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バッテリー大容量化

2011.12.22

Updated by Naohisa Iwamoto on December 22, 2011, 00:00 am JST

ノートPCやスマートフォンなどのモバイル機器はもちろん、ハイブリッドカーや電気自動車などの動力源としても重要度を増しているのがバッテリーだ。そもそもバッテリー=電池には、乾電池やボタン電池のような使いきりの一次電池と、充電して繰り返し使える二次電池がある。世の中の多くの機器が、充電して使う二次電池から電力を得て動いている。

ノートPCやスマートフォンで多く用いられているのが「リチウムイオン電池」である。二次電池としてそれまで多く使われていた「ニッケル水素電池」よりもエネルギー密度が高く大容量化が可能で、継ぎ足し充電によるメモリー効果もない。そのため、小型で大容量のバッテリーが必要な機器に標準的に採用されている。しかし、大容量のバッテリーに対する要求は年々高まっている。

現在の主役であるリチウムイオン電池には、電極に使う素材を変えることによって大容量化を図った製品が登場している。ソニーは、それまでの黒鉛負極からスズ系アモルファス負極に変えて容量を増やした「Nexelion」を開発した。電池容量の向上、急速充電が可能、低温での良好な特性といった特徴を備える。

ソニーは2011年、ノートPCで一般的に使われている直径18mm、長さ65mmの円筒形電池を開発した。2012年にはNexelionを搭載したノートPCの登場が見込まれる。同社従来品のリチウムイオン電池と比較すると、約容量は60%も多い。それだけ長時間の機器の駆動が可能になり、利便性は高まる。

近い将来に到来するであろう電気自動車時代を考えると、長時間走らせるため大容量化や、大量に消費する電池の資源リサイクルなども一層重要になってくる。こうした課題に対応した新しい電池の研究開発も進んでいる。

例えば「リチウム-銅二次電池」は、負極に金属リチウムを、正極に金属銅を用いる二次電池である。開発した産業技術総合研究所(産総研)によればリチウムイオン電池の5倍以上の容量を確保したという。また、現行のリチウムイオン電池では極めて難しい資源のリサイクルが容易に行える特徴も併せ持つ。

また、「リチウム-空気電池」と呼ぶ新しい電池もある。負極には金属リチウムを使うが、一方の正極には空気を用いるため、リチウム-空気電池と名付けられている。正極に反応生成物が溜まって放電が止まるといった課題があったが、産総研はこれを克服したリチウム-空気電池を開発した。リチウムイオン電池の数百倍にも上る大容量の電池が作れることを示している。さらに金属リチウムをリサイクルできるだけでなく、金属リチウムと電解液を交換することで"電池交換"ができるメリットもある。充電の必要がなく大容量のエネルギーを取り出せることから、電気自動車での利用に期待されている。

このほか、水素などを燃料として使って発電する「燃料電池」も開発が進んでいる。燃料を補給すれば発電を継続できるため充電が不要で、発電効率が高いことも知られている。上記のリチウム-空気電池も、金属リチウムなどを補給することで発電できる一種の燃料電池と考えられる。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。