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[2011年第30週]ついに登場Windows Phone、ドコモ相次ぐ不具合、法人ソリューション続々

2011.08.01

Updated by Naohisa Iwamoto on August 1, 2011, 10:00 am JST

子供たちは夏休み真っ最中の7月最終週、ワイヤレス関連のニュースはまったく勢いが衰えることなく次々に飛び込んできた。その中でも大物はWindows Phoneが国内に登場するという発表だ。グローバルでは2010年から市場に投入されて来たWindows Phoneが、ようやく日本でも現実に利用できる端末になる。

最新の「Mango」を搭載、スマホ向け低料金SIMも登場

201108011000-1.jpg国内で初めてのWindows Phone端末はKDDIのauブランドで登場する。KDDIは、OSを提供する日本マイクロソフトと、端末を製造する富士通東芝モバイルコミュニケーションズと3社で「IS12T」を共同発表した。OSは最新のWindows Phone 7.5"Mango"で、発売は9月以降を予定している。順調にいくと、世界で初めてMangoの端末を購入できるのは日本のユーザーということになる。Windows Phone独特の、「タイル」と名付けたインタフェースを使う。タイルはアプリケーションを起動する役割だけでなく、ウィジェットのようにアプリの最新状況などが表示する役割を持つ。ハードウエア的には、幅59mmで厚さ10.6mmというスリムでコンパクトなボディーを採用。重さも113gと軽量だ(関連記事:国内初Windows Phone 7.5「Mango」搭載のIS12T、KDDIが発表

スマートフォンを使いやすくする低料金のサービスも登場する。日本通信が提供するスマートフォン向けのサービス「talking Fair」(トーキング・フェア)がそれだ。月額基本料金1290円に1365円分の無料通話が含まれ、データ通信は1GB分を単位でチャージして利用する。talking Fairは、SIMカードの製品として提供し、SIMロックフリーのiPhone 4などで使えるマイクロSIM版のサービス「talking Fair microSIM 1GBサービス」と、一般の端末で使う標準SIM版のサービス「talking Fair 1GBサービス」を用意する。一般的な月間250GB程度のデータ通信量ならば、月額に直すと4000円以下で利用できる計算だ(関連記事:日本通信、スマホ向け「音声通話+従量制データ通信」の低料金サービス)。

201108011000-2.jpgキャンペーン終了に伴う料金の刷新もあった。KDDIは、WiMAX対応スマートフォン購入者に対して、WiMAXの月額オプション料金を2カ月無料にすると発表した。9月1日から実施する。WiMAX対応スマートフォンでは、通常のパケット定額プランにオプションで月額525円の「+WiMAX」を追加することで、下り最大40MbpsのWiMAXによるデータ通信が利用できる。このオプション料金が購入から2カ月は不要になる。8月まではキャンペーンで525円分が無料だったため、その後に続く料金改定と言える(関連記事:KDDI、WiMAXスマートフォンのWiMAX月額料を2カ月無料に)。

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ドコモに相次ぐ不具合

NTTドコモは2011年7月29日、スマートフォンでiモードのメールアドレスのメールを利用するためのアプリ「spモードメールアプリ」に不具合が発生したことを明らかにした。受信したメールが意図しないフォルダに勝手に移動してしまうといった事象が確認されている。不具合が起こっているのは、2011年7月28日13時にアップデートしたspモードメールアプリの「バージョン4700」。spモードメールアプリの「バージョン3400」以前で任意のフォルダを作成していたユーザーがアプリをアップデートすると、勝手にフォルダを移動するといった不具合が生じる(関連記事:ドコモの「spモード」メール、メールが勝手にフォルダ移動する不具合が発生

それに先立つ7月24日には迷惑メール対策機能がうまく作動しない不具合も公表している。迷惑メール対策機能の設定においてシステム上の不具合が発生し、設定しているドメインが異なって登録されてしまった。事象に該当するユーザーのうち、間違ったドメインが登録されている場合には修正するよう依頼している(関連記事:NTTドコモ、迷惑メール対策機能に不具合)。

どちらも、ネットワークが止まるといった次元の話ではないが、必要なメールがゴミ箱に入ったり、届かなかったりする事象が起こる。メールは社会的なインフラの1つとなっているだけに、相次ぐ不具合の発生がユーザーのドコモブランドへの信頼を裏切ることにもなりかねない。

