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November 4, 2026
中村 航 wataru_nakamura
1985年生まれ。福岡県福岡市出身。翻訳者。テクノロジーやファッション、伝統工芸、通信、ゲームなどの分野の翻訳・校正に携わる。WirelessWire Newsでは、主に5G、セキュリティ、DXなどの話題に関連する海外ニュースの収集や記事執筆を担当。趣味は海外旅行とボードゲーム。最近はMリーグとAmong Usに熱中。
AIが薬になりそうな分子を提案しても、その物質が期待通りに働くかは実験で確かめなければならない。実際に作り、性質を調べ、構造を少し変えてまた試す。AI創薬の先には、こうした物理的な仕事が待っている。
米Warp Sciencesは2026年10月22日、2億1500万ドル(約340億円)の資金調達と事業構想を公表した。元OpenAI幹部のKevin Weilらが設立した同社は、経験豊富な化学者がAIやロボットを活用し、創薬に必要な物質の合成や試験を請け負う研究施設を米国に構築する。
最初に取り組むのは、有望な分子の構造を少しずつ変えた物質を作り、研究者が比較できるようにする仕事だ。どの分子を追求するかは顧客の製薬・バイオ企業が決める。顧客の創薬計画に沿って、実験を支える受託事業という位置づけだ。
同社は、経験豊富な化学者が主導する実験を、AIとロボットで段階的に自動化する計画だ。TechCrunchによれば、化学者がカメラとセンサー付き手袋を使い、ロボットに実験作業を教えるという。
その実験で得られた結果も、次の研究に生かす。出資者のPremji Investによれば、実験の条件や結果を一定の基準で記録し、うまくいかなかった反応も学習に使う構想だ。例えば、どの条件で狙った物質ができ、どの条件ではできなかったか。その記録をAIに学ばせ、次の実験の進め方に生かすことを目指す。記録された結果をどう解釈するかには、化学者の知識も必要になる。
今回示されたのは、段階的な自動化の構想だ。合成や試験にかかる時間や費用をどれほど減らせるかは、今後の実績を見ていく必要がある。
AIが提案する分子が増えても、試せる数が限られれば、多くは候補のまま残る。フィジカルAIによって実験の手間を減らせれば、これまで見送っていた候補にも手を伸ばせるかもしれない。(中村 航/翻訳家)
参照
Warp Sciences/Business Wire;Warp Sciences Emerges From Stealth With $215 Million to Build U.S. Chemistry Services for Drug Research
Premji Invest;Where every experiment makes the next one smarter. Why we invested in Warp Sciences.
TechCrunch;Former OpenAI science lead launches Warp Science to automate wet labs with robots