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ドイツテレコムが語る、通信事業者の新たな姿

2013.02.28

Updated by Shigeyuki Kishida on February 28, 2013, 07:56 am JST

MWCでは、充実したブース展示に加え、それと並行して、業界を代表するプレイヤーによる講演やパネルディスカッションが開催される。2013年の今回も数多く開催されたが、その中でドイツテレコムのCEOは通信事業者のあり方について、明快なストーリーを展開していた。

▼ドイツテレコム レネ・オーバーマンCEO
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通信事業者をとりまく環境は、大きく変化。増えるトラヒックに対応するため「より多く」の投資が求められる一方、料金競争、着信接続料金やローミング料金の値下げ規制、周波数オークションによる落札、固定ブロードバンドの急速な整備が求められるなど、その原資は「より少ない」中で、という状況。
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さらに、OTT(参考情報)プレイヤーのパラダイムは、投資した人からお金をもらうというものだが、ドイツテレコムは「本来のあるべき(right)」ことをする、と主張。ただし、OTTのおかげで通信ネットワークを効率化することへの意識が高まった点も指摘した。
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一方で、通信事業自体を取り巻く環境も変わってきた。
・通信ネットワークのイノベーション周期をより短く
・通信のパターンを、ソーシャルメディアから(通信事業者主導の)リッチなコミュニケーション・プラットフォームへ
・仮想化で通信ネットワークの効率を向上
・M2M(参考情報)、モノの世界がつながり始める
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ドイツテレコムが目指す将来モデルは「テルコ・プラス」。
・「スマート」なネットワーク
・「イノベーティブ」なサービス
・「オープン」なカルチャー
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この3点の中でもオープン・カルチャーが重要だとしており、OTTプレイヤーとの関係は「COOPETE(協調し競争する)」ものになるとしている。
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こうした姿を実現するために、「さらなる」効率化を進め
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「さらに」多くのパートナーと「さらなる」イノベーションを目指す
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そのためには、投資効果を損なう規制を緩和することが必要だ、既成概念を変える時だ、と主張。「いつやるか?今でしょ!」といわんばかりだ。
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ドイツテレコムは、規制がないOTTプレイヤーと競争する場面に置かれることが多くなった通信事業者が、従前の枠組みの延長線上で規制されていることを「ナンセンス」と表現していた。

MWC2013では、ドイツテレコムのほか、米AT&T、英ボーダフォンや西テレフォニカも規制緩和を訴えていたのが印象的であったが、その背景には、ドイツテレコムの主張にあるような通信事業者の思いがある。

一方で、通信事業者とOTTプレイヤーとの関係においてパートナーシップが多く語られたことも、今回のMWCでの特徴である。2012年に仏オレンジがOTTとのつきあい方を「フレネミー(Frenemy。あるときはFriend、あるときはEnemy)」と表現していたが、1年経って、その考え方は着実に浸透してきているようだ。

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岸田 重行(きしだ・しげゆき)

情報通信総合研究所上席主任研究員。1990年一橋大学卒業、NTT入社。1997年より現職。海外・国内のモバイル通信業界に関して、サービス動向から企業戦略まで広く調査研究を行っている。「通信事業者はどこへ行く」(「情報通信アウトルック2011」共著)「アプリケーション・ストア・ブームの衝撃」(「情報通信アウトルック2010」共著)「LTEの提供エリアはスムーズに広がるのか-世界におけるLTE普及への展望」(日経コミュニケーション2009年7月15日号)など、記事執筆・講演多数。