アップル、「iOS 5」をリリース -- 「iCloud」も利用可能に
2011.10.13
Updated by WirelessWire News編集部 on October 13, 2011, 10:30 am JST
2011.10.13
Updated by WirelessWire News編集部 on October 13, 2011, 10:30 am JST
アップル(Apple)は米国時間12日、モバイル端末用OSの最新バージョンとなる「iOS 5」をリリース、あわせてオンラインサービス「iCloud」の提供も開始している。
iOS 5は14日から発売されるiPhone 4Sに搭載されるほか、既存のiPhone、iPad、一部のiPod touchなどでもアップデート可能、いっぽうiCloudはiOS 5をインストールしたモバイル端末やMac(OS X ver10.7.2アップデート後)でも利用できる。
iCloudは、クラウド(アップルのデータセンター)に写真や音楽、書類ファイルや、カレンダー(iCal)、電子メール(Mail)、連絡先(アドレスブック)などのデータを自動的に保存(バックアップ)するサービスで、複数のアップル製品を利用するユーザーは、端末間のデータ同期も自動的に行えるようになる。
ユーザーには5GBのストレージ容量が無料で提供され、さらに有料オプション(10GBで年間20ドル、20GBで年間40ドル、50GBで年間100ドル)も提供される。
同サービスに関して、Bloombergでは複数のアナリストやポートフォリオマネージャーの見方を紹介しているが、まずインターナショナル・ストラテジー&インベストメント・グループ(International Strategy & Investment Group)のテクノロジーアナリスト、ビル・ワイマン(Bill Whyman)氏は、ユーザーが自らデータの同期などをいちいち行う必要がなくなることから、スマートフォン、タブレット、パソコンなどで、すべてアップル製品で揃えるユーザーが増えるとしている。また、RCMキャピタル・マネージメント(RCM Capital Management)のウォルター・プライス氏はiCloudの波及効果でアップルの時価総額が1000億〜5000億ドル押し上げられる可能性があると述べている。
いっぽう、NPDグループ(NPD Group)のステファン・ベイカー(Stephan Baker)氏は、アップルにとってiCloudの提供は「リスクを伴う動き」とし、その理由として、携帯通信網への負荷増大と費用負担についての懸念を挙げている。いまのところ、iCloudに含まれるサービスの多くがWi-Fi接続時のみ利用可能とされているが、これらがもし携帯通信網経由でも可能となった際には、データトラフィック増大に対応するための費用を誰かが負担しなくてはならず、また従量制の料金メニューで携帯通信事業者と契約しているユーザーも、サービスの利便性と支払料金とを秤にかける必要性が生じるとしている。
また、ハーバード大学バークマンセンター(Berkman Center for Internet & Society)のジョナサン・ジットラン(Jonathan Zittrain)氏は、iCloudのサーバ上(データセンター)に保存されるデータの取り扱いに触れ、もし他のオンラインサービスへのデータ移動が困難なようであれば、ユーザーから権利侵害の声があがる可能性があるとしている。
そのほか、データの消失やサービスの中断による不便などが生じた場合、iCloudのユーザーが他社サービスに流れる可能性への指摘もみられるという。アップルでは過去にオンラインストレージサービスの「iDisk」や同期サービス「MobileMe」を投入しながら、こうした問題が生じたために利用者を増やせずにいた。
【参照情報】
・Apple Using ICloud to Lock in Users After Online Misfires: Tech - Bloomberg
・Apple Helps Devices Get Their Heads in the Cloud - WSJ
・iOS 5, iCloud now available to all - GigaOM
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