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FOMAからXiへのマイグレーション状況、100Mbps化計画など、ドコモがLTEへの取り組みを説明

2012.11.17

Updated by Asako Itagaki on November 17, 2012, 23:15 pm JST

11月16日、NTTドコモは、ドコモのLTEへの取り組みについて記者説明会を開催した。その要点を紹介する。

docomo LTE Xiの展開状況

LTEの展開状況についての説明は、同社代表取締役副社長 岩崎文夫氏が行った。高速化とエリア展開の観点から、ドコモの現状の取り組みについて説明した。

速度については現状最大75Mbpsのサービスを2013年~2014年度にかけて100Mbps/112.5Mbpsへと高速化。エリアについては、既に全国政令指定都市の人口カバー率100%は達成しており、2012年度末で人口カバー率75%・Xi対応基地局23000局を目標とする。2013年度から2014年度にかけて全国地方都市も含め約98%に引き上げ。2015年度末には人口カバー率約100%を目指す。

11月16日から新潟市、金沢市他10都市の一部エリアで1.5GHz帯を使った100Mbpsサービスを開始(関連記事)。2013年春に東・名・阪・九州を除く全国50都市、2014年春にはそれらを含む全国主要都市に展開する予定である。端末は、同日発売のGALAXY Note IIとXPERIA AXに加え、2012年冬モデル全11機種で100Mbpsに対応する。11月12日に導入エリアの新潟市での計測結果として、下り平均78Mbps以上、上り平均21Mbps以上の計測結果が紹介された。

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FOMAからXiへのマイグレーションについては「順調に進んでいる」と紹介。東京23区でのトラフィックは、2012年5月から11月でXiが1.8倍に増加したのに対し、FOMAは0.9倍と減少に転じている。FOMAのトラフィック減少に伴い、FOMAで使用していた周波数を基地局ごとにXiにシフトする。具体的には、現在800Mhz帯・1.7GHz帯、2GHz帯で5MHz×11波ある周波数のうち、2.1GHz帯の1波だけを使用して37.5Mbpsのサービスを提供していたエリアで、もう1波をFOMAからXiに転用して10MHz幅で75Mbpsのサービスを提供する。75Mbps化対応の基地局は2012年度末で全国4000局に拡大する計画。2012年度末の山手線付近の75MHz対応予定の地図では、東京駅、新宿駅、渋谷駅周辺に密に展開されており、「面として展開することを目的としているわけではないが、結果的にこの近辺では75Mbpsをある程度面としてご提供できるようになると考えています」(岩崎氏)とのこと。

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なお、1.5GHz帯については、東名阪エリアでも既に1波は使えるので、37.5Mbpsでのサービスは先行して開始し、追加の免許が下り次第100Mbpsに高速化する。800MHz帯についてはFOMAは地方エリア中心に展開しておりLTEについても基本は同様の展開を考えているが、都市部の混雑緩和のためにも利用していく。

「エリア密度」を重視した基地局展開

エリア展開については、生活シーンでニーズがある駅周辺や主要集客施設などの屋内でのエリア展開を強調。首都圏での29路線・486駅での調査では屋外の駅ホームだけでなく、屋内となる改札口や駅周辺店舗内でもほぼ8割前後の駅でXiが利用可能であることを紹介した。大規模集客施設についてはIMCSによる専用基地局設置でXiエリア化を進めており、2012年10月末現在で、全国の主要集客施設2,200施設で対策が完了している。また、ビジネスシーンとして特に空港と新幹線の駅をとりあげた。2012年度末には全国53空港、新幹線全駅でXiが利用可能になる。

基地局設置の方針としては「お客様が集中すると、どうしてもスループットがおちてくる。スループット維持のためには密にLTE化をはからなくてはいけないので、我々は(人が多いところには)基地局を密度濃く打つという対策をしました」(岩崎氏)と、スループット重視での配置を強調した。東京23区、政令指定都市の基地局数は他社に比べると1.8倍となっている。さらに、6セクタ基地局の導入でシステムの容量を向上している。

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基地局のラインナップとしては、屋外では6セクタ基地局・3セクタ基地局・オムニ基地局に加え、基地局から光ケーブルによる張出で設置するLTE/3G対応リモート設置型基地局をトラフィック分散やエリア補完に活用する。また、国内では、大規模施設を中心に整備していたIMCSに加え、新たに小規模施設向けにフェムトセルを展開する(参照記事

