無線ブロードバンドに向けた周波数再編、最終とりまとめのポイント
2010.12.06
Updated by WirelessWire News編集部 on December 6, 2010, 10:20 am JST
2010.12.06
Updated by WirelessWire News編集部 on December 6, 2010, 10:20 am JST
11月30日に開催されたICTタスクフォースの「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」にて、「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ」とりまとめが報告、了承された。そのポイントをここで紹介する。
ワーキンググループでは、700M/900MHz帯における周波数割り当ての基本方針として、3つのポイントを示している。1つ目が、携帯電話システムへの割り当てをいつまでに行うかという「時間軸の明確化」。2つ目が、移行先となる周波数の選定、技術開発や移行に要するコストや期間などを明確にする「周波数移行方法の明確化」。最後が、他システムや隣国との干渉回避などの「技術的課題の検証」である。これを踏まえて周波数検討WGでは、「諸外国の周波数の割り当て状況との整合性を考え、700MHz帯および900MHz帯をそれぞれ利用することが適当とした。
これは、ワイヤレスブロードバンド実現に向けて、700MHz帯と900MHz帯のそれぞれで、上り/下りの周波数帯を「ペアバンド」として確保するということ。これまでは、地上デジタル放送への移行で空いた700MHz帯と周波数を再編した900MHz帯でペアバンドを構成する割り当て案が示されていたが、これを転換して国際的な周波数帯の割り当てに協調する方針が示されたことになった。
帯域幅としては、それぞれ「最大100MHz幅程度を確保することを目標として、周波数の割当方針を早急に策定すべき」としている。具体的には、まとまった周波数帯を確保するために、現在700MHz帯を使っているFPU、ラジオマイク、900MHz帯を使っているMCA無線、RFIDの周波数を他の周波数帯に移行する。
▼700/900MHz帯の再編案(※クリックして拡大)
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700MHz帯では、2015年から携帯電話システムとして利用できるように周波数を移行・再編する。そのための、周波数移行プランは2012年度を目途に策定するとしている。再編後の周波数利用では、テレビ放送受信用のブースターなどへの影響を考慮し、基地局用の周波数は770MHz以上とすること、テレビ放送と携帯電話の間のガードバンドについては技術的な検証を行いその成果を反映するとしている。再編によりFPUは1.2GHz帯または2.3GHz帯へ、ラジオマイクはホワイトスペースまたは1.2GHz帯への周波数移行を目指す。
900MHz帯では、まず2012年から5MHz×2の利用を開始する。その後、2015年には10MHz×2の利用を開始することを目標に周波数再編を行う。欧州の割り当て状況などを勘案して、上下を45MHz間隔とすることが適当としている。周波数が競合する既存システムでは、RFIDが915M〜928MHz帯へ、MCAは930M〜940MHzへと同一周波数帯の中で移行する。2011年夏までに技術基準を整備し、2012年から移行を開始する。また、同帯域を利用しているパーソナル無線は2015年度までに廃止する。900MHz帯では、周波数の移行状況を見ながら2015年を目途に携帯電話での利用を開始する。それまでに移行が完了しない地域などでは、2017年度末を目途に移行を進めるという。
▼日欧米における割当状況(※クリックして拡大)
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このほか、移動通信システムの高速・大容量化に対応するために、1.7GHz帯で10MHz幅、2.5GHz帯で最大30MHz幅、3〜4GHz帯で200MHz幅を確保。さらにブロードバンド環境の充実に向けて、家庭やオフィスのブロードバンド用途として60GHz帯で2GHz幅、列車無線などのブロードバンド化で400MHz帯を3MHz幅程度に拡大するなどの施策を示した。
今後の事業者決定の方法として、周波数のオークションも議論に上ったが、今回は「現時点ではオークション導入について十分なコンセンサスが得られているとは言いがたい」と言及。今後、さらに議論を行うことが必要と結論づけた。
▼新たな分野での電波利用の出現(※クリックして拡大)
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