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LINE、フランス通信事業者ブイグとの提携

2013.11.21

Updated by Hitoshi Sato on November 21, 2013, 16:20 pm JST

LINEは2013年11月7日、2013年7~9月期(第3四半期)の業績を発表した。また同日、フランス通信事業者ブイグ・テレコムとの提携を発表した。

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2013年Q3の業績:好調なゲーム、スタンプ

LINEの連結売上は191億円で前年同期比48%増となった。主力のLINE事業でユーザー数が増加、ゲームやスタンプなどの課金コンテンツによる収入、広告収入などが伸び、第3四半期におけるLINE事業の売上は99億円であった。また今回から従来のグロス計上からネット計上に変更したため、従来のグロス計上で換算すると売上は156億円で同58.3%増になる。ネット計上とはGoogleやAppleなどのアプリストアに支払う30%の決済手数料を除いた金額のうち、開発会社との契約に基づいてLINEが受け取る金額だけを売上として計上したものである。ネット計上の対象は「LINE GAME」「LINE マンガ」のみとなる。ネット計上ベースのLINE事業における売上構成は、ゲーム課金が約6割、スタンプ課金が約2割、その他、公式アカウント・スポンサードスタンプ等になる。

同社の森川社長は今回の業績について「売上については、ゲームやスタンプなどのユーザー課金を中心に堅調に伸びている。加えて、広告事業においても「LINE FREE Coin」などの新サービスが高い評価を得ており、ユーザー課金と広告収入の双方がバランスよく成長している。一方で、LINEはまだ投資フェーズにあり、収益性よりも既存ユーザーの更なる満足度向上に向けたサービス品質の改善に注力しながら、新サービス・新機能の開発や、新規ユーザー拡大に向けたマーケティング活動への投資などを積極的に行っていく」と総括した。

フランス通信事業者ブイグとの提携、グローバル戦略

LINEは全世界で2億8,000万のユーザーに利用されており、直近ではプロモーションを強化したインドで1,000万ユーザーを突破。また中南米やトルコ、イタリアなどで新規ユーザーが増加している。タイ、台湾でもすでに1,000万ユーザーを突破している。またインドネシアやスペインなどでも人気が高い。

そのLINEは2013年11月7日、フランス市場のユーザーの拡大に向けてフランスの通信事業者ブイグ・テレコムとパートナー契約を締結した。ブイグ・テレコムはLINEを最も強力にプロモーションするフランスで最初の企業となる。すでにブイグ・テレコム社の3Gポータルにて紹介されているLINEが、4G(LTE)ポータルでもリストに加わる。4Gポータル(4gbouygues.fr)はブイグユーザがスマートフォンからアクセス可能で4Gネットワークに適したアプリを提供するプラットフォームである。

ブイグ・テレコム社の ISPコンテンツ&サービス部門ディレクターのフランク・アビーシラ氏は以下のようにコメントしている。「4Gネットワークが普及している日本で生まれたLINEは、高速度のモバイル通信の特性を最大限に活かし、ユーザーにリアルタイムでスケールの大きな様々なコンテンツを共有するための手段を提供する革新的なコミュニケーションプラットフォームです。私たちは、フランスの人口の63%を網羅する4Gネットワークを介して、LINEのような楽しく革新的なサービスの発展に貢献できることを非常に喜ばしく思います。」

LINEは今までにもフィンランドの携帯電話メーカーNokiaや、日本でもNTTドコモなどユーザー獲得に向けて提携を行ってきた。今回のブイグ・テレコムとの提携を通じて、今後のフランス市場におけるLINEのユーザー獲得の足掛かりの1つになることが期待されている。フランス市場では「WhatsApp」の人気が高い。今後のLINEの普及が期待されている。同社はOrange、SFRに次ぐ第3の通信事業者である。かつてはNTTドコモと提携してフランス市場でi-modeサービスも提供していた。i-modeの場合は日本と同様にブイグ・テレコムのユーザーしか利用できなかったが、LINEはブイグ・テレコムのユーザー以外であっても誰でも利用が可能である。つまり、ブイグ・テレコムのサイトからダウンロードできるのは同社のユーザーのみだが、Google Playなどから誰でもダウンロードが可能だ。

フランスの携帯電話の全加入者数は約6,300万(普及率100%)である。3G加入者数が約3,200万で、4Gは約50万である。プリペイド比率が20~30%で欧州の中でもポストペイド比率が高い国である。

▼フランスの通信事業者概要
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(公開情報を元に筆者作成)

またLINEではグローバル市場においてユーザーの獲得だけでなく、サービスのグローバル展開についても強化していく予定だ。LINE GAMEについては、現在39タイトルを展開しており、今秋よりフィンランドなど欧州のデベロッパとも連携していくとしている。またスタンプ事業についても、300以上の有名キャラクターを起用しているほか、世界で活躍するスポーツ選手をキャラクター化し、グローバルでスタンプ配信するなど、幅広く展開していくことを目指している。LINEの森川社長は、「目標としていた世界3億ユーザーの獲得を、年内に無理なく達成できる見込みだが、グローバルプラットフォームとしての更なる成長を目指していく」とコメントしている。

LINEのユーザー基盤は世界各国で確立しつつある。これからは「東南アジアや中南米で人気があるLINE」から「スペインに続いて欧州でも人気があるメッセンジャーアプリ」になることと同時に、世界中のユーザーへのサービス提供がこれからも期待される。
LINEの収益のほとんどはゲームやスタンプなどの課金コンテンツと広告収入である。世界中でユーザー基盤が確立され、それらのユーザーに対してゲームやスタンプ購入に繋がることが重要である。LINEの更なる発展とグローバル展開は引き続き注目である。

【参考動画】ブイグ・テレコムの4G紹介動画と広告

【参照情報】
プレスリリース:2013年7-9月期、業績についてのお知らせ
プレスリリース:フランス大手通信事業者ブイグ・テレコムとLINEがパートナー契約を締結

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。