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[2013年第13週]進む災害対策、MVNOの動きが活発、新ジャンルのサービス創出へ

2013.04.01

Updated by Naohisa Iwamoto on April 1, 2013, 12:00 pm UTC

東日本大震災から2年が過ぎて、さまざまな災害対策が実際に動き出している。基地局の災害対策や移動基地局車の高速対応、パケット通信で音声メッセージを届ける「災害用音声お届サービス」の事業者間共通利用化などの発表があった。また、MVNO(仮想移動体通信事業者)の動きが活発だったのも特徴。日本通信はレイヤー2接続をKDDIとソフトバンクモバイルに申し入れたほか、BIGLOBEからは低コストで利用できる「ほぼスマホ」の発表があった。

災害対策に基地局の強化、音声メッセージサービスの共通利用

まず、災害対策から見ていこう。この週はNTTドコモとKDDIが、災害時の通信確保などを目的とした携帯電話基地局の導入についてそれぞれ発表している。NTTドコモは、LTEサービスの「Xi」に対応した移動基地局車を導入。KDDIは「トライブリッド基地局」を100局、「基地局バッテリー24時間化」を2000局、設置完了したと発表した(関連記事:基地局の災害対策などに向けて、ドコモはLTE移動基地局車導入、KDDIは基地局の長期停電対策)。

また、電気通信事業者協会(TCA)、NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンクモバイルは、災害時に音声メッセージをパケット通信で届ける「災害用音声お届サービス」を事業者間で相互に利用できるようにすると発表。相互利用を2013年4月1日から開始した。これまで災害用音声お届サービスは、同じ事業者を利用しているユーザー間でしか利用できなかった(関連記事:パケットで音声を届ける「災害用音声お届サービス」、事業者間の相互利用を4月1日開始)。

製品での対応もある。NTTドコモは、機能拡充を図ったFOMAユビキタスモジュール「FOMA UM03-KO」を発売した。既存製品が備えているパケット通信機能、音声通話機能などに加え、緊急速報「エリアメール」に対応。「緊急地震速報」「津波警報」「災害・避難情報」の3つの情報配信すべてを利用できる。また、モジュールを組み込んだ機器の位置情報が確認できる「位置測位機能」、高速通信のFOMAハイスピード(下り最大7.2Mbps、上り最大5.7Mbps)にも対応した。さらに、モジュール内にアプリケーション実行環境を搭載する機能拡充も実施した(報道発表資料:FOMAユビキタスモジュール「FOMA UMO3-KO」を発売)。

FOMA UM03-KO(本体)
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レイヤー2接続申し入れ、低コストな「ほぼスマホ」などMVNOの動き

MVNO(仮想移動体通信事業者)の動きが目立ったのもこの週の特徴だ。日本通信は、KDDIとソフトバンクモバイルの両社にそれぞれ、相互接続を申し入れたと発表した。NTTドコモとは2009年3月にレイヤー2接続を実現しMVNOサービスを提供している。これに続く形でKDDIとソフトバンクモバイルにもレイヤー2接続を申し入れた。日本通信がKDDIとソフトバンクモバイルに相互接続を申し入れたのは、同社が描く「マルチ・ネットワーク・キャリア」のビジョンを実現するため(関連記事:日本通信、KDDIとソフトバンクにも相互接続を申し入れMVNO事業拡大へ)。

NECビッグローブは、Android端末とLTE通信、通話アプリをセットにした「ほぼスマホ」(MEDIAS for BIGLOBE LTE)の提供を開始した。「ほぼスマホ」は、Android端末「MEDIAS NE-202」と、NTTドコモのXiおよびFOMAのエリアで利用可能なデータ通信サービス「BIGLOBE LTE・3G」のSIMを組み合わせて提供する。「050」番号を使える通話アプリ「BIGLOBEフォン・モバイル」の利用できる。料金は、端末と月間1GBまでのデータ通信サービスを含めた場合で月額3950円から。6月末までに申し込むと月額料金を970円割り引く特典が適用でき、月額2980円で「ほぼスマホ」を使える(報道発表資料:BIGLOBEがLTE対応「ほぼスマホ」の提供を開始)。

