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Appleが指紋認証で狙うもの

2013.09.11

Updated by Mayumi Tanimoto on September 11, 2013, 23:41 pm JST

9月10日に発表された「iPhone 5s」には、ユーザーの指紋を読み取る容量性センサである「Touch ID」が搭載されていることが明らかになりました。 Appleが買収したAuthenTecの Scott Moody氏のチームが開発した技術が実機に実装されたわけです。

指紋認証自体は決して画期的な技術ではありません。Motorolaは2011年に指紋認証機能付きのMotorola Atrix を発表しましたが、その機能はデバイスのロックに限られていたこともあり、それほど注目を集めませんでした。しかし、Motorola Atrixよりも進んだ機能を搭載している「Touch ID」はモバイルデバイスにおける生体認証を一般化する、という点で、セキュリティ業界に対する追い風となることは間違いありません。

一方で、興味深い点はAppleが「Touch ID」を軸として、どのような個人情報認証とペイメントシステムのエコシステムを構築していくかという点です。「Touch ID」のペイメント機能が今後もiTunesとiBooks Storeでのみ使用されるのか、それとも、外部ベンダのサービスにも機能を提供していくかです。

要求されるセキュリティレベルの違いなどから、モバイルバンキングや法人向けサービスなど厳しいセキュリティが要求されるサービスには使用されることはないかもしれませんが、例えばイベントチケットの購入、割引クーポンの購入と行いった「カジュアルなサービス」には使われて行く様になるのかもしれません。また「Touch ID」がGoogle やFacebook IDの認証を置き換えて行く可能性もあります。

しかしながら、ユーザーの信頼を勝ち取る道のりは厳しいものになるかもしれません。Edward Snowden氏の事件後、「安全なデータなどない」ということが世界中に知れ渡りました。個人情報保護やセキュリティに興味のあるユーザーの中には、「Touch ID」に対する不安を表明する人も少なくありません。

Appleは指紋データはAppleのサーバにもiCloudにも保存されないと発表していますが、ユーザーから信頼を得るにはAppleは粘り強く説明する必要があるでしょう。

「指紋認証怖いから足の指使うわ」

「Appleが俺の指紋データをゲットするのか」

「ホームボタンとTouch IDのコンボ、避けられないな。NSA が&^%n$##=@@ツヒウH」

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。