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[2011年第35週]台風12号は通信にも影響、月間1GBで3100円のデータ通信、Sony Tabletの3Gモデルはドコモから

2011.09.05

Updated by Naohisa Iwamoto on September 5, 2011, 09:30 am JST

多くの地方で学校の夏休みが終わった第35週は、大型の台風が全国に災害をもたらした。

NTTドコモでは、9月3日に鳥取県、岡山県、和歌山県、三重県、奈良県、愛知県の一部地域で通信ができない状況が発生した(発表資料:通信障害のお知らせ)。台風による停電及び伝送路故障のためという。KDDIとソフトバンクモバイルでは、台風12号に伴い災害救助法が適用された地域のユーザーに対して、支払期限の延長や災害による携帯電話の故障などに対する修理費用の軽減といった施策を講じることを発表している(発表資料:KDDIソフトバンクモバイル)。

日本通信の安いデータ通信、KDDIはUMTSの国際ローミング

201109050930-1.jpg日本通信は、データ通信の新しいサービスとして月間に1GBまでを3100円の定額で利用できる「1GB定額3100円」の提供を開始した。まず9月1日18時から、日本通信が4月に提供を始めた「b-mobile Fair 1GB」の追加チャージの1種類として設定した。b-mobile Fair 1GBで最初の1GBを使い切った後に利用できるもので、1カ月の間に1GBを3100円で利用できる(関連記事:日本通信、月間1GBまで3100円の定額サービスを9月1日に開始)。

引き続き日本通信は、1GB定額3100円を当初から利用できる2種類のSIMキットの提供もアナウンスした。標準SIMサイズとマイクロSIMサイズの2種類で、9月10日に発売する。価格は、いずれのSIMのサイズでも3480円。SIMカードと、30日間利用できる1GBのデータ通信利用権が付属する(関連記事:日本通信、「1GB定額3100円」を手軽に始められる3480円のSIMキットを発売)。

日本通信では、既存のキャリアーの使い放題のデータ通信サービスは、一部の多量にデータ通信をするユーザーにはメリットがあるものの、多くの一般ユーザーは高い料金を支払わされていると主張(関連記事:「42人で1人のヘビーユーザーを支えるデータ通信の現状を変えたい」--日本通信の三田社長)。一般ユーザーに公平な料金負担で利用できるデータ通信サービスを提供するため、これらのサービスを展開している。

201109050930-2.jpg一方、KDDIは、国際ローミングサービスの「グローバルパスポート」にUMTS方式のネットワークへの接続を開始すると発表した。UMTS方式に対応した「MIRACH IS11PT」と「EIS01PT」の発売に伴う施策で、最大7.2Mbpsのデータ通信が可能になる。併せて、海外でのパケット通信を定額にできる「海外ダブル定額」の対象事業者に、米本土やハワイのAT&T、カナダのTelusとBell Mobility、韓国のKT、イタリアやオーストリアの3など13の事業者が追加した(関連記事:KDDI、UMTSによる国際ローミングを開始、海外ダブル定額対象事業者も拡大

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Androidは動きが活発、注目のSony Tablet発表、一方でマルウエアも増加

201109050930-3.jpgAndroid端末に注目の新製品が登場する。ソニーはタブレット端末「Sony Tablet」2機種を9月17日から販売すると発表した。Sony Tablet Sシリーズは、9.4インチのディスプレイを搭載したタブレット端末で全3モデル、Sony Tablet Pシリーズは、5.5型ディスプレイをデュアルで搭載する折りたたみ式のタブレット端末で1モデルを提供する。SシリーズのWi-Fiモデルである2モデルは9月17日に発売、3G+Wi-FiモデルのSシリーズとPシリーズのそれぞれ1モデルは、NTTドコモが取り扱い10月〜11月に発売する(関連記事:ソニーのAndroid端末「Sony Tablet」9月17日発売、3GモデルはNTTドコモが取り扱い)。

新端末といえば、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズが、グローバルモデルのXperia arcの新製品として、プロセッサーをこれまでの1GHzから1.4GHzに変えた「Xperia arc S」を提供すると発表している。グローバルでは2011年10月以降に発売される予定だが、国内での発売は未定だ(報道発表資料:Sony Ericsson unveils its fastest entertainment experiences to date with Xperia arc S)。人気の高いXperia arcだけに、国内でも高速モデルの登場を待つ人は多いだろう。

