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──端末をキャリアに縛らないということは、端末で差別化はもうできないということですよね。単刀直入に聞きますけど、じゃあ、キャリアはどこで儲ければいいんですか。

林 : 一番自然なのは、土管屋に徹した商売ですね。通信事業社の収益の基本は月額基本料金の収入だと思います。あとは、土管の部分を上手く売って、MVNOとかで広げていくことでしょうか。他には、これまでになかった領域の通信デバイスを自分達で提案して、メーカーと競合しない形で新しい市場を作っていくという方向性もあるかもしれない。KDDIは特にそっちの方向を模索すべきな気がします。NAVITIMEと組んで始めたLink auなんかは、まさにそんな方向性のいい出発点じゃないでしょうか。今後はおそらくソフトバンクやドコモも、そういった方向を模索し始めるのかもしれません。

具体的にどのようなしくみができるのか、今はっきりとは分かりませんが。提案して事業化するとしたら、その時にはiモードの失敗を繰り返さないことが大事です。iモードも世界進出をしようとしていたけど、結局あきらめてしまいました。成功するためには、それを世界スタンダードにして、メーカーの人達が乗ってきた時に、グローバルで回収できますという仕組みに持って行かなくてはいけません。

----例えば海外のキャリアとうまく乗り入れできるように提携するとかいったことでしょうか。今はローミングがありますけど、もう少し踏み込んで手をつなぐ感じでしょうか。

林 : それはすごく可能性を感じています。今、携帯で一番馬鹿馬鹿しいのは、ローミングのデータ通信料金だと思っています。アメリカで、現地のキャリアで1カ月使い放題を契約すれば70ドルぐらいなのに、ローミングだと下手をすると30万円ぐらいかかってしまいます。それはもう70ドルの方が全然ありがたいので、そのくらいの値段でローミング定額サービスが提供されるなら、喜んで利用します。

ローミングを受けるキャリアの側も、高い料金を恐れてまったく使われないよりも、少しでもお金を払ってくれる顧客を増やした方が得策なはずです。もちろん、それを実現する手続きは大変かもしれませんが、それは一度、しくみをつくってさえしまえば、解決する問題です。そうした提携を何もないところからはじめようとなると結構大変な話になりますが、共通の端末が使えるキャリア間で協力することで可能性は開けてくると思います。

例えば、今、iPhoneを持っている人達の中には、海外のあちこちにビジネスで頻繁に行く層が一定数いると思います。この人達のニーズに応えるということで、例えばiPhoneのキャリア同士で、世界中で連合みたいなものを作ればいい動きができるのではないでしょうか。あるいは、(同じCDMA陣営の)ベライゾンとKDDIで連携を強めていくとか、共通の端末が使えるというところで手を組んでいく方法はあると思います。

第一部:iPadがもたらす新しいユーザーエクスペリエンス
第二部:通信事業者・端末メーカーが生き残るには?(6月4日更新)

文:林 信行

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