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[2012年第12週]モバイルトラフィックは前年比倍増、Xi200万契約、名古屋の地下鉄がエリアに

2012.03.26

Updated by Naohisa Iwamoto on March 26, 2012, 14:30 pm JST

南国からは桜の便りが聞こえてきたけれども、首都圏では本格的な春の到来はまだこれから。そうした中で、昨年のモバイルトラフィックが一気に花開き急増しているとう調査結果が発表されている。

スマホで急増するトラフィック

総務省が発表した「我が国の移動通信トラヒックの現状(平成23年12月分)」によると、2011年12月の月間平均モバイルデータトラフィック(上り・下りの合計、以下同じ)は、1年前と比べて2.2倍と急増していることが明らかになった。月間の延べトラフィック量は60683TB。1加入者あたりの月間平均トラフィック量は1430bps、1加入者あたりの月間延べトラフィック量は479MBとなった。

トラフィック量増加のスピードは2011年以降加速しており、総務省ではその原因を「各社のスマートフォン利用者数の増加や、動画等の大容量コンテンツの利用増加等が主要因と推測される」としている。ちなみに、2011年3月末現在の携帯電話加入数全体に対するスマートフォン契約比率は8.8%と推定されており、2012年3月末には23.1%、2015年3月末には50.9%というペースで増えていくことが予測されている(関連記事:国内のモバイルデータトラフィックは1年間で2.2倍に 1加入者あたり月間トラフィックは479MB)。

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3Gネットワークからのデータトラフィックをオフロードする狙いもあるNTTドコモのLTEサービス「Xi」は好調に推移している。ドコモはXiの契約数が3月18日に200万を超えたと発表した。2011年末からXi対応スマートフォンを順次ラインアップに加えた効果などにより、およそ3カ月で100万契約から200万契約へと倍増した(関連記事:ドコモの「Xi」が200万契約を突破)。

より便利に、地下鉄や海外でのサービス拡充

携帯電話やスマートフォンの利用エリアを広げ動きもあった。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの携帯電話事業者4社は、名古屋市営地下鉄 東山線「名古屋駅〜今池駅」区間で駅間トンネル内における携帯電話サービスを開始する。2012年3月27日にから利用可能になり、駅構内だけではなく、各駅間のトンネル内でも通話やデータ通信が可能になる。東山線の上記区間以外および名城線、名港線、鶴舞線、桜通線は、2012年度以降に順次サービス開始する予定だという(報道発表資料:名古屋市営地下鉄「名古屋駅〜今池駅」駅間トンネル内における携帯電話サービス 3月27日 (火) より提供開始

海外でのサービスとしてKDDIは、海外でのパケット通信料を定額にできる「海外ダブル定額」の対象事業者に18事業者を追加すると発表した。日本時間の4月1日0時から利用できるようになる。追加される18事業者には、カナダのRogers Wirelessやヨーロッパ各国のVodafone、T-Mobileなどが含まれる。今回の追加で、タジキスタン、ウガンダ、ザンビア、タンザニア、ナミビアの5カ国が海外ダブル定額の対象となる国・地域に加わった。(関連記事:KDDI、海外ダブル定額の対象事業者に18事業者を追加

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iコンシェルもスマホで、センバツのARアプリ

その他のトピックスを紹介する。NTTドコモは、ユーザーの生活をサポートするサービス「iコンシェル」をスマートフォンでも利用できるようにした。利用には月額105円の使用料がかかる。スマートフォンで利用できるようにするに当たって、タッチパネルでスムーズな操作ができるインタフェースや表現の採用に加えて、大画面を生かしてドコモ地図ナビなど他のアプリケーションとの連携もできるようにした(関連記事:NTTドコモ、iコンシェルを3月22日にスマートフォン対応へ)。

高校野球の楽しみ方に新風となるか。NTTコミュニケーションズ(NTTコム)と毎日新聞社(毎日新聞)は、新聞に掲載した画像を読み込むことで"センバツ"の関連情報を得られるARアプリを提供し、大会中に実証実験を行うことを発表した。紙の新聞から、スマートフォンを使って電子コンテンツへと誘導するもので、実証実験を通してニーズや課題を調査する(関連記事:NTTコムと毎日新聞、センバツを一層楽しむARアプリを大会中に実験)。

「センバツ84」のユーザー利用イメージ
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インセンティブ競争に一石。日本通信は、同社が提供する音声付きのSIMサービスのすべてについて1年間の最低利用期間を設定したと発表した。これは、携帯電話事業者がMNP(番号ポータビリティ)過度なインセンティブを提供していることへの公開抗議だという。具体的には同社の音声付きSIMサービスのうち、「talkingSIM U300」と「talkingSIMプラチナ」(マイクロSIM版を含む)の提供条件を変更する。2012年3月20日の16時以降の申し込みには1年間の最低利用期間を設定し、1年未満の解約は1万500円の違約金がかかるようになる(関連記事:日本通信、過度なMNPインセンティブに抗議し、SIMに最低利用期間を設定)。

新規事業の立ち上げ。NTTドコモとインテージは、4月2日にドコモ・インサイトマーケティングを設立すると発表した。2011年9月に両社の業務提携に基本合意していたもの。ドコモ・インサイトマーケティングは、ドコモが保有するプレミアクラブ会員約5000万の顧客基盤と、インテージのデータの分析・商品化に関するノウハウを融合し、スマートフォンなどを活用した新しいモバイルリサーチ&マーケティング支援の事業を展開するとしている(報道発表資料:ドコモとインテージの合弁会社「株式会社ドコモ・インサイトマーケティング」を設立)。

目標に着々と接近。KDDは、auスマートフォンで快適なインターネット通信を楽しめる公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」のスポット数が、9万を突破したと発表した。3月末までの10万スポット達成に向けて、2月17日に7万スポット、3月12日に8万スポットを突破とペースを上げ、3月21日には9万に届いた(報道発表資料:公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」のスポット数が9万を突破)。

昨年の第12週のできごと

・新型のXperia、iidaが発売、防犯ブザー付き端末にも新製品
・復興への取り組みも進む

[2011年第12週]新端末の発表や発売など春らしい動きも復活、被災地の気象観測に携帯電話事業者が協力

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。