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[2011年第10週]大地震が通信サービスにも大きな爪跡、ドコモは4月1日にSIMロック解除

2011.03.14

Updated by WirelessWire News編集部 on March 14, 2011, 10:00 am JST

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、通信を含むライフラインにも甚大な影響を与えた。携帯電話・PHSなど通信事業者のサービスでは、東北地方を中心につながりにくいなどの影響が出ている。通信規制も行われるなど、すでに最も重要な通信手段となっている携帯電話が使えない状況が現実のものとなった(関連記事:東北地方の大地震、通信事業者のサービスにも大きな影響au、北海道・東北地方のデータ通信サービス復旧)。NTTドコモでは災地域の行政機関や陸上自衛隊へ、衛星携帯電話や携帯電話の貸し出しを行うなどの対応をしている。

大規模災害の発生に対応して、携帯電話・PHS各社は、災害用伝言板の運用を開始(関連記事:携帯電話・PHS各社は災害用伝言板の運用を開始)。個別の対応もある。ソフトバンクモバイルでは公衆無線LANサービス「ソフトバンクWi-Fiスポット」を、無料で開放する。ソフトバンクユーザーに限らず、Wi-Fi対応の携帯電話、スマートフォンなどで利用できる(関連記事:ソフトバンクWi-Fiスポット無料開放)。地震被災者に対する義援金受付サイトを、KDDIとソフトバンクモバイルが開設している。デジタルコンテンツ購入代金やチャリティダイヤルの通話料を被災地支援団体などに寄付する(関連記事:携帯電話各社 義援金受付サイトを開設)。

被災者のみなさまに心からお見舞いを申し上げます。

ドコモのSIMロック解除の詳細が明らかに

NTTドコモはSIMロック解除を4月1日に提供する。4月1日以降に発売する端末には原則としてSIMロック解除の機能を搭載、SIMロック解除の申し込みを同日から受け付ける。また、microSIMタイプのSIMを提供し、SIMロック解除されたiPhoneなどのmicroSIM利用端末でNTTドコモのサービスを利用できるようにする(関連記事:ドコモがSIMロック解除を4月1日に実施、microSIMタイプのSIMも提供へ)。

201103141000-1.jpgTCAが発表した2011年2月末の携帯電話・PHSの事業者別契約数では、携帯電話事業者の純増数は、ソフトバンクモバイルが11カ月連続で首位をキープ。SIMロック解除の波が広がると、契約数の増減にも影響が出てくる可能性はある。PHSではウィルコムが2万9600の純増で、総数を367万7000へと戻した。ウィルコムが純増になったのは、2009年5月に7000の純増を記録して以来のことだ(関連記事:2月末の事業者別契約数、ウィルコムが反転攻勢で3万近い純増へ)。

また、電子情報技術産業協会(JEITA)による2011年1月の移動電話出荷実績の発表もあった。それによると、1月の移動電話全体の出荷は前年度月比94.4%の196万3000台で、3カ月ぶりに前年同月比でマイナスに転じた。移動電話全体の2010年4月〜2011年1月の累計出荷数は、前年の同期間比106.8%とプラスとなった。需要が回復基調にあることを示している。ワンセグ対応製品は、1月で累計出荷台数が1億23万5000台と1億台の大台に達した
(関連記事:1月の移動電話出荷は3カ月ぶりにマイナス、ワンセグ搭載機は累計1億台を突破)。

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spモード機能拡張やiOSのバージョンアップ

スマートフォンやタブレット型端末の動きは引き続き活発だ。NTTドコモはスマートフォン向けのISPサービス「spモード」に、2つのサービスを3月15日に追加する。1つは「データプラン」のspモード対応。タブレット型の端末をデータプランで利用している場合でも、iモードと同じメールアドレスによるメール送受信などが可能になる。もう1つは、スマートフォンの電話帳データをサーバーにバックアップできる、電話帳バックアップの提供である(関連記事:ドコモがspモード機能拡張、タブレット端末の対応と電話帳バックアップを提供)。

201103141000-2.jpgアップルはモバイル端末向け新OS「iOS 4.3」の提供を開始した。iPad 2と同時に発表したOSで、当初の発表内容では3月11日に提供するとしていたが、日本時間の3月10日には提供が始まった。iOS 4.3は、パフォーマンスが向上するなど改良された「Safari」の搭載や「AirPlay」の機能強化、モバイルWi-Fiルーターとして使えるようにする「パーソナルホットスポット」への対応などが行われた。ただし国内ではパーソナルホットスポットには対応しない(関連記事:アップル、iOS 4.3を前倒しで提供開始)。

法人向けのオープンプラットフォーム端末がKDDIから提供される。「E31T」がそれで、OSにWindows Mobile 6.5.3を搭載した富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製の端末である。法人の業務用途を前提とし、防水・防塵性能や大容量バッテリーを備えた。3月中旬以降に発売する(関連記事:KDDI、法人向けの防水・防塵Windows Mobile端末「E31T」を発売)。

サービスの拡充なども着々と

201103141000-3.jpg大地震の影でひっそりスタートすることになった九州新幹線の全線開業。九州旅客鉄道(JR九州)とソフトバンクテレコムは、3月12日の全線開業に合わせて新幹線の停車駅など全15駅で公衆無線LANサービス「BBモバイルポイント」の提供を始めた(関連記事:九州新幹線の停車駅などで「BBモバイルポイント」が利用可能に)。

ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)は、3Gと公衆無線LANのハイブリッド型高速無線サービス「DTI ハイブリッドモバイルプラン」を新設した。グループのフリービット社のMVNO支援事業「YourNet MOBILE」を利用して、DTIがMVNO事業者として提供する。3G回線にはNTTドコモのFOMA、公衆無線LANにはNTTコミュニケーションズのホットスポット(スタンダードエリア)のアクセスポイントを利用する(関連記事:DTI、月額2980円のFOMA+公衆無線LANサービスを発表)。

本田技研工業(ホンダ)は、会員向けの無料データ通信サービス「リンクアップフリー」の適用車種を、すべての車種に順次拡大する方針を明らかにした。3月17日に発表を予定している「フィット シャトル」以降のすべての車種が対象となる。同時に、利用する回線をソフトバンク 3G網に変更することも発表した。従来より高速で広いエリアでリンクアップフリーのデータ通信を利用できるようになる(関連記事:ホンダ、無料データ通信サービスをソフトバンク網に変更し全車種に拡大)・

新しいモバイル通信の利用の仕方の提案につながる発表もあった。ウィルコムは、電池で10年といった長期間の利用が可能になる「超低消費電力PHSチップセット」の開発意向を表明した。テレメタリング装置などのM2Mソリューションへの応用を想定している(関連記事:ウィルコム、電池3本で10年以上稼働できるPHSチップセットを開発へ)。

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