そのソニー・エリクソンは、国内向けにAndroidアプリを紹介するPCサイト「APP NAVI by Sony Ericsson」を開設した。APP NAVI by Sony Ericssonは、これまで同社が製造するスマートフォンのXperiaシリーズ専用アプリとして提供しており、これをパソコンに拡大した。APP NAVI by Sony Ericssonでは、ソニー・エリクソンのオリジナルアプリである「AmbientTime Lite 1.0」「life.episode Japan」や、「Frame Grabber」などのソニーグループのアプリを紹介するコーナーを設けるなど、オリジナル色の強いアプリを紹介している(関連記事:ソニー・エリクソン、Androidアプリを紹介するPCサイトを開設)。

201109050930-4.jpgAndroidアプリの話題では、NTTドコモと韓国KTがAndroidスマートフォン向けのコンテンツを相互に提供することに合意したと発表したというニュースもあった。8月31日から、NTTドコモの「ドコモマーケット」でKTのコンテンツの提供を開始している。コンテンツは30タイトルで、無料コンテンツから1100円の有料コンテンツをラインアップする。KTがドコモに提供するコンテンツには、韓国で人気があるゲームの「ポトリスZero Android」「ねこ戦」などがある(関連記事:ドコモ、韓国KTとAndroidアプリ相互提供、韓国で人気のゲームなどを公開)。オープンなマーケットによるのではなく、キャリアーが仲立ちする形でのアプリの国際交流が効果を出せるのか、注目したい。

というように、注目の話題が続くAndroid端末だが、その半面で悪意あるアプリに狙われることも多くなっている。マカフィーは、2011年第2四半期の脅威レポートを発表し、その中でAndroid OSを対象としたマルウエアが急速に増加していることを明らかにした。レポートでは、Android OSを狙ったマルウエアは第2四半期には第1四半期と比べて76%も増加しているという。第2四半期に確認されたモバイルプラットフォーム向けのマルウエアの63%(44件)がAndroidをターゲットとしたもので、JavaME向けの20%(14件)やSymbian向けの7%(5件)を大きく引き離した(関連記事:「Androidマルウエアが76%増加」--マカフィーの2011年第2四半期脅威レポート)。

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英会話をスマホで支援、Wi-Fiデジカメの動き加速

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このほか、第35週の注目のトピックスを紹介していく。富士通研究所は、英語の会話をスマートフォンで支援するための「あいまい雛(ひな)形例文検索技術」を開発した。例文検索の制度を高める技術で、これを音声認識技術や自動翻訳機能と組み合わせて日英の対話支援に適用した。従来の技術に比べて、意図した通りに英語で伝わるケースが1.5倍〜2倍に高まったという。オフラインでも利用できる技術で、海外での意思疎通にスマートフォンが大いに役立つ時代が近づいている(関連記事:スマートフォンで英会話を支援、富士通研が対話支援技術を開発)。

Wi-Fiの利用に関する話題を2つ。パナソニックは、Wi-Fi機能を搭載したコンパクトデジタルカメラ「LUMIX DMC-FX90」(以下FX90)を9月22日に発売する。Wi-Fi機能により、FX90のタッチパネルを操作することで、撮影した写真や動画のデータを他の機器に転送したり、ネットサービスにアップロードすることが可能になった。デジカメとしては、広角24mmからの光学5倍ズームを備え、1210万画素のCCDを搭載する(関連記事:パナソニック、Wi-Fiでスマホやネットと連携できるデジカメ「LUMIX DMC-FX90」)。

201109050930-6.jpg一方、東芝はWi-Fi通信機能を搭載したSDHCカードを発売する(報道発表資料:無線LAN通信機能を搭載した世界初のSDHCメモリカード「FlashAir」を発売)。これまでにもEye-Fiなど、SDカードにWi-Fi機能を搭載した製品はあったが、東芝の新カードでは対応デジカメに挿すと、デジカメ同士でもファイル交換が可能になる。

写真データを蓄積するクラウドサービスが多くあることから、写真とネットワークは親和性が高い。撮影したらすぐにクラウドにアップするような使い方も含めて、一部のデジカメはネットワーク端末になっていきそうだ。

最後にちょっと残念なニュース。ウィルコムは2011年8月27日、PHS電話機「WX01UT」(ユーティースターコム製)の販売を一時的に停止した。WX01UTは8月23日に発売されたばかりの新端末だが、一部のIP電話から着信ができない事象が確認されたため。販売再開時期や、すでに購入して利用しているユーザーへの対応方法は、詳細が決まった時点で別途知らせるという(関連記事:ウィルコム、23日発売のユーティースターコム製端末を一時販売停止)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。