WirelessWire News Philosophy of Safety and Security

by Category

NTTグループに対する規制緩和をけん制 65事業者・団体が総務大臣に要望書を提出

2014.04.02

Updated by Asako Itagaki on April 2, 2014, 19:50 pm JST

4月2日、移動体通信事業者、固定事業者、CATV事業者、DSL事業者、ISP事業者、MVNO事業者など65事業者・団体は、連名の要望書「2020年代に向けた情報通信制作の在り方に関する検討について」を総務大臣に提出した。同日午後、KDDI株式会社 理事 渉外・コミュニケーション統括本部 渉外・広報本部長 藤田 元氏、ソフトバンクモバイル株式会社 常務執行役員 財務副統括担当 兼 渉外本部本部長 徳永 順二氏、イー・アクセス株式会社 企画部 部長 大橋 功氏の3名が報道陣に対して説明会を行った。

▼(左から)イー・アクセス大橋氏、ソフトバンクモバイル徳永氏、KDDI藤田氏。
201404021830.jpg

説明会の冒頭、藤田氏が本日14時に総務大臣に対して要望書を提出したことを報告し、その内容について説明した。2月に諮問された「2020年代に向けた情報通信政策の在り方―世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及と発展に向けて―」の検討に関して、「複数の報道で総務省がNTTにグループに対する規制を緩和する方向で検討を始めたとされている」ことを受け、NTTグループの独占回帰につながる政策見直しに反対するものであるとする。

要点は以下の3つ。

1. NTTグループの支配力は依然として大きいにも関わらず、具体的な議論が進む前に緩和の方向性が決まっているとすればきわめて問題である。
2. これまでNTTに対しては組織を分離分割する等構造的な措置が取られていたが、規制緩和により実質的にNTTグループの独占回帰となり、公正な競争確保が困難になる。
3. 今後の検討にあたってはこれまでの制作の包括的検証を十分に実施した上で、必要な措置を講じていただくことを要望。

201404021830-2.jpg

藤田氏は従来の日本の競争政策について、NTTの分離分割は何度も検討されたが、結局持株体制の元完全な分離分割が実現できない中、協業規制が行われてきたと指摘。昨今の報道はそうした経緯をないがしろにするものであるとした。

続いて、徳永氏が要望書提出の背景として、NTTグループの市場支配力について説明した。

現在のNTTグループは持株会社の下に100%出資(議決権比率・以下同じ)のNTT東西とNTTコミュニケーション、54.2%出資のNTTデータ、66.6%出資のNTTドコモがあるのが現在のNTTグループの姿であり、市場シェアは音声76%、FTTH72.2%、法人データ62.2%、携帯45%と依然として「市場支配力は依然として強大」「同一グループで固定系で7割以上、移動体でも4割以上のシェアを持つ事業者は海外では例がない」「移動体3社の差は縮まってきたといっても、1位のドコモと2位・3位の差は17%と依然大きい」(徳永氏)とする。

電気通信事業法第30条は、NTTに対して、ISPやMVNOなどの電気通信事業者に対しては不当に優先的な/不利な取り扱いをすること、コンテンツプロバイダや端末ベンダーに対しては不当に規律/干渉することを禁止行為として規制しているが、徳永氏は「現状の強い市場支配力をそのままに報道されているような禁止行為規制見直しを行った場合、NTTグループの排他的連携を強め、各市場における圧倒的市場支配力が相互に作用し実質的な再統合と独占回帰につながる」と説明。競争が阻害され、消費者の利便性を損なうとした。

201404021830-3.jpg

「実際に再統合の動きがあるという話が特別部会の中からあったのか」という質問に対しては、報道によりそうした方向で議論が進められていると思われている方が多いのではないかということで、「2020年代に向けて競争政策のありようを考えるのが本来の場である」という趣旨の念押しを総務省にするための要望書であると説明。「禁止行為については一つの大きなアイテムだが、これまでの施策の包括検証をする中で、そこにだけクローズアップしすぎるのはいかがなものかというのが各社の心中。禁止行為を変えなければそれでいいと思っているわけではなく、どうあるべきかを考えるのが本来である」と、あくまでも「結論ありきの議論はしないように」という意図であることを強調した。

一方で、これだけの事業者が要望書に名を連ねたことについては、各社細かいところで差異はあったとしても、禁止行為規制見直しによるNTTの実質的独占回帰に対する危惧は共有していることのあらわれであるとした。

特別部会では4月8日以降各事業者に対するヒアリングを行う。各社はヒアリングの席上で今後の政策についての意見を述べるとしている。

【報道発表資料】
2020年代に向けた情報通信政策の在り方に関する検討についての連名要望書の提出について(ソフトバンク)

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。