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[先週の動き]iPad発売に沸いた日本列島、ハードもソフトもiPadを目指す

2010.05.31

Updated by WirelessWire News編集部 on May 31, 2010, 10:20 am JST

5月28日に米アップルのiPadが国内で発売になった(関連記事:本日午前8時にiPad発売、ショップには入手待ちの長蛇の列)。金曜日にiPadの発売を控えたこの週は、報道される通信分野のさまざまな発表が、iPadの発売を指向していた1週間だったように見える。

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(cc) Image by Shunsuke Kobayashi

iPadをネットにつなげ! モバイルWi-Fiルーター活況

ハードでは、モバイルWi-Fiルーターの発表が相次いだ。モバイルWi-Fiルーターは、ポータブルWi-Fiルーターやモバイルルーターなどとも呼ばれる製品で、3Gなどのデータ通信機能とWi-Fi機能を備える。無線LAN機能をもった端末を3Gデータ通信でインターネットにつなぐ仲立ちをする機器である。イー・モバイルが「Pocket WiFi」で先行し、ソフトバンクモバイルが同じ製品を投入していたが、これまではさほど目立つ存在ではなかった。ところがiPadの国内盤がSIMロック端末であることが明らかになってから、「Wi-FiモデルのiPadでどこでも通信したいユーザー」を狙ってか動きが急速に活発化した。

5月25日、バッファローはポータブルWi-Fi「DWR-PG」を発表。NTTドコモのSIMカードを挿すことで、FOMAデータ通信を利用できる。価格は3万7000円で、6月24日に発売する。(関連記事:バッファロー、iPadユーザーなどに向けてドコモ回線で使える「ポータブルWi-Fi」を発売)。バッファローはニュースリリースのタイトルに「WiFi版iPadに最適!」という文言を組み込むほどで、ゲーム機やノートパソコンはもとより、iPadでの需要喚起に大きく期待を寄せている。

同日、NTT東日本は、同社の「フレッツ光」ユーザーに向けた「光ポータブル」の提供を発表した。光ポータブルは前述のバッファローの製品とほぼ同等の機能を備えるモバイルWi-Fiルーター。SIMロック版とSIMロックフリー版を用意するのが大きな特徴だ。光ポータブルは6月下旬からレンタルで提供し、料金は月額315円である(関連記事:NTT東日本、モバイルWi-Fiルーターを月315円で提供、SIMロックありとなしを用意)。

これに先立ち、日本通信はモバイルWi-Fiルーター「b-mobile Wi-Fi」を5月24日に発売した。同社がNTTドコモのFOMA網を使ってMVNOで提供しているサービス「b-mobileSIM U300」での利用が前提となるが、SIMロックフリーの製品なので他社のSIMを挿して使うことも可能である(関連記事:日本通信、SIMロックフリーのモバイルWi-Fiルーターを1万9800円で発売)。

米国で大人気のiPadが国内でも手に入るようになることで、1つの通信機器のジャンルが大きく注目されるようになった。これは前代未聞の事態だと言えそうだ。

アプリやソリューションも続々とiPad対応に名乗り

iPadの発売を目前に控え、iPadで使えるアプリや企業向けのソリューションなどもアナウンスされた。そのうちからいくつかをピックアップしよう。

千趣会とヤッパは5月27日、両社が共同で開発したiPad向けの電子カタログアプリを、5月28日から無料で配信するとアナウンスした(関連記事:商品購入も連携したiPad向け電子カタログアプリ、千趣会とヤッパが5月28日に提供)。同社のベルメゾンのカタログをiPad向けに作り、そこから掲載した商品の購入手続きまでできる。

楽天も、楽天ブックスで雑誌のコンテンツを無料で読めるアプリ「チラよみ」の提供を5月27日にアナウンスしている。こちらは、雑誌の購入や、雑誌コンテンツに掲載している商品を楽天市場で購入できる機能を備えたiPadアプリ。iPadをビジネスの窓口として活用しようという動きと言える(関連記事:楽天ブックス、iPad発売に合わせ雑誌を読める「チラよみ」アプリを提供)。

このほかにも、TBSが音楽とニュースを一覧できるiPadアプリ「TBS - OTTAVA News & Classics 」の開発を5月28日にアナウンスしている。、同社が提供するクラシック音楽専門のデジタルラジオ・インターネットラジオ「OTTAVA」のライブストリームと、TBSのニュースサイト「TBS News-i」の最新ニュースが常時更新されるiPadアプリだ。6月中旬の提供を予定している(報道発表資料:OTTAVAを聴きながら最新ニュースもチェックできる!"iPad"専用のアプリを開発!)。

前週になるが、ビジネス向けのソリューションのiPad版もお目見えした。アリエル・ネットワークが提供するWebコラボレーションウエアの「ArielAirOne Enterprise」が、iPad対応するというニュースだ(関連記事:iPad向けのビジネスソリューション登場、企業端末への領域拡大はなるか)。iPadは大画面のタッチパネルで操作はシンプルであり、しかもビジュアルもきれい。通信回線も持っているとなれば、それこそ法人向けの業務端末としての需要も望める。専用端末は高価なのだ。今後、国内での普及が順調に進めば、これまで専用端末やノートパソコン、携帯電話などで実現していいたモバイル利用の業務末として、iPadが大きく名乗りを上げる可能性は高い。

◇    ◇    ◇

iPadは、すでに多くの指摘があるように、単なるタブレット型パソコンではないし、大型のスマートフォンとも異なる。これまで、パソコンや携帯電話などがハードやソフト、ネットワークの制約からユーザーに押し付けてきたさまざまな"お約束"を取り払った、自由な情報端末である。ユーザーが思うようなアプリを好きなように入れて、自分の端末を作り上げられる初めてのマシンとも言える。iPhoneが市場に襲来して、それまで一般的だった携帯電話が「ガラケー=ガラパゴス・ケータイ」と呼ばれるようになったがごとく、キーボードが付いたノートパソコンを起動していると「ガラパソ」などと言われる日が来るかもしれない。世の中がiPad礼賛一色になってしまうことには危惧を覚えるが、情報の扱い方を変える新しい道具の広がりには大いに期待したい。

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