最新端末に加えて次世代の通信技術やソリューションが目白押し--Wireless Japan 2011フォトレポート
2011.05.26
Updated by Naohisa Iwamoto on May 26, 2011, 17:00 pm JST
2011.05.26
Updated by Naohisa Iwamoto on May 26, 2011, 17:00 pm JST
▼Wireless Japan 2011が開催されている東京ビッグサイト
東京ビッグサイトで2011年5月25日〜27日に開催中の「Wireless Japan 2011」(ワイヤレスジャパン)。先日発表されたばかりのスマートフォンやモバイルWi-Fiルーターなど夏モデル新製品がずらりと並び、感触を確かめようとする来場者が列をなしている。加えて、LTEやLTE-Advancedなどの次世代通信方式の展示や、コミュニケーションの新しい世界観を示すデモ、スマートフォンをより使いやすくするためのユーザーインタフェースの実演など、様々な「NEW」があちこちにある。
▼KDDIブースのUQコミュニケーション展示では新作モバイルWi-Fiルーターが並ぶ
ここではWireless Japan 2011の見所をピックアップして、フォトレポートとしてお届けする。会場の熱気を写真から感じ取ってもいたい。なお、Wireless Japan 2011は東京ビッグサイトの「西3・4ホール」と「会議棟」で開催。例年開催していた東ホールではないので、出向く方は今一度ご確認をどうぞ。
※画像をクリックすると拡大表示されます。
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LTEサービスを「Xi」として開始したばかりのNTTドコモだが、Wireless Japan 2011ではその次に来るLTE-Advancedが大々的に展示されている。ブースには基地局と移動局を持ち込み、模擬伝送環境でのLTE-Advancedの通信デモを行っている。併せて神奈川県横須賀市で実施している実験の状況も報告。屋内の模擬伝送環境で2移動局に対して下り合計1Gbps以上のピークスループットを計測、屋外のフィールド実験でも下り600Mbpsを超えるピークスループットを得たことを示していた。
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NTTドコモのブースで最も目立つデモは「通訳電話」だろう。日本語と英語をそれぞれ話す人が電話をするときに、クラウド上に通訳機能を設けて"同時通訳"をさせるもの。デモでは、東京とニューヨークの設定で、日本語と英語の間での自動通訳を見せていた。画面上のテキストと音声の双方が翻訳された状態で得られる。通訳以外にも、ネットワーククラウドがコンシェルジュのような機能を持ち、スケジュール調整やお店の紹介をするデモも行っている。
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NTTドコモは、5月16日の夏モデル新製品発表でお披露目した、おくだけ充電対応のAndroidスマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」による充電の様子もデモしている。WPCの標準規格「Qi」に準拠した充電台に端末を置けば、それだけで充電が可能。複数の機器を置いた場合に順番に充電されることなどを説明している。NTTドコモでは、充電台を社会インフラとして多くの場所に設置することで、様々な携帯端末から電池切れの心配をなくした社会を目指すという。
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NTTドコモのブースには、不思議なコンセントが展示されている。通信機能を備えたコンセント「スマートタップ」で、ACケーブルを挿した機器の消費電力をモニターするというもの。コンセント単位で消費電力を計測して、その情報をスマートフォンなどでチェックすることで節電につなげる。スマートタップとワイヤレス対応トランスレーターの間は「Z-WAVE」という無線通信方式を利用してやり取りする。
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NTTドコモが発表したばかりの「MobilePOPサービス」も、Wireless Japan 2011の会場に行けば目にすることができる。電子POP端末に対して、FOMA網を介してコンテンツを配信したり管理したりすることが可能。FeliCa機能を備える電子POP端末ならば、おサイフケータイをタッチすればToruCaの情報を提供することも可能だ。GALAXY Tabのようなスマートデバイスを端末にすれば、タッチパネルによる双方向アプリケーションも使える。
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NTTドコモの山田社長が基調講演で紹介していたマルチバンド電力増幅器も参考展示されていた。世界各国で異なる周波数・方式に、1つの回路で対応する。写真撮影は許可されなかったが、携帯電話に搭載可能な大きさの試作品も展示されていた。
