「はかる」ことから考える、データの弱点 2023.10.05 コロナ禍で体温測定は日常茶飯事となったが、珈琲スプーンではなく体温計を脇にはさんで「はかる」。昔懐かしい旧式の水銀温度計を脇に挟むこと3分。取り出してみると銀色の線分は赤く彩られた37℃の目盛まで伸びている。体温は37℃である。ほら確かに測れたではないか。でもよく考えてみよう。貴方が見たのは銀色の線であって、体温ではない。言い方を変えれば、水銀の長さを見ただけである。
情報としてのアート NFTアートとキュレーション 2023.10.03 近年、NFTアートが注目を集めている。これは、文字通りNFTを導入した新しいタイプのアートであり、史上初のNFTアートとされるケビン・マッコイの「Quantum」が発表されたのが2014年なので、その歴史はまだ10年にも満たないにもかかわらず、急速に影響力を拡大しつつある。
テクノロジーは運を制御できるか、あるいは制御すべきか? 2023.09.28 ピタゴラスやプラトンの昔から、哲学者たちは身体を、どちらかといえば自分たちを制限するものだと考えてきた。一方で、現象学や実存思想など、自分の身体を存在基盤ととらえる現代哲学もある。
年間800億円を消費し続ける情報収集衛星、偵察のためだけに使うのはもったいない 2023.09.26 2023年現在、日本は大規模な偵察衛星システムを保有している。内閣官房・衛星情報センターが運用する情報収集衛星(IGS: Information Gathering Satellite)だ。
埋もれたデータの宝庫たる偵察衛星と地球観測 2023.09.21 安全保障用途の偵察衛星の歴史は、ロケットの開発により地球を周回する人工衛星が現実のものとして考えられるようになった時点から始まっている。アメリカでは中央情報局(CIA)が、偵察衛星の開発を開始し、最初の偵察衛星「KH-1コロナ」1号機は、1959年6月に打ち上げられている。
AIに人間味を持たせる最速の方法 2023.09.19 2015年、「知性の響き」というタイトルで、ある研究が発表されました。私たちは、他人の印象を評価するときに、音声情報がある方が、その人のことを賢そうだと思ったり、ポジティブな印象を抱いたりする、というのです。
オルタナティブとしてのシェアリング論 2023.09.14 以前、コンゴ盆地の森に暮らすバカ・ピグミーの狩猟にかかわるタブーから、その背景にあるバカたちの「世界」の成り立ちについて考察した。今回は、そのタブーがあることによって、狩猟の成果、つまり肉が、バカたちの間でどのように分配されているのかを紹介し、その分配のされ方の特徴について「平等社会」との関連において考察してみたい。
データの量だけで真理に近づけるわけではない。囲碁と認知症予防の現場から 2023.09.12 医学研究においてもDXの波が押し寄せている。例えば創薬においては、スーパーコンピュータによってヒトがやれば気の遠くなるような時間のかかるシミュレーションを短時間で行うことで、創薬に必要な時間を大幅に短縮することができる。
中国が覇権国家になるとしたら 2023.09.07 ここでいう覇権国家とは、経済のプラットフォームの提供国をいう。そして覇権国家は、特にイギリスで見られたように、「自動的」に手数料収入により利益を入手することができる。これが、イギリスを典型例とするコミッション・キャピタリズムの実態である。
AIが躍進させる地球観測領域。ただし必要なのは、ますます多くの観測データである 2023.09.05 簡単な見積もりをしてみよう。地球の表面積はおよそ5億1,000万平方km、うち陸地が1億5,000万平方kmで、海洋が3億6,000万平方km。このうちの陸地を地球観測衛星で観測するとする。分解能としては、現在の民間地球観測衛星の上限である25cmを仮定しよう。パンクロマチックの画像を得るとして、1ピクセルに16ビットのデータ量を割り当てるとする。白をゼロ、真っ黒を65535としてグレーの階調を記録するという意味だ。