Android端末の修理・交換コスト、携帯通信事業者の負担額は年間20億ドルにも
2011.11.04
Updated by WirelessWire News編集部 on November 4, 2011, 11:07 am JST
2011.11.04
Updated by WirelessWire News編集部 on November 4, 2011, 11:07 am JST
世界の携帯通信事業者各社が、故障したAndroidスマートフォンの修理や交換で負担する金額が、年間20億ドルに上る可能性があるというレポートが発表されている。
英WDSでは欧州、北米、南ア、豪などの携帯通信事業者に対し、端末管理やコールセンターの代行サービスを提供しているが、同社が過去12ヶ月間にコールセンターで受け付けた60万件の問い合わせを分析したところ、Android端末は他のスマートフォンに比べてハードウェア関連の故障が起こる確率が高いことがわかったという。
同社によると、ハードウェアに起因する問題についての問い合わせは、Windows Phone OS端末が7%、iOS端末が6%、Blackberry端末が6%であったのに対し、Android端末では14%であったという。またこの結果、携帯通信事業者各社が負担する費用(修理作業代、送料等を含む)を合計すると、全世界で年間20億ドルにもなる可能性があるという。
WDSのティム・デルカ・スミス(Tim Deluca-Smith:同社マーケティング担当バイス・プレジデント)氏は、Total Telecomに対し、「携帯通信事業者にとっては、仕入れ値の安い低価格のAndroid端末は魅力的だが、販売後のサポートにかかるコストまで含めると決して割安とはいいきれない」とコメント。同氏によると、端末の修理や交換に通信事業者が支払うコストは、1件あたり平均で128ドル程度になるという。
同氏は、Android端末が他のスマートフォンに比べて故障しやすい理由について、アップルやRIMのように仕様を厳しく管理する主体が存在したいため、とくに低価格の製品では安価な部品が使われることが多い点を挙げている。またこうした低価格のAndroidスマートフォンには、ハードウェアへの負荷を抑えるために、最新の機能やアプリに対応しない古いバージョンのOSが搭載されることが多く、それが故障につながっているケースもあるという。「どのAndroid端末でも使い勝手は変わらないというのは誤った認識」と同氏は指摘している。
さらに同氏は、Android OSのソフトウェア・アップデートに関する問題に触れて、携帯通信事業者や機種ごとにアップデートがばらばらに行われているため、技術に明るいユーザーが「自分が使っている端末には、いつアップデートがリリースされるのか」を問いあわせてくるケースも増えているという。「グーグル(Google)はAndroid OSのアップデートについて特に問題ないと言っているが、彼らはおそらく携帯通信事業者が余計に支払わされるコストについて、よくわかっていないのだと思う」と同氏はコメントしている。
2011年第3四半期に世界で販売されたスマートフォンのうち、Android端末は全体の57%を占め、前年同期の25%、一昨年同期の3%から大きくシェアを伸ばしている(調査会社カナリス調べ)。この大躍進の一端を担った低価格の端末は現在100ドル程度まで原価が下がっているとされるが、こうした製品がAndroid端末の普及に大きく貢献したのも事実とデルカ・スミスは指摘。その上で同氏は、携帯通信事業者への助言として、今後は小売店頭でのユーザーへの啓蒙活動にもっと力を入れていくべきとしている。
【参照情報】
・Returned Android phones costing operators $2bn a year - Total Telecom
・Android phone repair cost telcos billions: study - Reuters
・Repairing those low-end Androids may cost carriers up to $2 billion - PhoneArena
・【図・グラフ】OSアップデートから取り残されるAndroidスマートフォン
・携帯電話端末市場の「見取り図」- Asymco
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