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NECは、発表したばかりのAndroid端末「LifeTouch W」の実機を展示している。Android 2.2をOSに採用するAndroid端末だ。最大の特徴は7型の大型液晶を2画面備えること。折りたたみ式なので、タテにもつとまさに本のような姿になる。2画面は、例えばWebブラウザで片側にポータル画面、もう片側にはリンク先のコンテンツを表示させるような連携利用が可能。端末は「B to B to C」のビジネスモデルで提供する。
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富士通ブースには、NTTドコモの夏モデルとして発表されたWindows 7ケータイ「F-07C」が展示されている。スマートフォンや携帯電話と変わらないボディーに、Windows 7パソコンが詰め込まれた意欲作だ。デモではディスプレイやキーボードを接続して通常のパソコンとして利用できる様子を見せている。
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「マルチネットワーク」の推進を掲げるKDDI。マルチユース、マルチネットワーク、マルチデバイスを柱にする"3M戦略"では、モバイルや固定のあらゆる通信環境でシームレスにサービスを利用できる姿を目指す。その1つのキー要素となるのがLTEだ。KDDIは2012年12月の商用化を目指して技術開発を進めており、デモでは有線の模擬伝送環境ながら下り75Mbpsの理論値に対して、70Mbps程度の実効値が得られることを示していた。
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KDDIのブースで一際異彩を放つのが「スマフォスイング」。スマートフォンをパノラマ撮影をするように180度振ることで、相手の端末の方角を検知するシステムだ。仕組みは、音波を発してドップラー効果から相手のいる場所の角度を特定するというもの。端末間の情報はBluetoothでやり取りする。駐車場で自車位置を探したり、スーパーで特売場の方向をナビしたりと、実用へのアイデアは数多くあるようだ。
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スマートフォンへの機種変更をためらう1つの要素にタッチパネルのユーザーインタフェースがある。携帯電話のキーには、しっかりとした押しごたえと、押せたことを示すクリック感があるが、スマートフォンのタッチパネルにはそれらがない。その感触を、スマートフォンで再現しようとしたのが「新感覚スマートフォン」。KDDIがHaptic技術と呼ぶ、振動機能と圧力センサー機能を追加したタッチパネルで、押し込む感覚とクリック感が得られる。デモ機には3種類の「押し心地」があるので、会場で試してみてほしい。
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KDDIの「すきま通信」は、ベストエフォート型の通信を効率よく活用するための技術だ。パケット通信にはむらがある。M2Mなどで1日に1回データを送信するような場合に、その時間帯はある程度の自由度がある。すきま通信では、通信機器が自動的にネットワークのトラフィックなどの状況を調査し、他の通信が空いている「すきま」の時間帯を見つける。そうした「すきま」に通信することでネットワークを効率化し、すきま通信用の低価格プランなどの提供につなげたいという。
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KDDIのブースでは「切断耐性モバイル通信」のデモを行なっている。これは、例えば大容量のファイルをダウンロードしている途中でモバイルの回線が切れてしまったようなときに役立つ。何もしていない状況だと写真左のように「エラー」が表示されてダウンロードは未完のまま終わってしまう。切断耐性モバイル通信を使うと、写真右のように回線が切れていても通信のセッションは保持される。回線が復旧したら続きからダウンロードを開始できる。モバイルの利便性を向上させるソリューションだ。
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WiMAXと言えばWAN(wide area network)の技術だが、これを社内などまで拡張して使おうというのが「WiMAX LAN」だ。KDDIのブースでは、社内のイントラネットをWiMAXで無線化できるシステムが展示されている。写真右上の白いボックスが「ドナーノード」で、WiMAXの公衆サービスの電波を受けてインターネットに接続する。写真中央上の白いボックスは「サービスモード」で、社内にWiMAXのエリアを作る。社内外をシームレスにWiMAXで接続するシステムの可能性を一見したい。
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米国でスプリントが販売する京セラ製のデュアル液晶搭載Android端末「Kyocera Echo」。国内ではなかなかお目にかかれないものだけに、京セラブースのタッチ&トライコーナーには文字通り長蛇の列ができていた。折りたたみ式の本体内側に3.5インチの液晶パネルを2つ備え、1枚の大画面液晶としても、2枚の液晶に別々の機能を表示することも可能。来場者は熱心に2枚の液晶の使い勝手を確認していた。
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