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[先週の動き]2Q決算はソフトバンクが好調、端末はグローバルな流れが加速?

2010.11.01

Updated by WirelessWire News編集部 on November 1, 2010, 10:00 am JST

関東でも急に冬のような気候になった10月の最終週。気候の急激な変化に惑わされることなく、季節は確実に進み携帯電話各社の第2四半期決算が出揃う時期となった。イー・モバイルは3G携帯電話の方式では国内最高速となる42Mbpsのサービス開始を発表し、各社のスマートフォン新製品だけでなくサービス面でも熱い冬商戦の幕開けを感じさせられる。

決算は3社で明暗

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2011年3月期第2四半期の携帯電話3社の決算が出揃った。詳細は別記事にゆずるが、今期までの業績では、まさにスマートフォン対応の差が業績に表れているかのような結果となった(関連記事:携帯3社の2Q決算、スマートフォン対応の差が業績に反映か?)。

4月〜9月の累計の決算をざっと見てみよう。iPhoneが絶好調のソフトバンクは増収増益で、営業収益は前年同期比8.6の増加、営業利益は同36.8%の増加になった。Xperiaが好調なNTTドコモは、前年同期比0.4%の減収ながら。同9.5%の増益となった。スマートフォンへの出遅れを認めるKDDIは減収減益。営業収益は前年同期比0.3%の減、営業利益は同1.2%の減と、元気がない。これから各社ともスマートフォンの新製品を市場に続々と投入する。これからの下半期、どんな業績推移があるのか興味深いところだ。

42Mbpsの高速サービス、EZアプリのJava対応などが明らかに

201011011000-2.jpgイー・モバイルは、3G携帯電話の方式としては国内最速となる新サービスを開始する(関連記事:イー・モバイル、下り最大42Mbpsの「EMOBILE G4」を料金据え置きで11月19日に開始)。DC-HSDPA方式を採用し下り最大42Mbpsの高速データ通信が可能。サービスは新ブランドの「EMOBILE G4」として11月19日から提供する。料金は従来の下り最大21Mbps対応プランから据え置いた。対応端末として「D41HW」をサービス開始と同時に発売する。

公衆無線LANサービスにも動きがあった(関連記事:公衆無線LANサービスの「ワイヤレスゲート」、NTTコムの「ホットスポット」でも利用可能に)。トリプレットゲートが提供する公衆無線LANサービスの「ワイヤレスゲート」が、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の「ホットスポット」でもサービスを受けられるようになった。このエリア追加により、ワイヤレスゲートのサービスエリアは全国約6500カ所から、約1万500カ所へと大幅に増加。ホットスポットを含めたすべてのエリアを使える新設プランは月額780円になる。

フィーチャーフォンの動きとして、KDDIがau携帯電話の公式アプリケーションである「EZアプリ」に、Javaのプラットフォームを追加したニュースを取り上げておきたい(関連記事:KDDIの公式アプリ「EZアプリ」、Javaを2011年春に追加)。これまで、au携帯電話の公式アプリはBREWアプリだけで、Javaアプリは公式アプリとしては認められなかった。KDDIは、2011年春に「EZアプリ(J)」の名称でJava対応を開始する。BREWよりも開発者のリソースが多いJavaで公式アプリを作れるようになることで、アプリケーションの開発・運用の幅は大きく広がりそうだ。

ユーザーの利便性を高めるサービスを一つ。ソフトバンクモバイルが12月1日に開始する「一定額お知らせメール」「一定額ストップサービス」である(関連記事:ソフトバンク、携帯電話の使いすぎを防ぐ安心サービス)。

一定額お知らせメールは、毎月の利用料金があらかじめ決めた設定額を超えた場合にメールで通知するサービス。申し込み、月額料金ともに不要だ。一方の一定額ストップサービスは、利用料金が設定額を超えた場合に、メールでの通知に加えて通話やパケット通信の発信を規制するサービス。申し込みと、月額105円の料金が必要になる。気がついたら数十万円の請求が来たという悲劇はなかなかなくらならない。こうしたサービスの周知と活用は利用者保護に有効だろう。

