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[2012年第36週]UQが3カ月連続純増首位、Wi-Fi活用盛んに、Xperia Tablet発売

2012.09.10

Updated by Naohisa Iwamoto on September 10, 2012, 12:00 pm JST

この週、毎月恒例の携帯電話・PHSの契約数の発表があった。電気通信事業者協会(TCA)に数値を公表している事業者で純増数が多かったのはUQコミュニケーションズで、24万5100件と3カ月連続の純増首位だった。携帯電話ではソフトバンクモバイルが21万7200件で8カ月連続の首位を守り、以下KDDI、NTTドコモの順で続いた。NTTドコモのLTEサービス「Xi」は107万6900件の純増で、総契約数を541万1400件まで伸ばした(関連記事:8月の契約数、3カ月連続でUQが純増首位に、Xiも過去最高の純増)。

Wi-Fiを活用するニュースが続々、携帯エリア拡充も

Wi-Fiを活用してサービスを拡充したり、災害時のライフライン確保に役立てるといった話題が豊富になってきた。まず、KDDIは災害時の安否確認手段となる「災害用伝言板サービス」の機能を拡充し、3G、WiMAXに加えてWi-Fi経由でも安否情報を登録できるようにした。加えて、「緊急速報メール (災害・避難情報)」 で配信された情報を「災害伝言板サービス」のWEBページへ掲載することで、すべてのau携帯電話からインターネット経由で情報を確認できるようになった(報道発表資料:「災害用伝言板サービス」の機能拡充について)。

KDDIは前週の8月29日にも、災害時に公衆無線LANサービスの「au Wi-Fi SPOT」をauユーザー以外にも無料で開放する施策を打ち出している。災害時のライフラインとして、Wi-Fiを活用していく方針が見て取れる(報道発表資料:公衆無線LANを用いた災害対策の強化について)。

東日本旅客鉄道(JR東日本)は、東京都と千葉県内の16駅で無料公衆無線LANサービス「JR-EAST FREE Wi-Fi」を10月1日から始める。主に訪日外国人を対象としたもので、16駅構内の90カ所にアクセスポイントを設置。山手線内主要駅と、成田・羽田の両空港、東京ディズニーリゾートなど訪日外国人の多い駅で提供する。登録にはメールアドレスが必要で、英語、中国語、ハングル、日本語による登録が可能。駅構内で無料で利用できるサービスは国内では珍しく、利便性が高まりそうだ。大規模災害時にはサービスを開放し、誰でも利用できるようにする(報道発表資料:訪日外国人のお客さまに向けて、無料公衆無線 LAN サービスを開始します! )。

また山手線の車内で、Wi-Fiを利用したスマートフォン向けの情報サービス「infoPiC」の試行が9月3日に始まったこともトピック。東日本旅客鉄道(JR東日本)はinfoPiC対応車両をまず1編成(11両)投入、11月上旬以降は合計2編成(計22両)に増やし、2013年1月中旬まで試行を続ける。スマートフォンを持った利用者は、山手線車内でインターネット接続サービスや独自の情報提供サービスを受けられる。独自のサービスとして、号車ごとの乗車率情報の提供や車内で読める電子書籍の配信など、公共交通機関ならではのサービス展開を検討する(報道発表資料:山手線車内でスマートフォン向け情報提供サービスを試行します )。

Wi-Fi車内情報提供サービス実験 山手線トレインネット
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鉄道でのサービスといえば、Wi-Fiだけでなく携帯電話サービスも着々とエリアを広げている。東京メトロの路線では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの4社が、銀座線と南北線の一部で携帯電話サービスの提供を9月13日から開始すると発表した。新しく携帯電話サービスのエリアとなるのは、銀座線の銀座駅〜神田駅間、南北線の市ケ谷駅〜後楽園駅間の2区間。9月13日の正午から、駅構内やトンネル内で携帯電話によるインターネット接続やEメールの送信が可能になる。8月30日には丸ノ内線、日比谷線、千代田線、南北線の一部でサービスを始めていて、それに続くものだ(関連記事:東京メトロ銀座線と南北線の一部に携帯電話エリア拡大)。

