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NSN、TD-LTEで2Gbps超、LTE-Advancedに向けた3キャリアのアグリゲーションもデモ

2014.02.26

Updated by Naohisa Iwamoto on February 26, 2014, 07:12 am JST

ノキアソリューションズ&ネットワーク(NSN)は、スペイン・バルセロナで開催されているMobile World Congress 2014(MWC 2014)で、モバイルネットワークの今後の基本性能の向上についてデモや展示を行っていた。広帯域のTD-LTEや3キャリアのキャリアアグリゲーションによるスループット向上の成果のほか、5G導入への考え方とタイムテーブルを示していた。

▼2.6Gbpsの超高速ダウンリンクが可能なことを示すTD-LTEのデモ20140225_nsn001.jpg

TD-LTEのデモでは、バンド幅を拡張することによる高速化の達成具合を示していた。2.6GHz帯を利用したTD-LTEで、120MHzの帯域幅を用いることで、スループットを下り約2.6Gbpsまで高められることをデモで示した。20MHz帯域ならば6キャリアをアグリゲーションしたことに相当する帯域幅で、超高速の通信が実現できる。ハードウエアは商用ベースの機器を利用しているとのことだ。

▼3キャリアのキャリアアグリゲーションで450Mbpsを実現20140225_nsn002.jpg

もう一方のFDD-LTEでは、LTE-Advancedに向けた3キャリアのキャリアアグリゲーションのデモが行われた。キャリアアグリゲーションは2013年に韓国でサービスが始まっているが、デモでは実機や試験機を用いて3種類のキャリアアグリゲーションのスループットを示した。すでに実用化されている10MHz+10MHzのキャリアアグリゲーションでは、デモシステムで130Mbps前後のスループットが得られていた。20MHz+20MHzのキャリアアグリゲーションでは280Mbps前後のスループットが、20MHz+20MHz+20MHzの3キャリアのアグリゲーションでは、およそ450Mbpsのスループットが実際に得られることをデモシステムで示した。

▼5G商用化のターゲットは東京オリンピックの2020年20140225_nsn003.jpg

4Gの次の世代となる「5G」に向けたNSNの考え方を示した展示も興味深いものがあった。まず5Gの商用化へのタイムテーブルとしては、2014年~15年はリサーチの段階で、2016年~17年にシステムデザインを固め、2018年から標準化のフェーズに進む。NSNの説明員は「2020年の東京オリンピックに間に合うように、商用化がスタートするタイミングではないか」との見方を示した。商用化後にも2030年に向けた5Gへの要求は多く、高速化はもちろん、1ミリ秒といったほとんどゼロに近い遅延、1万倍のトラフィック増に耐えるキャパシティの増加に加えて、自動車などの制御に5Gのモバイル通信が使われることを想定すると高い信頼性が大きな要件になるという。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。