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スマートフォン出荷は続伸、端末は"グローバル"な時代に

201011011000-3.jpgスマートフォンが着実に国内市場でシェアを伸ばしている。MM総研が調査した2010年度の国内携帯電話出荷状況では、スマートフォンの出荷台数は前年同期比で2倍以上の223万台になり、シェアはアップルが5割を超して首位だったという(関連記事:2010年度上半期、スマートフォンの出荷台数は前年同期比で2倍以上に伸び--MM総研調べ)。調査によると、携帯電話の総出荷台数は前年同期比12.3%増の1913万台。過去最低だった2009年度上半期の1704万台から209万台増加し、回復傾向にある。その理由はスマートフォン市場の拡大と、au携帯電話の買い替え需要にあると分析する。

こうした状況を後押しするように、10月28日には待望のNTTドコモのスマートフォン「GALAXY S」が発売された。10月15日から開始した事前予約が好調で、発売日には店頭での購入はできない店舗もあった模様。また、イー・モバイルは高速サービスのEMOBILE G4者発表会の席上で、Android搭載スマートフォン「HTC Aria」の発売を予定していることを明らかにした。HTC Ariaは欧米やアジアなどで既に発売されており、Android2.1搭載でコンパクトなデザインが特徴。iPhoneに続いて、グローバルで人気の端末が国内市場を徐々に席巻していく流れが見えるようだ。

201011011000-4.jpg逆に日本メーカーが端末を輸出する動きもある。KDDIアメリカは、京セラ製のAndroid端末「Sanyo Zio」を12月に米国で発売すると発表した(関連記事:KDDIアメリカ、Android端末「Sanyo Zio」を米国で発売)。KDDIアメリカが米スプリントのMVNO(Mobile Virtual Network Operator)として提供するAndroid端末は2機種目となる。ZioのOSはAndroid 2.1。今後、Android 2.2にアップデートする計画がある。またKDDIは、デザインケータイの「iida」に、イタリアの世界的デザインカンパニー「ALESSI」とのコラボレーションによるコンセプトモデルを発表している。ざまざまなグローバル化が端末の回りで渦巻いている。

グローバルなSIMロックフリー端末を国内で入手しやすくなる動きもあった(関連記事:日本通信、同社のSIMとSIMロックフリー端末を一緒に買える販売店網を構築)。日本通信は東京周辺に携帯ショップを展開するトップワイジャパンと代理店契約を締結したと発表した。SIMロックフリーのiPhone 4など端末と、日本通信が提供するSIMロックフリー端末向けのSIM製品を、一緒に購入できるようになる。

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グループウエア、電子書籍、ヘルスケアと幅広く連携へ

このほかにも携帯電話やスマートフォンに関連した動きがいくつかあった。代表的なものをチェックしておこう。

一つは、グループウエアとスマートフォンの連携。ウェブインパクトは、ネオジャパンが提供するグループウエア「desknet't」のスケジュールを各種のスマートフォンで閲覧できるサービスの提供を開始した(関連記事:desknet'tのスケジュールをスマートフォンに同期、ウェブインパクトが提供)。「desknet't Sync for smartphones」と呼ぶもので、desknet'tのスケジュールを、「Googleカレンダー」経由で各種スマートフォンのネイティブのカレンダーアプリと双方向で同期させる機能を備える。同期したデータはオフラインでも確認できるので、ビジネスパーソンには便利なツールとなりそうだ。

201011011000-5.jpg角川グループも電子書籍コンテンツ配信事業に参入することが明らかになった(関連記事:角川グループが電子書籍に参入、12月からiPhone/iPadアプリを提供)。角川コンテンツゲートは電子書籍コンテンツ配信サービス「Book☆Walker」を、2011年7月にグランドオープンする。それに先駆けて、2010年12月にはiPhone/iPad向けのアプリを提供する計画だ。同社のコンテンツ配信プラットフォームでは、電子書籍を中軸に据えながら、作品に関連するアニメや映画の映像、グッズなどの販売も提供する。

タニタに続いて、オムロンも携帯電話連携に参入する(関連記事:オムロン、FeliCa携帯で計測機器からデータ転送できる健康管理サービスを開始)。オムロン ヘルスケアはFeliCa対応の携帯電話を使って健康データを送信できる健康管理サービス「WellnessLINK」(ウェルネスリンク)を開始すると発表した。サービスの開始は11月1日から。NTTドコモのおサイフケータイに専用iアプリをダウンロードして利用する。健康管理にも携帯電話が必要な時代になれば、パケット利用が少ない中高年の利用を促進できるという狙いだろうか。

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