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ドコモがモバイルベンチャー支援に本腰 500 Startupsとの事業提携も

2013.02.07

Updated by Asako Itagaki on February 7, 2013, 18:45 pm UTC

2月7日、NTTドコモ(以下ドコモ)は、ファンド運営会社「ドコモ・イノベーションベンチャーズ」およびコーポレートベンチャーファンド「ドコモ・イノベーションファンド」の設立を発表した。また同時に、起業支援プログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」を開始し、第1回プログラム参加チームの募集を開始する。同日、東京都内で、NTTドコモ 執行役員 フロンティアサービス部長 中山 俊樹氏による説明会が開催された。

ドコモ・イノベーションベンチャーズ(以下DIV)は、NTTの子会社として従来よりコーポレートベンチャーファンドを運用管理を行っているNTTインベストメント・パートナーズ(以下NTT-IP)が称号変更するもの。ドコモはNTT-IPの全株式をNTTから譲り受けた。DIVはNTT-IPが従来運用管理していたNTT出資のファンドに加え、今回新規に設立するドコモ・イノベーションファンドも運営することで、2つのファンドを一元的に運営する。また、ドコモ・イノベーションビレッジもDIVが運営にあたることで、ベンチャーコミュニティに対するNTTグループの一元的窓口の役割を担う。

▼設立されるドコモ・イノベーションベンチャーズ、ドコモ・イノベーションファンド、ドコモ・イノベーションビレッジの関係図。
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ドコモ・イノベーションファンドは運用金額100億円、運用期間10年間。ベンチャーのスピード感に合わせた機動的な意思決定ができるよう、投資委員会を設置する。出資対象はモバイルに関連する有望なビジネスモデルや技術を保有するベンチャー企業。スタートアップステージからレイターステージまで、幅広いベンチャーに積極的に投資する。

シリコンバレーのインキュベーターがグローバル展開を支援

ドコモ・イノベーションビレッジは、革新的なアイデア・技術等を有する起業家の支援により、起業家とドコモがパートナーシップを築き、お互いを高めていける場を創出することを目的としている。また加えて、ドコモが取り組む特定のテーマや、特定のデバイスを対象としたサービスを開発者コミュニティにアナウンスすることで、関心を持ってもらい、開発を加速したいという意図もある。

▼2013年春モデルとして発表された2画面のMEDIAS Wを取り出し、「例えばこのような2画面の端末をどう利活用するか、ベンチャーの皆さんの知恵を借りて考えていきたい」と述べる中山氏。
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年に数回、参加チームを募集し、5か月程度のプログラムを実施する。期間中にプロダクト・サービスのβ版をリリースできることが条件。チームへの支援は、ドコモとの協業、営業支援、社内外のメンターによる事業アドバイス、共同オフィススペースの提供、開発環境(NTTコミュニケーションズの「Bizホスティング Cloud」を期間中無償提供)、ドコモの各種API、開発助成金の支給など。国内のB DASH VENTURES他数社のアクセラレーターと連携する。また、プログラム終了後、優秀なサービスを開発したチームには、ドコモとのサービス連携や協業検討、プロモーションや営業支援、ドコモ・イノベーションファンドからの出資検討などの支援を実施する。

大きな特徴は、グローバル展開を意識していること。まずは北米向けとして、シリコンバレーで実績のあるインキュベーター「500 Startups」との事業提携を実現した。グローバルなネットワークを持つドコモの強みが生きた形だ。「若い起業家の方にはアメリカにいってチャレンジしてもらいたいが、我々が応援しただけでアメリカのコミュニティが受け入れてくれるわけではない。500 startupsと組んで、日本の起業家がアメリカで成功できるよう、彼らがメンタリングするプログラムも始めたい」(中山氏)500 Startupsパートナーによる講演やメンタリング、イノベーションビレッジ参加者で北米進出を計画しているチームに対するシリコンバレーでの短期メンタリングに加え、インキュベーションプログラム運営ノウハウの獲得も行う。

▼500 StartupsのDave McClure氏とGeorge Kellerman氏もビデオメッセージを寄せた。
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日本のスタートアップをアメリカで成功させるだけでなく、日本の進んだスマートフォン環境でサービスを開発したいアメリカのスタートアップの進出も期待している。ドコモの海外ネットワークを活用したグローバルなサービス展開も進める意向だ。まずは北米からスタートするが、ゆくゆくはアジアでの支援体制も整え、アジアでの成功を目指すグローバルベンチャーも支援していく意向だ。

第1回プログラムの募集期間は2月7日から3月11日まで。募集テーマは「グローバル・スタンダードになりうる、モバイルを活用したサービス」。なお、「ドコモが提供する製品もしくはサービスで利用できるものとする」という条件がついているが、iOSのみのアプリに関しても「若干難しいところがあるのは確かだが、ブラウザベースでの提供など方法はあるので、個別にご相談させていただく。入口からノーとは言わない」(中山氏)とのことだ。募集要項はドコモ・イノベーションビレッジのウェブサイトで公開されている。

▼ドコモ・イノベーションビレッジ
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日本のベンチャー育成エコシステムに欠けている役割を担う

今回の取り組みの目的について、中山氏は、「日本におけるベンチャー企業育成のエコシステムへの貢献」を強調した。「アメリカではスタートアップをアクセラレーターが応援し、ある程度育つとエンジェル、スーパーエンジェルと呼ばれる人たちが出資して第2ステージへ、そしてアーリーステージのベンチャーにはベンチャーファンドが積極的に投資するというエコシステムができているが、日本ではエンジェルの役割を担う層がまだ薄い。ドコモも含めた企業がそういう役割を果たさないと、日本のベンチャーは育たない」と述べ、日本のスタートアップコミュニティへの貢献に意欲を見せた。

また、会場からの「KDDI ∞ Laboとの違い」を問う質問に対して、中山氏は、「北米連携によりアメリカへの出口とアメリカからの入口を作ること」「ドコモAPIの提供で使いやすい開発環境を整備すること」を挙げた。第1回プログラムで公開されるAPIは、フォトコレクション、電話帳、文字認識、音声認識、知識Q&A アプリ検索、キュレーション、 翻訳、環境センサーネットワーク、サイクルシェアリングを用意しており、今後拡充していきたい意向だ。アプリにとどまらず、世界に通用するビジネス、サービス、「大きな仕掛け」に投資や支援をしていきたいとのことだ。

【報道発表資料】
ファンド運営会社「ドコモ・イノベーションベンチャーズ」およびコーポレートベンチャーファンド「ドコモ・イノベーションファンド」を設立
起業支援プログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」を開始

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。