iPadによる市場拡大に期待感、3G通信できるモバイルルーターが続々登場へ
2010.05.18
Updated by WirelessWire News編集部 on May 18, 2010, 10:10 am JST
2010.05.18
Updated by WirelessWire News編集部 on May 18, 2010, 10:10 am JST
5月14日、2社の決算説明会の席上で奇しくも同種の製品の提供が公表された。その製品とは、3G通信に対応したWi-Fiモバイルルーターである。NTT東日本と日本通信がそれぞれ決算説明会で今後の展開の1つとして紹介したものだ。
この種の製品としては、イー・モバイルやソフトバンクモバイルが販売している「Pocket Wi-Fi」が市場では先行している。しかし、NTT東日本も日本通信も、自社が設備を持って3G通信を提供している事業者ではない。こうした事業者までもが、3G通信とWi-Fi機器をつなぐモバイルルーターを続々と提供するようになってきているのである。
まずNTT東日本の製品から説明しよう。NTT東日本は、「フレッツ光」などのブロードバンドユーザーに向けて、モバイルルーター「光ポータブル」(仮称)を6月下旬から提供する計画だ。ゲーム機や電子書籍、ネットブックなどの無線LAN端末を、屋内外を問わずシームレスにブロードバンド接続できるようにするための製品である。宅内ではフレッツ光などに接続している無線LANアクセスポイントに、外出先ではフレッツ・スポットや3G回線に状況に応じて自動的に接続する、いわゆるコグニティブルーターの機能を備える。
▼平成21年度(第11期)決算について(NTT東日本/PDF)
光ポータブルとフレッツ・スポットの利用はセットで月額500円を計画している。ただし、現時点では3G通信で利用できる事業者などの詳細はノーコメントとしている。
日本通信は、モバイルルーターの「b-mobile WiFi」の提供を公表した。無線LAN端末を接続し、3G回線経由で通信する基本部分はNTT東の光ポータブルと同じ。持ち歩ける3Gの基地局との位置づけで、これを持ち歩いていれば無線LAN端末をいつでもインターネットに接続できる。
利用には主に同社が提供するSIMの「b-mobile SIM U300」を挿す形態を想定している。その際は上り下りともに300kbps超のベストエフォート通信となる。同社の三田聖二社長のツイッターでの発言によると、より高速な通信が可能なSIMを提供する計画も見え隠れする。また、SIMロックフリー時代を見越した製品であり、b-mobile WiFi自体はSIMロックフリーで提供し、NTTドコモのSIMでも利用できると説明する。発売時期はiPadの国内出荷前を目指したいとしている。
▼2010年3月期 決算説明会配布資料(日本通信/PDF)
いずれも、無線LAN端末をいつでもどこでも3G通信でネット接続できるようにする製品だ。無線LAN端末としてはゲーム機やノートパソコンなどがこれまでにも多く存在していたが、ここにきてモバイルルーターが続々と登場する背景には、日本通信が製品の発売時期のターゲットで名指ししているiPadの存在が大きいと考えられる。iPadのWi-Fi+3Gモデルは、国内ではソフトバンクモバイルとの回線契約がなければ使えない。しかし、3G通信が可能なモバイルルーターさえあれば、Wi-Fiモデルであっても場所を問わずにiPadを自在に使い倒せるiPad元年の今年、モバイルルーター市場も大きく拡大する可能性が見て取れるというわけだ。
【報道発表資料】
・平成21年度(第11期)決算について(NTT東日本/PDF)
・2010年3月期(14期)決算説明会(日本通信/動画とスライド)
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