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Iridium Satellite Phone Communications
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衛星電話のイリジウム(Iridium Communications)がWi-Fi機器とデータ通信サービスを全世界で開始すると発表した。イリジウム元素の原子番号と同じ77個の衛星を打ち上げるはずだったイリジウムは経営危機の末、現在は66個の衛星で政府機関などを顧客に縮小した衛星電話事業を継続しているが、このたび発表したのは「イリジウム・フォース(Iridium Force)」というグローバル通信のビジョンと、それを実現するいくつかの技術。新たなハンドセット(衛星電話機)や位置情報サービス(LBS)などのほか、Iridium AxcessPointというWi-Fiアクセスポイントなどが発表されている。

AxcessPointはタバコの箱くらいの装置をイリジウムの電話機に接続するとWi-Fiアクセスポイントになるという。スマートフォンやタブレットの通信を衛星経由でできるようになるのだから、砂漠やジャングル、あるいは大洋を渡る船の上からでもインターネット・サービスを享受することができる。

機器の値段は200ドル(1ドル=77.5円なら約15,500円)だが、接続するイリジウム電話機が1,000ドル(約77,500円)もするし、データ接続料金は1分当たり1ドル(約77.5円)。しかも、速度は19kbps程度のようで、電子メールやテキストメッセージならともかく、タブレットで動画を見るといった用途には使えそうにない。ただ、これまで携帯インフラのない地域でのサバイバル・グッズのような特殊なポジションを採り続けてきたイリジウムが、再び一般市場への参入の意図を明確化したのだという見方もあるようだ。

ちなみにAT&Tも衛星電話「TerreStar Genus」を昨年9月から提供している。こちらもデータ通信に対応しているが、カバーエリアが北米に限定されている。

【参照情報】
Iridium Force(TM) -- A New Vision for Global Communications -- Designed to Enhance and Expand the Way People and Organizations Connect Everywhere <ニュースリリース>
TechBits: Satellite phone roaming; Netflix-Miramax deal
Iridium brings Wi-Fi to remote corners of the world
TerreStar Genus? Dual-Mode Cellular/Satellite Smartphone Now Available from AT&T <ニュースリリース>

地震の影響を受けない宇宙インフラ=通信衛星を利用したインターネット接続が発災直後から行われ、その利用価値が改めて見直される機会になったという記事はこちら

利用された通信衛星は、JAXA、技術試験衛星、スカパーJSAT社、NTTドコモ社、米国イリジウム社の5つである。

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