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「アプリ開発者がデータ通信料肩代わり」- AT&T幹部の発言が波紋

2012.02.28

Updated by WirelessWire News編集部 on February 28, 2012, 11:16 am JST

AT&Tは欧州時間27日、現在バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2012」(MWC 2012)で行われたインタビューのなかで、ウェブのコンテンツプロバイダーやアプリ開発者に対し、ユーザーが負担するデータ通信料金を肩代わりできるようにするオプションの提供に向けて準備を進めていると語った。

同社のネットワーク&テクノロジー部門で責任者を務めるジョン・ドノバン(John Donovan)氏は、この新サービスを電話のフリーダイヤルにたとえ、AT&Tのユーザーがデータ通信料金を気にせずにアプリをダウンロードしたり、動画や音楽のストリーミングサービスを利用できるようになることから、サービス提供者やアプリ開発者にとってもメリットがあると説明したという。

ドノバン氏によると、この計画に対しては、すでに複数の企業が興味を示しているという。

AT&Tは米携帯通信事業者のなかでいち早く従量制課金に移行、また最近ではデータ利用量がとくに多い一部のヘビーユーザーに対し、一定のレベルを超過した場合に速度制限をかけるといった動きにも出ていた。

スマートフォンなどの急激な拡大に伴って、このデータトラフィック急増に対応するための周波数帯の確保やネットワーク増強に要する負担増大は携帯通信事業者各社に共通する頭痛のタネとなっている。

AT&Tのこの計画に対しては、すでに反対の声もあがっている。GigaOMでは、アプリ開発者やウェブサービス企業が規模の大小に関わらず影響を受ける可能性があり、それによってイノベーションが停滞する恐れもあるとしている。また、TNWではアプリ開発者がAT&Tユーザーに自らのアプリを提供しなくなるといった可能性を挙げ、これは「AT&Tにとって自殺行為」としている。また同ブログは、年間150億ドルもの利益をあげるAT&Tは、こうした新たな収入源の確保に走るよりも、LTE網の整備に注力して、ネットワーク・サービスの部分で勝負すべきと記している。

【参照情報】
AT&T Plan Would Let App Makers Pay for Subscribers' Data Use - WSJ
AT&T's mad, mad plan to charge wireless app developers - GigaOM
AT&T misses the point again, thinks that developers will want to pay for your data - TNW
AT&T、ヘビーユーザーへの「速度制限」を実施 - データ通信量などは明示されず
データ通信料の従量制課金、ユーザーには不評 - 米調査

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