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顧客の囲い込み、キャリアー各社が方策

この週は、キャリアー各社が各様のサービス施策を示している。まずKDDIは、固定通信サービスとauスマートフォンを組み合わせて利用することで月額最大1480円の割引を受けられる「auスマートバリュー」の対象に、新しく30のケーブルテレビ事業者を加えたと発表した。9月13日以降、これらのケーブルテレビ会社での申し込みを受け付ける。また、KDDIは前日の9月4日にも、四国のSTnetが提供しているFTTHサービス「ピカラ光」をauスマートバリューの対象にし、同日から申し込みの受付を開始している(関連記事:KDDI、30ケーブルテレビ会社で「auスマートバリュー」の申し込みを開始)。

ソフトバンクモバイルはカメラ映像から関連リンクに誘導するプロモーションツールを発表した。提供を始めたのはiPhoneアプリ「かざしてGO!」で、9月4日からダウンロードが可能になっている。パンフレットやポスター、テレビCMなどをカメラで映すことで、商品に関連したサイトなどへの誘導が可能になる。アプリを起動するとカメラモードに自動的に設定され、犬のお父さんのアイコンが掲載されたパンフレットやポスターなどの対応媒体を映すと、関連サイトに自動的にアクセスする。製品・店舗情報などお得な情報を提供するという(関連記事:ソフトバンク、画像認識でお得情報にアクセスできるiPhoneアプリ「かざしてGO!」)。

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NTTドコモはクーポンで囲い込み。スマートフォンで簡単にクーポンを利用できるアプリ「ドコモクーポン」の提供を開始した。ドコモクーポンは、全国54の有名チェーン、約1万6000店舗で割引や特典サービスを使える日本最大級のケータイクーポンだという。ドコモクーポンは、「ドコモプレミアクラブ」会員ならば無料で利用できる。非会員でドコモクーポンを利用したい場合は、ドコモプレミアムクラブに入会する必要がある(関連記事:NTTドコモ、全国54チェーンで使える「ドコモクーポン」アプリを提供)。

イー・アクセスで事故、XperiaブランドのTablet

最近はドコモの通信事故が多く報じられていたが、この週はイー・アクセスで通信トラブル。9月5日 18時51分から音声通話とデータ通信が利用しづらい状況になった。影響のあるエリアとして、当初は19都府県と発表されたが、後に12都府県の一部だったと修正があった。同日の23時34分に全エリアで復旧した。原因は、保守作業時の人的操作ミスとソフトウエアの不具合が重なったこと。これにより、基地局無線機の状態に異常が発生し、通信が不安定となったためとしている。LTEネットワークは影響の対象外だった(報道発表資料:ネットワーク障害について(完報))。

新製品のニュースもあった。ソニーのXperiaブランドのタブレット端末「Xperia Tablet S」で、9月15日に発売する。従来のSony Tabletの後継となるモデルで、スマートフォンのXperiaとブランドを共通化した。ディスプレイは9.4インチ、厚さは最薄部で8.8mmとスリムで、約570gの軽量ボディーを採用した。生活防水(IPX4相当の防滴仕様)を採用し、濡れた手で操作することがあるキッチンなどでの利用でも安心。通信機能はWi-Fi(IEEE802.11a/b/g/n)に対応、CPUは1.4GHzのクアッドコア(NVIDIA Tegra 3)、OSはAndroid 4.0。製品はメモリー容量の違いにより、16GBモデル、32GBモデル、64GBモデルを用意する報道発表資料:Android搭載タブレット端末 Xperia Tablet 発売)。

昨年の第36週のできごと

・端末もアプリもいまだiPhone強し
・LTE、本格的に離陸へ
・新規周波数帯への参入希望は各社LTE
・子ども向け施策、Androidのバックアップなど

[2011年第36週]頑張るiPhone、タブレットが登場したXi、700M/900M参入希望が明らかに

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。