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[INTEROP TOKYO 2012]クラウド・OpenFlowで元気を取り戻した今年のInterop

2012.06.22

Updated by Tatsuya Kurosaka on June 22, 2012, 10:30 am JST

今年のInteropについて、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)インターネット推進部部長の前村昌紀氏にうかがった。

▼JPNIC インターネット推進部部長 前村昌紀氏
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──今回のInteropの第一印象は?

前村:去年より盛り上がってますね。出展者もお客さんも、みんな元気です。

──元気な理由は何でしょうか?

前村:昨今のインターネットの一大トレンドであるクラウド・コンピューティング、そしてOpenFlowという、ふたつの技術に寄るところが大きいのではないでしょうか。クラウドは様々なユーザーに対するサービス基盤として拡大し続けており、クラウドによって通信サービスが活性化するという図式が明確なものとなっています。OpenFlowは、ネットワーク基盤の仮想化技術として、クラウドとの親和性も高いのですが、いよいよ具体化してきました。こうした分野のソリューションや関連システムを扱うベンダーや通信事業者が活発に見えます。

──基盤技術はどうでしょう?

前村:確かにOpenFlowに比べると下位レイヤーの技術は、少々地味に見えてしまいます。しかし、クラウドなどを支えるインフラとして、非常にクリティカルなため、インターネット全般の屋台骨としての基盤技術への関心が高まっています。例えば、今回のIPv4枯渇対応タスクフォースのブースやセッションも盛況でした。

──今、世界でIPv6が注目されていますが、Interopでは?

前村:IPv4アドレスの在庫が昨年枯渇したことを受けて、IPv6はこれまでとは比べものにならないくらい、大きな流れになっています。日本では早くからIPv6が推進されてきて、一部には「今更感」さえ聞かれるほどですが、早くからの推進によって課題やノウハウが関係者の間で高いレベルで共有されているからこそ、今の大きな流れにつながっていると思います。

NTT東西のフレッツは、閉域網ながら当初からIPv6が導入されています。この閉域性がIPv6インターネットと相性が悪く、最近取り沙汰されていますが、大規模な商用化の実績が運用技術の向上や成熟に果たした役割は一定の評価ができると思います。次に控えるオープンインターネットへのIPv6リリースという課題に向けて、今回のInteropでも対応ルータやトランスレーション機器等の様々な展示がありましたよ。

──通信技術のインターネットへの集約は進むのでしょうか?

前村:現在、ITUがITR(国際電気通信規則)の改定を進めており、そこで通信業務の中にインターネットを盛り込まれる方針になりつつあります。インターネット先進国の私たちからすれば「あたりまえ」という印象ですが、黎明以来一貫して民間主導でルール策定を行ってきたインターネットですから、国際機関であるITUが「インターネット=通信」だと認めて規則に書き込むことのインパクトはとても大きい。各国がこれを元に情報通信政策を定めていくことになるため、新しいITRは世界各国で大きな影響を呼び起こすことが予想されます。

これは条約に基づく規則なので、批准国の法制度の解釈等に影響が及ぶ可能性があり、日本も例外ではありません。ただし、確定したものではありませんので、引き続き注視していく必要があります。

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クロサカタツヤ(くろさか・たつや)

株式会社企(くわだて)代表。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)在学中からインターネットビジネスの企画設計を手がける。三菱総合研究所にて情報通信事業のコンサルティング、次世代技術推進、国内外の政策調査・推進プロジェクトに従事。2007年1月に独立し、戦略立案・事業設計を中心としたコンサルティングや、経営戦略・資本政策・ M&Aなどのアドバイス、また政府系プロジェクトの支援等を提供している。