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T-モバイル買収をめざすAT&T、競合他社に資産譲渡の打診(Bloomberg報道)

2011.09.20

Updated by WirelessWire News編集部 on September 20, 2011, 16:07 pm JST

T-モバイル(T-Mobile USA)の買収を目指すAT&Tが、これに反対する米司法省やスプリント・ネクステル(Sprint Nextel:以下、スプリント)の動きを食い止める目的で、メトロPCS(MetroPCS)、リープワイアレス(Leap Wireless)、センチュリーリンク(CenturyLink)、ディッシュ・ネットワーク(Dish Network)といった下位の携帯通信事業者などに対し、自社が保有する周波数帯や加入者の譲渡を打診していると、Bloombergが米国時間19日に報じた。

現在、米携帯通信市場で第2位のAT&T(第2四半期時点の加入者数9860万人)は、T-モバイル(同加入者数約3300万)の買収実現により、ベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless:同加入者数1億630万人)を抜いて最大手となるが、この買収計画に対しては「大手2社による市場の寡占化が進み、イノベーションの停滞や実質的な料金の値上げなど、消費者にとって不利益につながりかねない」等の理由から、8月末から9月上旬にかけて米司法省やスプリントがこの差し止めを求める訴えを米連邦裁判所で起こしていた。また米国時間16日にはカリフォルニア、ペンシルバニア、オハイオ、イリノイ、ニューヨークなどあわせて7州の政府が、やはりこの買収に反対する意向を示していた。

Bloombergによれば、AT&Tによる打診は競合他社の関心をさぐるための予備的なものであり、話し合いがまとまらない可能性もあるという。ただし、パイバージャフレイのアナリスト、クリス・ラーセン(Chris Larsen)氏は、「何らかの取引が成立する可能性がかなりある」とBloombergにコメントしている。

AT&Tでは3月に発表したこの買収が不成功に終わった場合、T-モバイルの親会社であるドイツテレコム(Deutsche Telekom)に対し、30億ドルといわれる違約金の支払いのほか、周波数帯の譲渡などを行う契約となっている。

【参照情報】
AT&T Approaches Rivals to Save T-Mobile Bid - Bloomberg
AT&T offers to sell assets to Sprint in bid to win T-Mobile deal approval - BGR
7 States Join Justice Dept. Suit to Block AT&T Deal - NYTimes
米司法省、AT&TによるT-モバイル買収に反対表明 - 差し止めを求めて提訴
スプリント、AT&TのT-モバイル買収阻止を求めて提訴 - 米司法省につづいて

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