201108011000-3.jpgこれは不祥事ではないが、シャープは2011年7月25日、同日に開始する予定だった電子ブック端末「GALAPAGOS」の新しいシステムソフトの提供を延期すると発表した。提供時期は未定で、あらためて同社のメディアタブレットのホームページで案内するとしている。7月31日9時時点では、提供時期についてのアナウンスはなされていない(関連記事:シャープ、電子ブック端末「GALAPAGOS」のアップデートを延期)。

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伸びるスマートフォン、年度内に出荷の過半数に

201108011000-4.jpg市場動向を見るデータもアナウンスされた。矢野経済研究所が発表したスマートフォン市場に関する調査結果では、2011年度の国内スマートフォン出荷台数は2131万台で、携帯電話の出荷台数の過半数を占めると予測している。キャリアーの主力商品になったことに加えて、国内外の主要メーカーがスマートフォンをラインアップしていることなどを理由に挙げている。一方、グローバルのスマートフォン市場では、2011年度には前年比163.4%の4億8374万3000台の出荷を予測している(関連記事:2011年度の国内スマートフォン市場は2131万台へと急伸--矢野経済研究所)。

201108011000-5.jpgスマートフォンの活用範囲の広がりを感じさせるニュースもあった。クアルコムとルネサンス高等学校は、スマートフォンを利用したデジタル教科書を使った通信教育のプロジェクトを開始する。対象となる生徒にスマートフォン500台、携帯用学習コンテンツ、3Gワイヤレス接続を提供し、いつでもどこでも学習できる環境を作る。ルネサンス高校が開発したAndroid対応の英語学習アプリケーションを使って、文型や語彙、読解力を高める学習を行う。今後、理科や社会といった他の教科の学習にも活用していく計画である(関連記事:スマートフォン通信教育で高校卒業を支援、クアルコムとルネサンス高校

一方ソフトバンクは、東日本大震災の被災地の特別支援学校にiPadを貸し出すことをアナウンスしている。岩手県と福島県の特別支援学校10校にiPadを貸し出し、障がい児の学習やコミュニケーションに役立てる(報道発表資料:iPadを使った被災地の障がい児のための学習支援)。

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着々と増える法人向けのモバイルソリューション

スマートフォンや高速データ通信サービスなどを法人が活用するためのソリューションは着々とその数を増やし、実際に利用しやすいフェーズに入ってきた。

201108011000-6.jpgその1つはiPhoneをPOS端末にしようという新しい試み。フライトシステムコンサルティングは、iPhoneやiPod touchをPOS端末として利用できるようにするソリューション「POSマイスター」を8月から販売する。iPhoneには、バーコードリーダーなどの機能を備えたジャケット型の専用ケースと、同社が開発した専用アプリを導入して利用する。持ち運べる端末だけに、接客する店員がその場で決済できたり、イベント会場などで多数の決済端末を用意できたりする。店舗の接客や決済のあり方を変える可能性を持つソリューションである(関連記事:「iPhoneを可搬型POS端末に変える」--フライトシステムがソリューション)。

201108011000-7.jpgKDDIは、法人向けに提供するAndroid端末向けのセキュリティ管理サービス「KDDI 3LM Security」を、一部の顧客で8月下旬にトライアルを開始し、11月に本サービスを提供する。KDDIが前週発表したばかりビジネススマートフォン「EIS01PT」が対応を予定している。また、個人向けにも「KDDI 3LM Security」を基盤としたセキュリティサービスを2011年秋に提供する(関連記事:KDDI、法人向けセキュリティ管理サービス「KDDI 3LM Security」を11月提供)。

業務ソリューションの回線としてWiMAXを使う選択肢も登場した。サン電子は、法人向けのモバイルルーターの「Rooster-LS」(SC-RS510LS)のWiMAX対応ファームウエアを公開し、WiMAXサービスが利用できるようになったことを発表した。このアップデートによりUQコミュニケーションズおよびMVNOのWiMAXサービスを利用できるようになる(関連記事:サン電子の法人向けモバイルルーター「Rooster-LS」、UQ WiMAXに対応)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。