WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

子供たちが糖尿病と戦うためのゲーム

2013.11.01

Updated by Kenji Nobukuni on November 1, 2013, 08:00 am JST

Monster Manor(iTunes App Store)
201311010800.jpg

「モンスター・マナー(Monster Manor)」は製薬会社のサノフィ(仏)がイギリスでリリースした、1型糖尿病の子供たちを支援するためのゲームである。

「怪物の館」と名づけられたコレクション型のこのゲームはiOS版とAndroid版がある。プレイヤーである子供たちは血糖値検査と記録を一日に何度も何度も行わなければならない。指先から少量の血液を採らなければならず、大人にとっても楽しい作業ではない。ゲーミフィケーションによって少しでもこの作業にやる気を出してもらうのがゲームの目的で、プレイヤーの子供が計測値をインプットするとゲームが進展するので、次の検査が楽しみになるという仕掛け。計測値は親や医師にも通知される。

計測値を入れるとピニャータ(pinata)を獲得することができる。メキシコのお祭りで使われる紙などで作られた「くす玉」で、隣国アメリカでもパーティーなどで子供向けによく使われる。これを棒で叩いて割ると中からお菓子やおもちゃが出てくるというものだが、ゲームでは賞品が出て、子供たちはこれを集めるという単純なものだが、実際に試した100人以上の子供の多くは、このゲームに「はまった」ようだ。

糖尿病の子供向けゲームと言えば、ドイツの製薬会社バイエルが日本のニンテンドーDSに接続するアタッチメント(血糖値検査器になっている)「Didget」を取り付け、測定がゲームになる「Knock 'Em Downs: World's Fair」を2010年に発売している。

サノフィの「モンスター・マナー」は専用機ではなくiPhoneと連動可能なiBGStarなどを使うか、市販の他の血糖値計を使って手入力するようだ。単調で楽しくない作業を継続するには、楽しい何かが必要だ。このゲームの開発にはSanofi UKのほか、慈善団体のDiabetes UKと、ゲーム開発会社のAyogo Healthが関わっている。

【参照情報】
Sanofi社のニュースリリース
App makes a game of vital diabetes check
Sanofi launches a monster mobile diabetes game
Bayer Launches Diabetes Management Game for Nintendo DS
iBGStar

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来