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会場では、従来(写真左)よりも小型になった新しいリモート設置型基地局(写真右)が紹介されていた。
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なお、エリア化の指標となる人口カバー率については、市町村合併により市区町村役場だけでなく「支所」があるケースが、全体の45%あるが、エリアカバー率の定義では当該市区町村の役場「支所」近辺をカバーできていない場合は人口カバー率は0%となることを実例で示し、「体感よりも数字が小さくなる場合がある」と説明。2012年度末目標の「人口カバー率75%」も、他社が使っているようなエリアをメッシュで区切る「実人口カバー率」で算出すればもっと大きな数字になるとした。

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ただし、指標として「実人口カバー率」を導入するかどうかという質問に対しては、「総務省に提出する導入計画も従来の人口カバー率で算出しており、継続性という点でその方が望ましいと考える。実人口カバー率を導入するのであれば、定義をしっかりとしていただいた上で出したい」(岩崎氏)と、当面は「人口カバー率」を継続して使用する姿勢を示した。

LTE技術開発への取り組み

次いで、ドコモのLTE技術開発の取り組みについて、 取締役常務執行役員の尾上誠蔵氏 が説明した。

まず尾上氏は、LTEの導入にドコモが果たした役割を紹介。2004年にドコモが提唱した「Super3G」の標準化を世界の有力ベンダー・通信事業者に働きかけて3GPPに提案したことでLTE標準化が開始されたこと、また規格提案や必須特許数では世界の通信事業者でトップの数であることを示し、LTEの標準化に大きな役割を果たしてきたことをアピールした。

続いて、ドコモのLTE技術としては高速ハンドオーバー、基地局と交換機の多重接続、スループット向上のためのパラメーター最適化の3つを紹介した。

高速ハンドオーバー機能は、3GとLTEで、ハンドオーバー時に受信が欠落するデータを交換機を通して移動先の基地局に転送して再送信することで、スムーズに通信が継続できる「データフォワーディング」を紹介。LTEから3Gへはすでに対応していたが、3GからLTEへのハンドオーバー時も2012年冬モデル以降の端末では全機種対応する。これにより、「ストリーミングで動画を見ているような時でも、ハンドオーバー時のひっかかりがなくスムーズに見られるようになる」(尾上氏)ということだ。

基地局と交換機の多重接続(S1-Flex)は、LTEネットワーク導入当初から導入している。平時には交換機へのトラフィック分散による設備容量平準化をはかり、交換機の故障時には別の交換機を迂回することでサービスを継続できる。

スループット向上のためのパラメーター調整は、具体的にはLTE通信時の3Gセル探索タイミングの調整である。Xiエリア展開状況によって最適な3Gエリア探索の頻度は異なるので、状況に応じて探索タイミングを低減することで、下りスループットは30%、上りスループットは20%向上できる。

LTE-Advanced

LTE-Advanced(参照情報)については、2015年実現を目指して研究開発に取り組んでいる。LTE-AdvancedはLTEと互換性がある。LTE-Advancedの要素技術として尾上氏はキャリアアグリゲーション・スモールセル(参照情報)とHetNet(用語解説)・MIMO拡張を挙げた。

キャリアアグリゲーションは不連続な周波数帯域をまとめて利用する技術で、最大合計100MHz幅までまとめることが可能。100MHz幅で、最大伝送速度下り1~3Gbpsを実現する。

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今後は、LTEからLTE-Advancedへのスムーズな導入による4Gへの移行をはかる。また、さらに2020年頃の無線アクセスシステムの実現を目指した標準化、技術開発に取り組む。

なお、次のネットワークコンセプトとして「Future Radio Access(FRA)」という名称がスライド上では表示されていたが、こちらについては先日のDOCOMO R&D Open House 2012で紹介されている。

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なお、説明会の本題とは別に、2日前の11月14日夕方にに発生したSPモードの通信障害(報道発表資料)について、原因の説明と謝罪が岩崎氏からあった。通信量増大に対応するためのサーバー増設作業の途中設定を誤りループが発生したため、監視制御系のサーバーが接続されたLANが輻輳状態になたった。その影響でサーバーとネットワーク機器が影響を受けたことが原因。チェック体制の見直しによりミスの発生を防止することと、そもそも監視制御系のパケットがネットワークに影響を与えないような仕組みに見直すことも検討しているとのことだ。

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。