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ハイテク・オムツ

2013.09.13

Updated by Kenji Nobukuni on September 13, 2013, 17:00 pm JST

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セールスフォース・ドットコム社創業者のMark Benioff夫妻が2010年、カリフォルニア大学サンフランシスコ校に1億ドルを寄付して作られたベニオフ・チルドレンズ・ホスピタル(Benioff Children's Hospital)で、ニューヨークのPixie Science社が「スマート・オムツ(Smart Diaper)」のテストを行う。

股の部分に背面にセンサーを配したQRコードが印刷されていて、赤ん坊の尿に反応して色が変わる。親はアプリを起動してコードをスキャンする。スマート・ダイアパーは尿路感染症、脱水症、腎障害の検査が可能で、数か月間続けて使えば乳児の体調パターンを把握することができるという。今後は量産化に向けた性能テストとFDA(アメリカ食品医薬品局)による医療機器としての承認を得る手続きを行うことになる。

オムツが濡れたかどうかだけを検出してスマートフォンに知らせる仕掛けと言えば、オムツ・ブランドのハギース(Huggies)がブラジルで、ツイートピー(TweetPee)というガジェットのテスト・マーケティングのようなことをやっている。こちらはおそらく、FDAの承認とは無関係の、育児お助けツール兼、オムツ発注ツールで、開発者の意図は同ブランドのセールス・プロモーションに力点がある。

スマート・ダイアパーは、オムツ交換が目的ではなく、赤ちゃんの健康をトラッキングすることに主眼がある。価格は通常のオムツの3割増し程度になるようだ。平常時には目立たず、小児科に相談すべき状態になったら知らせるという設計らしい。例えば尿路感染症は、状態が悪化して発熱その他の症状が出て医者へ行き、尿サンプルを採って検査結果を待つ間にも病気が進行して、悪くすれば腎臓に障害を引き起こすことがあるというから、毎日の尿検査には大きな価値がありそうだ。スマート・ダイアパーの利用が拡がれば、これまでに得られたことのない多くのフィールド・データが集まって、乳幼児の医学の進展に大いに寄与することにもなるだろう。

確かに本格的な医療目的のスマート・ダイアパーは、オムツ交換を促すだけのツイートピーよりも高尚な考えに基づいて設計されているはずだが、使っている両親には何の面白味も便利さも提供していないように思われる。やはり、もしかしたら病気かも知れないと毎日、オムツのQRコードをスキャンするだけではつまらないが、オムツ交換を促してくれれば、離れて家事をする両親は便利さを感じるはずだ。目的が医療であっても、面白さや目に見える利便性を付加することはできるはずで、そうすることによって、無理なく継続的に利用できるようになるのではないだろうか。

【参照情報】
Pixie Science社のブログ
'Smart Diapers' By Pixie Scientific Promise To Help Parents, Doctors Track Children's Health (VIDEO)
A Digital Diaper for Tracking Children's Health

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来