ほぼスマホ(MEDIAS for BIGLOBE LTE)
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ハイホーが運営するインターネットサービスプロバイダー「hi-ho」(ハイホー)は、NTTドコモのLTE網を利用したサービス「hi-ho LTE typeDシリーズ」の低速時の最大通信速度を現行の128kbpsから4月1日以降は200kbpsに向上させる。また、5月1日から「高速データ通信用データ量の翌月繰り越し」や「高速通信と低速通信の切り替え機能」を提供する(報道発表資料:hi-ho、NTTドコモ対応コースの「hi-ho LTE typeDシリーズ」を機能拡充。低速時の最大通信速度を200kbpsに向上)。

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医療、学習、障がい者のサポートなど多様なサービス

新しいサービス創出の動きも続々とある。KDDIは、医療及び介護事業者向けのサービス商用化に向けた実証実験を行う。愛知県名古屋市の「笑顔のおうちクリニック」と共同で4月1日からトライアルを実施。実証実験では、タブレットを活用した「医療用高機能テレビ電話システム」、「介護記録の電子化」の2つのトライアルを行う。トライアルの第一弾として、千葉県松戸市のサービス付き高齢者向け住宅で2013年4月1日から3カ月にわたって実証実験を行う(関連記事:KDDI、タブレット利用の医療用テレビ電話などを高齢者向け住宅で実証実験)。

実証実験概要
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またKDDIは英Quipperは共同で、スマートフォン向け学習サービス「学習Check」の無料トライアルを実施することもアナウンスしている。「学習Check」は、両社が協業して構築する高校生向けの学習サービス。モバイルに最適化された学習プラットフォームを活用し、スマートフォンを使って一問一答形式で学ぶことができます。通学中や就寝前など、時間や場所を選ばず、好きなときに短時間で効率的に学習ができるなどの効果を狙う(報道発表資料:auスマートフォン向け学習サービス「学習Check」の無料トライアル実施について)。

一方、ソフトバンクモバイルは、障がいのある方が観光を楽めるようにするため、位置情報を利用した情報配信サービス「ふらっと案内」にバリアフリー観光情報を追加した。サービスの第1弾として、NPO法人日本バリアフリー観光推進機構、NPO法人自立支援センターむくの協力を得てと、三重県伊勢志摩周辺のバリアフリー情報を提供する「旅バリふらっと伊勢志摩」を提供する。バリアフリー観光スポットを巡るおすすめの散策コースが表示されるなど、バリアフリー情報を確認しながら観光がしやすくなる(報道発表資料:位置情報を利用した情報配信サービス「ふらっと案内」でのバリアフリー観光情報の提供開始について)。

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引き続き拡充する地下鉄のエリア化

東京都交通局とNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスは、都営地下鉄の全区間の駅構内と列車内で携帯電話が利用できるようになると発表した。都営地下鉄に先立ち、東京地下鉄(東京メトロ)が3月21日正午に全線の携帯電話エリア化を完了させている。都営地下鉄と東京メトロは2011年12月2日に、地下区間を走行する電車内で携帯電話サービスを利用できるようにするとの発表を行った。2012年度中のエリア化を目指して工事を進めた結果、発表から1年4カ月ほどで計画通り携帯電話のエリア化を完了させることになった(関連記事:都営地下鉄もエリア化完了、東京の地下鉄がすべてケータイのエリアに)。

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地下鉄のエリア化では、UQコミュニケーションズからの発表もあった。名古屋市営地下鉄の駅や列車内(一部を除く)でWiMAXサービスを使えるように順次エリア整備を進めていく。サービスを開始したのは東山線(名古屋駅)、名城線(久屋大通駅)、桜通線(名古屋駅、国際センター駅、久屋大通駅、高岳駅)、上飯田線(上飯田駅)。この他の駅、路線については、2013年度以降順次サービスを提供する (報道発表資料:名古屋市営地下鉄で快適な高速インターネットが可能に)。

昨年の第13週のできごと

・movaが終わりNOTTVが始まる
・鉄道関連のエリア拡大で便利に
・新しいLTE端末やサービスの登場、通信事故対策を報告

[2012年第13週]movaが終了、出荷過半数がスマホに、首都圏の鉄道でエリア拡充

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。