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[2012年第6週]KDDI、ドコモでまた障害、イーモバは3月にLTE開始、アプリ満足度は「iOS>Android」

2012.02.13

Updated by Naohisa Iwamoto on February 13, 2012, 10:30 am JST

立春を過ぎても、春は名のみと言う通りの厳しい寒さが続いている。ワイヤレス業界でも、春は暦の上だけのことのように、引き続き通信障害が頻発している。

またも通信障害、つながらないネットワーク

KDDIは、2月11日 20時35分から23時59分にかけて、au携帯電話のEメールが利用しにくい状況が起こっていたことを公表した。障害の原因は、KDDIの小山ネットワークセンターにおける通信設備の電源故障。全国の最大約615万台に影響が及んだ。

KDDIでは、これに先立つ2月9日にも、au携帯電話サービスおよび法人系サービスの一部でデータ通信が利用しづらい状況が発生している。16時11分から2012年2月9日17時17分の間で、原因はネットワーク設備の機器故障 。影響は全国の130万回線に上った(関連記事:auで2月11日深夜にEメールが送受信できない障害、615万台に影響)。

au携帯電話におけるEメールの障害について(PDF)
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この週には、NTTドコモでも障害が起こっている。2月7日 14時1分から14時40分にかけて、関西地域(大阪府、京都府、和歌山県、兵庫県、滋賀県、奈良県)で音声サービスが発着信しづらい状況が発生した。加入者交換機と通信ネットワークを接続している機器に不具合があったため(発表資料:2012年2月7日に関西地域で発生した音声サービスが発着信しづらい状況について)。

この報告は、NTTドコモのWebサイトの「通信障害のお知らせ」欄ではなく、「ドコモからのお知らせ」欄に掲載されているため、情報を見つけるのも難しい。1月25日に発生したNTTドコモの大規模通信障害から日も経たっていないにもかかわらず、各社の携帯電話ネットワークには障害が頻発していることには危機感を覚える。

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1月純増はソフトバンクが首位、イー・アクセスは3月にLTEを開始

事業者をめぐるニュースとしては、電気通信事業者協会(TCA)の2012年1月末の携帯電話・PHSなどの事業者別契約数の発表があった。携帯電話3社の純増合計は49万3500で、年末需要で大きく伸びた2011年12月の3社合計110万1500から半減以下となった。携帯電話の純増首位はソフトバンクモバイルで、前月はNTTドコモに奪われた首位を1カ月で奪還した。LTEサービスのNTTドコモのXiは、32万1100と続伸し、累計契約数も146万500まで伸ばした(関連記事:1月の携帯純増はソフトバンクが首位奪還、ドコモはXiが伸びるも失速)。

1月の携帯純増はソフトバンクが首位奪還、ドコモはXiが伸びるも失速
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一方、TCAへの情報提供を取りやめたイー・アクセスは、イー・モバイルサービスなどの2015年3月期に向けた中期事業戦略「成長戦略2015」を発表している。その中で同社は、2012年3月までにLTEサービスを開始、2013年3月までにエリアカバー率を70%に引き上げることを明らかにした。通信速度としては、75Mbpsで提供を開始し、112Mbpsへの高速化を進展させる。モバイルブロードバンドネットワークのリーディングカンパニーとして、高速サービスの提供とエリアの拡充を進めたい意気込みだ。

モバイルサービスの加入者数としては、212年3月期末予想の400万契約から、3年で660万契約への増加を目指す。売上高は2012年3月期予想の2030億円から2015年3月期の3500億円へと172%の伸びを、営業利益は250億円から500億円へと200%の伸びを見込む。減少傾向にあるARPUは、2012年3月期の2730円から反転を目指し、3000円程度まで回復させる。また、拡大するスマートフォンへの「再参入」も目指す(発表資料:中期事業戦略)。

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法人利用の安全確保や効率化に向けたサービス続々

法人がスマートフォンや通信モジュールを利用するための製品やサービスがいくつか登場している。まずはスマートフォンなどのセキュリティー対策のサービスから。

NECは、スマートフォンやタブレット端末を管理するMDM(Mobile Device Management)サービスの「スマートデバイス管理サービス」の提供を開始した。端末の管理機能を提供するクラウド型のサービスで、機能としては、端末の利用状況のチェック、盗難・紛失時の情報漏えい防止措置、ソフトウエア更新、データのリモート消去などを備える。第一号ユーザーは出光興産で、スマートフォンの運用管理を行う(関連記事:NECがモバイルデバイス管理サービス、出光興産が第一号ユーザー)。

