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米FCCで旅客機内での「携帯電話解禁」に向けた動き - 反対の声も根強く(WSJ報道)

2013.11.22

Updated by WirelessWire News編集部 on November 22, 2013, 11:54 am JST

米連邦通信委員会(FCC)が旅客機内での携帯電話利用に関して、通話解禁を含むさらなる規制緩和の提案を行う考えであることが明らかになったとWSJが報じている。

旅客機内での電子機器の利用については、10月末に米連邦航空局(Federal Aviation Administration、FAA)が、端末の無線をオフにするなどの条件付きで、離着陸時を含めた全行程ので利用を認める判断を下していた。これを受けて、さっそくサウスウエスト航空(Southwest Airlines)などの各社では、いわゆる「ゲート・トゥ・ゲート」(Gate-to-Gate )のWi-Fiサービス提供に向けた動きをみせている。ただし、機内での通話については、FCCの管轄である携帯通信網との干渉の懸念などを理由に1991年以来禁じられてきている。

FCCが予定する新たな提案では、これまで通り離着陸時の携帯電話利用は制限されるものの、高度1万フィート以上での通話やデータ通信は認めるものになりそうだという。ただし、機内での通話については依然として反対する乗客も多く、実際に利用を許可するかどうかは各航空会社の判断に委ねられる可能性もあるという。また航空会社側では旅客機と地上基地局と結ぶ通信設備を新たに用意する必要性があるとの指摘もある。

WSJによれば、FCCは2004年にも同様の提案を行ったことがあるもが、この時には機内での通話を(ほかの乗客にとって)迷惑と考える客室乗務員などから反対の声が上がり、けっきょくFCCは安全性に関する情報不足などを理由に、2007年には提案を取り下げていたという。

今後の動きについて、FCCでは12月に行われる会合のなかでこの提案について話し合うとしており、最終的な判断が出るまでには数カ月がかかると見られているという。

WSJではさまざまな関係者の反応が紹介されているが、たとえば機内Wi-Fi接続サービスを提供するゴーゴー(Gogo)という企業では、スマートフォンで通話やテキストメッセージの送受信ができるアプリを投入したところ、顧客である航空会社各社から通話機能を使えなくするよう求められたとし、「公共のスペースで大声で話すのは社会的に恥ずかしいこと」とする広報担当者のコメントが紹介されている。また乗員が加入する組合の関係者も「機内での携帯電話利用が、安全面や保安面でかなりネガティブな影響を及ぼす可能性が数多く考えられる」「緊急時に、乗客の注意を乗員からそらすようなものは望ましくない」などとして携帯電話の利用解禁に反対している。

さらにサウスウエスト、デルタ、バージン・アメリカといった各社でも、機内での通話解禁はほとんど考えていないとコメントしており、その理由についてデルタ航空では「従来通り機内通話は禁止としてほしいという顧客の声が圧倒的に多い、と説明している。いっぽう、ジェットブルーの広報担当者は「(通話禁止の)方針を見直す機会が得られることを歓迎する」としながら、「通話解禁を望まない顧客もいるかもしれないが、人の好みや望みというのは変化するもの」などとして、慎重に検討していく姿勢を示しているという。

なおWSJによると、米国では過去に機内通話サービスが提供されていたこともあったものの、サービスを利用する者がほとんどいなかったこと自然消滅に近い形になったという。

【参照情報】
U.S. To Consider Cellphone Use On Planes - WSJ
FCC to consider allowing cellphone calls on US flights, reports WSJ - The Verge
Southwest to Be First With Gate-to-Gate Wi-Fi Service - AllThingsD

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