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スマホでオリジナルTシャツを作ろう:ユニクロの「UTme!」と著作権問題

2014.05.21

Updated by Hitoshi Sato on May 21, 2014, 17:25 pm UTC

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ユニクロは2014年5月19日、スマートフォンやタブレットから自分だけのオリジナルTシャツが作れるアプリ「UTme!」を発表した。アプリで自分だけのデザインを作成して注文すると、デザインをプリントしたTシャツが最短で翌日に配送される。価格は1枚1,990円(税、送料450円別)。1枚から注文できる。配送以外にも、ユニクロ銀座店まで取りに行くこともできる。銀座店5階にはTシャツのプリンターが置かれており、2014年8月まで新サービスのデモンストレーションが実施されている。

スマートフォンやタブレットで自由にペイントしたり、文字を配置したり、画像の貼り付けが可能。デザインを決めたらスマートフォンをシェイクすることによって、インクの飛び散りやモザイクなどの加工表現を指定し、適度な加工処理を施すこともできる。

発表直後から炎上した著作権問題

この「UTme!」だが、利用規約をめぐって発表直後からネット上で炎上していた。当初の利用規約では、
「ユーザーは、投稿データについて、その著作物に関する全ての権利(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含みます)を、投稿その他送信時に、当社に対し、無償で譲渡します」
「ユーザーは、当社及び当社から権利を承継しまたは許諾された者に対して著作者人格権を行使しないことに同意するものとします」
と定められていた(2014年5月19日時点)。

この規約についてネットユーザーを中心に、批判的なコメントが相次いだ。このままでは、万が一自分がデザインしたTシャツが大人気となり商品化されるときに、自分が投稿したデザイン、データは全てユニクロ側に著作権があるので、文句は言えない。また、自分がデザインしたものはTシャツにするためにユニクロ側に渡ってしまった以降は、ユニクロの著作権になるので、自分がそのデザインを別のところで利用することはできない解釈になっている。たしかに、これでは「本当に自分だけのオリジナルTシャツなのか?」と疑問を感じてしまう。

ユニクロはユーザーの声を受け、「より多くのお客様に気軽に利用していただけるよう」近く規約を改定し、「著作権はユーザーのもの」という内容に変更するとのこと。変更した規約は5月19日のサービス開始時にさかのぼって適用されるという。

▼2014年5月19日のサービス開始直前の利用規約。
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▼改定後の利用規約。
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(出典:ユニクロ)

誰もがデザイナーになれる時代だからこそ「自分の考えたデザイン」に対する著作権意識、それは「炎上マーケティング戦略」か?

ユニクロの「UTme!」を利用すれば世界中にどこにもないオリジナルなTシャツが安い値段で作成できる。学生のサークル、部活動などでのオリジナルTシャツ作成にも活用も期待される。プレゼント用などにも喜ばれそうだ。現在は、日本だけでのサービスだが、ユニクロはアジアを中心に世界中で展開している。今後、世界中で拡大することが期待される。これからTシャツはスマートフォンで自らデザインして、オリジナルなものを着る時代になるかもしれない。スマートフォンで誰もがデザイナーになれる時代になってきた。

一方で、誰もがデザイナーになれる時代であるからこそ、「自分の考えたデザインは自分の権利である」ことの意識が重要になってくる。今回のユニクロのTシャツ騒動はそれを世間に問いかけた。

様々なアプリやサービスを利用するにあたって、利用規約を読まないで「同意する」をクリックしてしまう人が多いだろうが、自分にとってリスクやデメリットがないか、今後も様々な場面で注意が必要である。

そして今回のユニクロのTシャツ作成アプリの騒動だが、リリース直後に利用規約について、ネット上で炎上し、いくつかのメディアでも取り上げられた。ユニクロが当初からこのことを想定していたとしたら「炎上マーケティング戦略」としてはユニクロが上手(うわて)であった。

【参考動画】

【参照情報】
UTme!
UTme! 利用規約

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。

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