【別紙】サービス概要図(PDF)
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KDDIも、auスマートフォンを利用している法人に対して、スマートフォン管理サービス「エクストラメニュー」を提供する。スマートフォンのデータバックアップやWi-Fiなどの遠隔設定、SDカードの利用制限といったセキュリティー機能が利用できるようになる(報道発表資料:auスマートフォン管理サービス「エクストラメニュー」の提供開始について)。

また、M2M用途などで機器に組み込んで利用する通信モジュール関連の製品とサービスも発表があった。KDDIは、「KDDI通信モジュール」を遠隔から監視・操作できる運用支援サービス「KDDIモジュールリモート管理サービス」(KDDI MRMS)と、これに対応する新製品2モデルの提供を開始する。KDDI MRMSの提供で、これまでは通信モジュールの状況を確認したり機能をON/OFFしたりするには作業員が現地に出向く必要があったが、KDDI MRMSを使うことで遠隔から操作が可能になり、運用の負担やコストを低減できる(関連記事:KDDI、M2M向け通信モジュールに新製品とリモート管理サービスを提供)。

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アプリもマーケットもiOSに一日の長

iOSとAndroidの両雄について、アプリに関する調査が複数あった。これらの調査からは、いまだiPhoneなどのiOS端末利用者のほうが、Android端末利用者よりも満足度が高い状況が続いていることが見て取れる。

1つはICT総研が発表した、スマートフォンおよびタブレット端末のアプリの需要動向に関する調査の結果。それによると、日本市場の国産アプリの構成比は52%であること、またアプリのユーザー満足度は、iOSが70.2%、Androidが60.2%と、iOSのアプリの満足度が10ポイント上回る結果となりiOSアプリのユーザーのほうがAndroidアプリのユーザーよりも満足度が高いことなどがわかった(関連記事:iOSアプリユーザーはAndroidアプリユーザーより満足度が10ポイント高い--ICT総研)。

もう1つはMMD研究所が発表したスマートフォンアプリに関する調査の結果。アプリマーケットの使い勝手に満足しているのは、iOSユーザーでは約7割、Androidユーザーでは5割弱--との結果が得られた。スマートフォンの購入時期は、iOSでは2010年が31.3%、2011年が57.3%であったのに対し、Androidは2010年が13.1%、2011年が75.9%となった。アプリマーケットの使い勝手は、「すごく使いやすい」と「使いやすい」の合計が、iOSユーザーでは69.0%となったのに対し、Androidユーザーでは46.4%にとどまった(関連記事:アプリマーケットの使い勝手、iOSユーザーがAndroidユーザーより高評価--MMD研究所調べ)。

ソフトバンクグループから個人向けのサービスや製品

スマートフォンを楽しく、便利に使うためのサービスと製品がソフトバンクグループの2社から発表されている。

ソフトバンクモバイルは、スマートフォン向けに「待ちうた」サービスの提供を開始した。待ちうたは、電話をかけてきた相手に対して、呼び出し音の代わりに設定した音楽などを流すサービス。携帯電話向けに提供してきたものを、スマートフォンへも拡充した。対象は、OSがAndroid 2.2以上のSoftbank スマートフォンである(報道発表資料:「待ちうた」をSoftBank スマートフォン向けに提供開始

ソフトバンクBBは、録画したテレビ番組をiPhoneなどで見られるようにする「ポケットサーバー for iPhone/iPad」を2月24日に発売する。利用法は、まずパナソニックのブルーレイ/DVDレコーダー「ディーガ」で録画した番組をSDカードにコピー。そのSDカードをポケットサーバーのSDカードスロットに挿す。これにより、iPhone/iPadから無線LANを介してテレビ番組を視聴できるようになる。テレビ番組の保存だけでなく、動画や写真、音楽ファイルなどの外部ストレージとしても利用できる(関連記事:SoftBank SELECTION、ディーガに録画したテレビ番組をiPhoneやiPadで高画質再生できる「ポケットサーバー for iPhone/iPad」を発売)。

ポケットサーバー for iPhone/iPad
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昨年の第6週のできごと

・スマートフォン人気は誰にメリット?
・MWCに向けての発表が相次ぐ
・日韓のNFC実験はKDDI、ソフトバンクも
・4G、ワイヤレス給電など新技術も

[2011年 第6週]ケータイ純増はKDDIが最下位、モバイルワールドコングレスに向けた国内企業の発表も

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。