大画面で楽しめる。CPUは1.7GHzクアッドコアの「APQ8064」を搭載、下り最大76Mbpsの通信が可能な「SoftBank 4G」と併せて、高速な処理が可能。バッテリーは3080mAhの大容量タイプを採用し、2日間を超える使用に耐えるという。1310万画素のセンサーをメインカメラに採用するとともに、F1.9の明るいレンズを搭載して暗い所などでの手ぶれを防ぐことができる。フルセグに加えてワンセグにも対応、おサイフケータイ/NFC、赤外線通信、防水の各機能を備える。OSはAndroid 4.2。

●Arrows A 202F(富士通モバイルコミュニケーションズ製)
AQUOS PHONE Xx 206SHと同様、フルセグに対応したフラッグシップモデル。5.0インチのフルHD(1080×1920ドット)ディスプレイは、ディスプレイ中の空気層をなくしてクリアに見える「Super Clear Panel」と、映像の色合いを最適化する「高性能映像処理エンジン」の採用で、美しい映像を再現する。1.7GHzクアッドコアCPUの「APQ8064」と、下り最大76Mbpsの通信が可能な「SoftBank 4G」で、動きの速い動画でも快適に視聴できる。バッテリーは3020mAhの大容量タイプで、2日間以上の利用を可能にした。カメラは1310万画素の高画素タイプを採用。背面の「スマート指紋センサー」や、指定した情報を非表示にする「プライバシーモード」でセキュリティも高めた。フルセグに加えてワンセグにも対応、おサイフケータイ/NFC、赤外線通信、防水/防塵の各機能を備える。OSはAndroid 4.2。

●AQUOS PHONE ss 205SH(シャープ製)
コンパクトなボディーとラウンドフォルムで持ちやすく操作しやすいスマートフォン。ディスプレイは4.0インチ(480×854ドット)で、横幅を持ちやすい60mmに抑え、女性でも片手で操作しやすくした。コンパクトながら放射線測定機能を備え、前モデルの107SHに比べて2分の1の短時間で放射線を測定できるように進化した。CPUは1.5GHzデュアルコア、OSはAndroid 4.1、2080mAhのバッテリーを搭載、下り最大76MbpsのSoftBank 4Gに対応する。カメラは1310万画素、音声でシャッターを切る「Voice Shot」機能を備える。ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信、防水の各機能も備える。

●DIGNO R 202K(京セラ製)
防水スマートフォンとして世界最軽量の94gを実現したコンパクトモデル。4.3インチのHD液晶(720×1280ドット)を搭載しながら、幅を60mmに抑えて持ちやすさを追求した。ディスプレイ全体が振動して音を伝えるため騒音が多いところでも聞き取りやすい「スマートソニックレシーバー」を搭載する。CPUは1.5GHzデュアルコアを搭載、下り最大76MbpsのSoftBank 4Gに対応する。バッテリーは1800mAhで、アプリの利用状況を判断して不要な通信を停止する「オート通信制御」などにより長時間利用に対応する。カメラは810万画素。ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信、防水/防塵の各機能も備える。OSはAndroid 4.2。

マルチバンドのモバイルルーターやみまもりケータイも

SoftBankスマートフォン以外にも、夏モデルの新製品を発表した。今回の発表会で初披露したのは、モバイルルーターの「Pocket WiFi 203Z」、防犯ブザー付きケータイの「みまもりケータイ3 202Z」、ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンクのスマートフォン「DM015K」の3機種。この他、4月に発表済みのシニア向けスマートフォン「シンプルスマホ 204SH」、発売したばかりのGPS端末「みまもりGPS 201Z」も含めて夏商戦のラインアップとして紹介した。

●Pocket WiFi 203Z(ZTE製)
下り最大110Mbpsの「SoftBank 4G」(2.5GHz帯)だけでなく、エリアが広いソフトバンクの「ULTRA SPEED」(1.5GHz帯)、イー・アクセスのLTE(1.7GHz)にも対応するモバイルルーター。回線自動切り替え機能により、ソフトバンクの公衆無線LANサービスにも自動的に接続できる。バッテリーは5000mAhとタブレット端末に近い大容量タイプを搭載。最大連続通信時間は13時間にもなるほか、スマートフォンなどの充電にも利用できる。情報はカラー液晶に表示。14台のWi-Fi機器を同時に接続して利用できる。

●みまもりケータイ3 202Z(ZTE製)
プラチナバンド対応、定型文などのメール送信機能が加わった、防犯ブザー付きケータイの第3弾。ボタン1つで音声発信と位置情報付きメールが送れる機能や、ストラップを引くだけで鳴らせる防犯ブザーといったこれまでの機能を踏襲。さらに音声通話に加えて、「わかりました」「いまからかえる」といった定型文を返信したり、録音した音声をメールで送信することもできるようになった。一定以上の速度で移動すると自動的にメールで知らせる「速度検知機能」や、設定した時間内に本体が動かなかった場合に知らせる「生活見守り機能」も搭載。セントラル警備保障提供の警備員駆けつけサービス「CSPケータイdeアシスト」にも対応する。防水/防塵性能を備える。

●DM015K(京セラ製)
キャラクターを選べるディズニー・モバイル・オン・ソフトバンクの新端末。ボディーカラーは3色で、Classic Whiteにはミッキーマウス、Sweet Pinkにはミニーマウス、Honey Yellowにはくまのプーさんのイラストが背面にデザインされる。10種類以上のディズニーのキャラクターをデザインしたスマートフォンケースから好きなものがプレゼントされ、キャラクターの顔を模したライブ壁紙と併用して楽しめる。95gと軽量ながら、スマートフォンとしての機能・性能も充実。1.5GHzのデュアルコアCPU、4.3インチHD液晶(720×1280ドット)、Android 4.2、下り最大76Mbpsの「SoftBank 4G」対応といった基本性能を備える。ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信、防水/防塵の各機能も備える。

ヘルスケア分野にも新サービス

孫社長が「クラウドを使った最先端のライフスタイルを紹介する」として発表したのが「SoftBank HealthCare」サービス。ユーザーが活動量計などのデバイスを使って計測した健康に関連するデータを、クラウドで蓄積して健康な生活の支援をするサービスだ。月額490円で各種のサービスが受けられる。

▼「SoftBank HealthCare」の第1弾として提供する活動量計「Fitbit Flex」20130507_softbank003.jpg

第1弾として提供するのは、ワイヤレスリストバンド型の活動量計「Fitbit Flex」。これを腕に着けていることで、歩数、距離、消費カロリー、睡眠時間の4つのデータがBluetoothを介してスマートフォンに送られ、クラウド上に蓄積される。それらのデータを元に、健康データのチェックができるだけでなく、今の生活習慣を続けた場合の将来の自分の顔を予測する「未来予測」や、365日24時間対応の無料健康相談サービスなどを提供する。

孫社長は、「単に端末と言う意味でのスマホだけではなく、世界最先端のスマホを世界最先端のつながりやすいネットワークで、世界最先端のクラウドを使ったサービス、この3つを提供するのがソフトバンクの最大の役割だと思っている」と語って発表会を終えた。

【報道発表資料】
2013年夏商戦向け新商品について
クラウド上に蓄積したお客さまの健康データを基に理想の体作りをサポート!「SoftBank HealthCare」を提供開始

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。