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ワイヤレス給電

2011.12.22

Updated by Naohisa Iwamoto on December 22, 2011, 00:00 am JST

充電池に電力を蓄えて利用する機器が、身の回りに急増している。昔ならばヘッドホンステレオでも乾電池を入れて使ったが、現代のモバイル機器はほとんどが充電池で駆動する。携帯電話/スマートフォン、タブレット端末、ノートPC、デジタルカメラ、ボイスレコーダー、音楽プレーヤー、携帯ゲーム機などなどだ。

これまで、充電には何らかの接点が必要な場合が多かった。家庭や職場のACアウトレットからケーブルで機器につないだり、バッテリーを取り出してアダプターに入れたりする手間がかかる。非接触で電力を供給する「ワイヤレス給電」の仕組みを使うと、こうした手間をなくして充電台に載せるだけで充電できるようになる。電磁誘導の仕組みを使うことで、接点やケーブルによる直接の接触なしで電力を供給できる。無接点型の給電というわけだ。

充電器としては、電磁誘導を使った無接点型給電はこれまでにも携帯電話などで実用化されている。卓上ホルダーと携帯電話端末の間を無接点型の給電にすることで、カチッと押し込まずに充電できる製品がある。接点に金具や水が触れてショートするといった心配もないため電動歯ブラシなどでも使われている。こうした無接点型給電がモバイル分野で再度注目されている。その理由の1つは、国際団体が定めた標準規格「Qi」(チー)の存在、もう1つは既存の携帯電話よりも電力を消費するスマートフォンの普及にある。

Qiは、国際的な団体「Wireless Power Consortium」(WPC)が定めるワイヤレス給電の規格。平面の充電台に対応機器を載せるだけで安全な充電が可能になる。充電台の上に載せた対応機器の位置により、充電コイルが自動的に最適な位置に移動するムービングコイル方式も採用する。「Qi」には、準拠した機器を判別するためのロゴマークがある。Qiのロゴマークが付いた対応製品は、メーカーや製品種別などを問わず同じロゴマークの付いた充電台で充電が可能だ。

Qiに対応した携帯電話/スマートフォンは、2011年8月発売のNTTドコモ「AQUOS PHONE f SH-13C」(シャープ製)が世界初の製品である。NTTドコモではQiを使ったワイヤレス給電を「おくだけ充電」と名づけ、着実に展開を続けている。2011年冬〜2012年春モデルでは、シャープ以外にもNECカシオモバイルコミュニケーションズや富士通の製品でも「おくだけ充電」対応機種が登場している。おくだけ充電に対応した充電台「ワイヤレスチャージャー01」も提供する。

街中のスポットで手軽に充電

▼世界初のQi対応スマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」と充電台
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おくだけ充電により、コネクタの抜き挿しといった手間が省けるメリットは大きい。さらに、最近は防水型の機器が増え、充電の際にコネクタカバーを開けずに済めば防水性能を保ちやすいという利点もある。

一方で、異なる課題の解決手段という側面もある。スマートフォンの普及により機器の消費電力は増えている。しかし携帯電話やスマートフォンに使うバッテリーは、消費電力増に見合うだけ大容量化すると重く大きくなってしまう。そんな中、出先のさまざまな場所におくだけ充電のスポットがあれば、こまめに機器の充電が可能になるという考え方だ。NTTドコモでは提携企業を募り、2012年3月までおくだけ充電の体験ができるようにしている。

例えば、全日本空輸(ANA)の国内線ラウンジ、JTBの支店、マクドナルドやプロントといった飲食店の一部店舗、ホテルや百貨店などで体験できる。将来的に国際規格の充電スポットが全国に広がれば、バッテリーの残容量がなくなることへの1つの解決策になりうる。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。