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個人が作る、「世界のふつうのくらし」を伝えるメディア

2013.05.17

Updated by Asako Itagaki on May 17, 2013, 13:27 pm UTC

WirelessWire Newsでは日々世界の通信業界のニュースを扱っているが、普段扱うテーマはどうしても企業の動向やサービス、製品の紹介など、「提供する側」の視点に立ったものが多くなる。スマートフォンが世界各地でどのように使われているのか、あるいは人々の暮らしの中にどのように溶け込んでいるのか、伝えることはなかなか難しい。

そんな興味に応えてくれるのが、KDDIの広報サイト「TIME & SPACE ONLINE」ではじまった「世界のアプリ・スマホ事情」という連載だ。第1回は、トルコで織物の輸出入業を営む男性が使う携帯とアプリをとりあげ、「愛用しているのはiPhoneだけど故障中なので家族所有のBlackberry BoldにSIMをさして使っている」「渋滞が激しいイスタンブールでは交通情報アプリが必須」「海外の顧客との連絡にもチャットアプリをフル活用」など、使っているスマホやアプリが、ご当地事情と仕事の流儀と共に生き生きと紹介されている。

この記事を提供している「Biotope Journal」は、金沢寿太郎氏とスガタカシ氏の2人のユニット「退屈ロケット」のプロジェクト。「世界の人とふつうのくらしをつなぐ旅」をコンセプトに、2012年9月から始まった彼らの世界一周の旅の途中で、出会う人たちの日常生活を取材する。自宅や仕事場まで訪問して、さまざまな人の生活と大切にしている「もの」や「こと」を7日間かけて紹介する「人とくらし」、訪れた場所を紹介する「空間と人」がメインのコンテンツだ。

Marija loves "A Game of Thrones" - ベオグラード 彼女の道を照らすのは 第4回より(写真提供:Biotope Journal)
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毎日更新されるサイトを眺めているだけでも楽しいが、彼らの旅をもっと楽しむには週1回日曜日の夜に届くメールマガジンがはずせない。サイトの方は写真が中心だが、メールマガジンでは「フルバージョン」としてその週に取材した人や場所について、文章でじっくり読める。サイトに掲載されていない写真も見ることができる(HTML版は6月から有料)。

VIEW in Central Asia - 中央アジアの車窓より(写真提供:Biotope Journal)
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ネットとモバイルとLCCで世界との距離は近くなったかもしれない。でも彼らが毎日伝える異国の人々の暮らしぶりと、それを通して見える土地の風土や歴史をここ東京で見ていると、世界はやはり広いと感じる。同時に、このような形で、個人が遠く離れた異国の空気を世界中に伝えるメディアを作れるということは、人と人のつながりのあり方が変わってきたのだと思う。

Ibrahim has no nationality - エルサレム オリーブ山の平和の家で 第3回より(写真提供:Biotope Journal)
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彼らの旅は2014年2月までを予定しているが、取材活動に当初予定よりも経費がかかっていることに加え、アベノミクスによる急激な円安の影響で資金が不足してきたため、クラウドファンディング(CAMPFIRE)での支援を募っているそうだ。ぜひ目標達成して、最後まで旅を続けて欲しい。

【関連情報】
Biotope Journal
世界の「ふつうのくらし」をインタビュー!人と空間を伝える世界一周ジャーナリズム(CAMPFIRE)
世界のアプリ・スマホ事情(KDDI TIME&SPACE ONLINE)

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。