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スプリント、クリアワイアとLTE網関連の協力で暫定合意

2011.10.27

Updated by WirelessWire News編集部 on October 27, 2011, 15:35 pm JST

米携帯通信業界3位のスプリント・ネクステル(Sprint Nextel)が、26日に行った決算発表のなかで、同社の出資先でもあるクリアワイア(Clearwire)と進めていたLTEネットワーク展開に関する交渉で暫定合意に達したと発表、これを受けてクリアワイアの株価は同日20%も急騰したという。

スプリントは元々、上位2社--ベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)ならびにAT&Tに先駈けていわゆる「4G」高速通信サービスの大規模展開を図ろうと、WiMAX方式のネットワーク構築を進めていたクリアワイアに出資し、同社のネットワークを利用して2010年夏にWiMAXサービスを開始していた。

しかし、他社に先行して開始したWiMAXサービスの加入者が伸び悩んだことに加え、次世代の通信方式として世界的にLTEを選択する動きが進んだことなども手伝い、スプリント、クリアワイアともLTEへの方針転換を打ち出していた。

また今年に入って、スプリントが衛星通信とLTE網を組み合わせて全米をカバーするデータ通信網の展開を計画するライトスクェアード(LightSquared)と歩み寄りをみせ、7月末には回線利用やネットワーク構築支援を内容とする長期契約を交わしたことや、WiMAXサービスを2012年末で終了する意向を明らかにしたことなどから、スプリントとクリアワイアとの関係悪化を示唆する声も上がっていた。

クリアワイヤは8月はじめに、4G網の展開に関してLTE-Advanced対応のネットワークへ移行する考えを明らかにしていた。いっぽう、スプリントは今月はじめに行った戦略発表のなかで「Network Vision」と題する構想を明らかにし、1900 MHz帯を使ったLTE網の展開を来年半ばから進めるとしていた。また25日には、さらに800MHz帯を使ったLTE-Advanced方式のネットワーク展開を2013年に行うことも発表していた。ただし、いずれの場合もクリアワイアとの関係については言及していなかった。

今回明らかにされた両社間の暫定合意は、LTE網の構築・運営に関する正式な契約の成立に向け、両社が技術仕様などに関する協議を進めることを確認したものだという。そのため、クリアワイアのLTE網構築に必要とされる6億ドルの資金調達に関する話などには言及されていないという。

また、今後スプリントがクリアワイアとの正式契約にこぎ着けられれば、同社にとっては技術面や資金の点で未解決の問題を抱えるライトスクェアードの計画が万一頓挫した場合の「保険」にもなるという。そのいっぽう、スプリントでは200億ドル近い負債を抱える上、ネットワークのアップグレードに50億ドル以上の資金が必要とされることなどもあり、同社ではしばらくの間、財務面で厳しい状況が続くとみられている。

【参照情報】
Sprint looks to Clearwire to firm up LTE plans - GigaOM
Clearwire Soars; Sprint Discloses Tentative Deal On LTE - Forbes
Clearwire Surges as Sprint Says Pact May Last Beyond 2012
- Bloomberg
スプリント、第3四半期決算発表 - iPhone関連の負担は「4年間で155億ドル以上」に
スプリント、LTE-Advancedへのアップグレードを2013年前半に実施予定
スプリント、LTE網の展開計画を発表 - 資金繰りへの懸念から株価は大幅下落
クリアワイヤ、LTE-Advanced対応のネットワーク展開へ - WiMAXからの移行コストは推定6億ドル
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