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MVNO(Mobile Virtual Network Operator・仮想移動体通信事業者)とは、MNO(Mobile Network Operator・移動体通信事業者)の無線ネットワークを活用してサービスを提供する事業者のことである。MVNOは当該移動通信サービスに係る無線局を自ら開設・運用していない代わりに、MNOの提供する移動通信サービスを利用するか、または、MNOのネットワークと接続して移動通信サービスを提供する事業者を指す。日本における代表的なMVNOとしては日本通信、ディズニー・モバイル、IIJモバイル等が、MNOはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル、UQコミュニケーションズ等がある。

提供するサービスは、データ通信のみのケースと音声通話とデータ通信の両方のケースの2パターンに大別されるが、日本においては、事業の投資対効果の観点からデータ通信のみのパターンのほうが多い。

移動通信市場におけるMVNOの登場は、MNOにはない各事業者の個性を活かして、よりきめ細かく利用者ニーズに対応する事を期待されてのものである。しかしながら、MVNOはMNOから回線を卸してもらい、ユーザーに販売する形となり、MNOと比較して基本的には価格面で優位性を打ち出す事が難しい構造となっている為、提供するサービスやデバイス、あるいはブランド等、料金以外の要素でMNOや他のMVNOとの差別化を図る必要がある。

MVNOにとって、市場参入時の障壁として最も高い要素は、デバイス(端末)調達である。昨今の端末SIMフリー化の流れやデバイスの多様化により、障壁が下がりつつある傾向はあるものの、例えば、独自デバイスによる差別化を目指すとなると、一定台数以上の端末調達は不可避となり、おのずと財務的なハードルは高くならざるを得ない。

従って、提供するサービスや自前のブランドで差別化を図る形が望ましいのだが、その中でも、特に既存の本業に付加価値をつける目的で移動通信サービス事業に参入するケースは、既存ビジネスとのシナジーがある分、高い付加価値のサービスを提供しやすくなる。この場合、今までMNOがリーチできていなかった新しい市場が創出されるケースも多い為、MNOからデバイス調達や各種初期投資に対する積極的な支援が得られる可能性も低くなく、そうなれば事業の成功確率を著しく高めることができる。

例えば、MVNOの成功例として挙げられることが多いディズニー・モバイルについても、ディズニーは既存ビジネスとして既に成果をあげていたインターネットコンテンツ事業とのシナジーを狙ってMVNO事業に参入する際、ディズニーのブランドが誘引する20〜30代女性ユーザーの獲得に魅力を感じたMNOであるソフトバンクモバイルが全面的に支援する体制を整えている。

また、ロングテール市場という特性からMNOが従来あまり重視してこなかったM2M((Machine to Machine・機器間通信)の領域についても、MVNOが本業とのシナジーを、MNOが獲得回線数増を狙っての参入が相次いでいる。例えば、テレマティクス市場にカーナビメーカーがMVNOとして参入し、自社通信カーナビ販売増を狙う等の事例が出てきている。これらを踏まえると、通信を活用し、新しいビジネスモデルを構築することこそが、MVNOの本来的な存在意義であると同時に今後の重要成功要因であると言えよう。

今後本格的に展開される次世代高速データ通信サービスにおいても、MVNOから様々なサービスが提供されることが予想されるが、MNOが充分にカバーしきれていない、例えば、M2Mや法人ソリューション領域のような比較的ニッチなニーズに対して、提供するサービスでしっかり応えることができるビジネスモデルとそれを支える通信キャリアとしての効率的なオペレーションを構築できたMVNOのみが生き残る市場となっていくであろう。

2012 通信業界のキーワード

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