original image: © Voyagerix - Fotolia.com
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「Moojis」はイスラエルのスタートアップ「Panimood」が作った自分の写真(セルフィー)を絵文字に変換して、各種のメッセンジャーで送ることができるアプリだ。
日本発の“Emoji”は世界で1日に60億個以上もやりとりされているという(「Emojis by the numbers: A Digiday data dump」)。笑顔や悲しい顔、ハートのマークやバースデーケーキ、親指を上や下へ向けたイラストが、昨日も今日も地球上を行き交っている。気持ちを文章で表現するのは、書くのも読むのも大変だが、絵文字ならば気分によって選ぶだけ。受け取った方もすぐに意図を察することができる。
メールやメッセージでは、絵文字やスタンプの他にネットスラングもよく送られる。日本の場合は「Googleで検索する」ことを「ググる」、「コピー&ペースト」を「コピペ」などと略す。もともと日本では、ネットのはるか以前からテレビ、パソコン、経済(経国済民)、零戦(零式艦上戦闘機)、国鉄(日本国有鉄道)など多数の略語が作られ普及してきた。
英語でも「lol」は「大笑い(lots of laugh)」、「ru」は“are you”など多数あり、辞書サイト(「InternetSlang.com」)まである。こちらは絵文字ほど元気がなく、徐々に利用が減っているようだ(前述の「Emojis by the numbers: A Digiday data dump」)。画像の表現力には、文字はなかなか敵わないということだろう。
Moojisは、昨年から提供が始まったスマホアプリ(iOS版/Android版)で、名前はおそらく、mood+emoji、つまり絵文字でムードを送るというもの。自分の顔を写真に撮って、輪郭を整えたり、髪型を変えたりして、メガネや角、カツラをつけて、場合によっては踊る胴体もつけるなど、簡単に自分の顔の絵文字を作って送ることができる(チュートリアルのビデオ「Moojis Tutorial」)。Moojisは、自撮り絵文字を写真として送受するので、FacebookメッセンジャーやWhatsAppなどのメッセンジャーアプリ側にはプラグインなどは必要ない。
他愛のないアプリに見えるけれども、背景には複雑な画像処理や複雑なUI/UXの処理が必要で、イスラエルの大手ソフトウェア会社「Appollo Technologies」の協力を受け、世界各国の人々の顔写真を集めてアルゴリズムのチューニングとテストが行われたという。開発の基盤には「IBM Softlayer」が選ばれた。
イスラエルには他にも、自撮り写真に目を向ける研究者がいる。テルアビブ大学はFacebookと共同で、自撮り写真の表情を変える研究「Bringing Portraits to Life」を行なっている。顔写真を1枚だけ使って、笑顔やしかめっ面の写真に変換するものだ。
日本のプリクラやスマホアプリも、肌の色を変えたり目をマンガのように大きくしたりしてくれるが、テルアビブ大学とFacebookの研究では、1枚の写真を表情が変化する動画に変換する。普通の顔の口角が次第に上がって目尻が下がって笑顔になったり、眉が上がって口が開いて驚いたり、眉間に皺を寄せて口をきつく結んで怒ったりする。
写真の顔の様々なパーツ(目や眉や口など)を、ドライビング・ビデオという映像で動かすのだが、これは別人の顔の表情の変化を記録したもの。無表情から笑顔に変わるときにパーツがどのように動くかをこのサンプルのビデオから学び取って、他人の静止画をこれに合わせて変形させることで表情を作る(YouTubeのデモンストレーション動画)。
これを使えば、1枚のプロフィール写真を使って笑顔や泣き顔に変わる短い動画を作り、絵文字として送ることもできるようになる。ニュースやFacebookの記事や投稿の短い感想文にコメントするときに、プロフィール写真に表情の変化をつけて投稿することもできるようになるだろう。
【参照情報】
・Startup story: Moojis, No.1 in the App Store in three days
・Use your selfies to make an emoji keyboard with Moojis
・Change your selfie's facial expressions with the touch of a button
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