オリンピックが象徴する日本の停滞 2021.07.27 イギリスでは東京オリンピックの開会式がBBCで放送されました。冒頭では、日本の伝統的な建築技術は釘や接着剤を使わない、といった文化面にフォーカスした詳しい解説で、日本に対する大変な尊敬が感じられましたが、放送中は無言となる場面が目立ちました。そのショボさに何も言えなかったのでしょう。ショボい開会式は、まるで日本の衰退を絵に描いたようでした。
「音楽 その光と塩」 9. 「能」とは何か? 2020.11.02 いろいろな機会に、私がヨーロッパのクラシック音楽には一応の素養があり、なかでもチェロを永年弾いてきたことについては、文章を書き散らしてきました。しかし、このシリーズでは、僅かですが日本の古典芸能である能・謡曲に関しても、むしろ西洋音楽よりも早い時期から学ばされたと述べただけで、その詳細には口をつぐんできました。本稿では少しだけ、その背景をお伝えすることから始めたいと思います。
「音楽 その光と塩」 8. 音楽とは(承前) 2020.09.17 前稿(「音楽 その光と塩」 7. 音楽とは)では、自分が幼い頃に浸っていた音楽の環境を、特に歌に焦点を合わせて振り返ってみました。小学唱歌から、日本歌曲、ドイツ・リート、戦時歌謡から流行歌まで、自分が何を歌っていたかの記憶を辿ってみた次第です。
「音楽 その光と塩」 7. 音楽とは 2020.09.02 小学校に入ったとき、国語も算数も、どの教科も同じ教室、つまりそのクラスの本拠の教室は一つに決まっていて、その教室で授業を受けることになっていました。だから、高校生になって、物理は物理の教室で、化学は化学の教室で、美術は美術室で、というように、教科毎に教室を移動する習慣に出会った時には、とても新鮮で、何か偉くなったように思ったものです。
「音楽 その光と塩」 5. オーケストラ 承前 2020.07.23 オーケストラでは、予期せぬ事故が起こります。日本で大変有名になった話があります。かつて『題名のない音楽会』というTV番組で、司会の黛敏郎さんが、ゲストの指揮者山田一雄さんに、ちょっと聞きにくい話なのですが、と断って、公開の席上で尋ねられたことがあります。そのエピソードは、私も前々から聞いていて、本当かどうか知りたかったので、果たして山田さんはどう答えられるか、興味津々で見ていました。
「音楽 その光と塩」 4. オーケストラ 2020.07.16 これを書いている二〇二〇年六月は、年初に始まったヴィルス禍の真っ最中です。「三密」を避けるという原則からすれば、オーケストラ活動は、まさしくそれに抵触する最たるものともいえます。ほとんどのオーケストラが、定期演奏会や予定されていたスケジュールがキャンセルされて、経営上も、また団員の音楽への構えの上でも、大きな危機にある状況です。
「音楽 その光と塩」 3. 明日には! 2020.07.09 ジョン・ヘンリー・マッケイ(John Henry Mackay, 一八六四~一九三三)という人がいます。あまり日本では知られていないと思いますので、少し詳しく紹介してみましょう。名前からすれば、誰もがイギリス人だと思うのではないでしょうか。
「音楽 その光と塩」 2. 違いの判らない男 2020.06.30 昔、ネスカフェ ゴールドブレンドの名CMに「違いのわかる男」というシリーズがありました。それぞれの分野で道を究めたような有名人をフィーチャーしたもので、人々の憧れを誘ったものでした。今回は、情けないことに「違いの判らない男」としての私の話です。
「音楽 その光と塩」 1. 楽器の話 2020.06.25 「光と塩」というのは、新約聖書の中の私の一番好きな言葉です。イエスが「自分に従う人は、世の光でもあり、塩でもある」と述べたことに由来します。「光」は、人の目にも鮮やかに輝くし、「塩」は料理に入ってはいても目には見えず、それでも、それがなければ料理にならないばかりか、人間の命にも関わるものです。
一瞬で40年前に引き戻されるのが音楽である ウイスキーと酒場の寓話(20) 2020.02.14 Rie & 42nd. Street Band の「ストリート・トーク」という1977年録音のアルバムがある。井田リエという歌手のソロデビュー・アルバムであり、まさに乾坤一擲の内容。バンドがスタッフを始めとするニューヨー […]