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携帯通信端末への「Kill Switch」導入に難色を示す米携帯通信事業者

2013.11.20

Updated by WirelessWire News編集部 on November 20, 2013, 12:03 pm JST

「iPhone」などスマートフォンの盗難・強盗が大きな社会問題となるなか、ニューヨークやサンフランシスコなどでは行政関係者らが「kill switch」と呼ばれる防止策(ソフトウェア)の端末への導入を求めているが、この動きに対して携帯通信事業者各社が難色を示していると、NYTimesなどが伝えている。

「kill switch」はなくなった端末をユーザーがリモートから利用できなくするための仕組みだが、この機能の搭載をサムスン(Samsung)に働きかけていたサンフランシスコのジョージ・ガスコン(George Gascón)検事によると、AT&T、ベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)、スプリント(Sprint)、T-モバイル(T-Mobile)をはじめとする通信事業者各社や業界団体のCTIAが導入に難色を示しているという。

「kill switch」搭載をめぐってて、サムスンとあるソフトウェア開発者との間でやり取りされたメールを目にしたというガスコン検事は、NYTimesに対し、「携帯通信事業者側では、同機能の搭載により、端末の保険料収入に悪影響が生じることを懸念しているようだ」と述べたという。

端末の破損や紛失をカバーする保険料収入は、通信事業者にとって無視できない収益源のひとつだが、同検事は「(利用者の)命にもかかわるこうした問題で、企業の損得勘定が判断を左右するようなことは許されない」などと述べている。

深刻さを増すスマートフォンの盗難・強盗への対策については、すでにアップル(Apple)やグーグル(Google)が、iPhoneやAndroid端末むけに、遠隔地から端末をロックしたり、データを消去できる手段をそれぞれ提供している。ただし、とくにAndroid端末のセキュリティはiPhoneと比べて不十分とThe Vergeでは指摘している。

業界団体のCTIAは、「kill switch」について、ハッキングなどに利用され、本来初期化するべきではない端末のデータが失われる可能性があるとして、導入に反対しているという。

また、米国の通信事業者各社と連邦通信委員会(FCC)は昨年、紛失・盗難に遭った端末を追跡するための共通データベースを作成し、なくなった端末の通信ネットワークが変更されても、端末を利用できなくするという計画を発表した。しかし端末が米国外に持ち出された場合には対処が難しいなど、同データベース計画の欠点も指摘されている。

【参照情報】
Carriers Reject a 'Kill Switch' For Preventing Cellphone Theft - NYTimes
US carriers reportedly oppose Samsung building anti-theft 'kill switch' into smartphones - The Verge
Phone Carriers Reject Anti-Theft Plan So They Can Sell More Insurance -
Theft of an iPhone Sets Off a Cinematic High-Speed Chase - NYTimes
Apple, Google Meet With N.Y. on Phone-Theft 'Epidemic' - Bloomberg

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