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アボガドでもヤギでも使いこなせる者が勝者となる

2013.12.31

Updated by Mayumi Tanimoto on December 31, 2013, 09:17 am UTC

年末です。飛行機に乗って日本の外に行かれる方も多いでしょう。帰国した皆さんが2ちゃんや顔本に書きまくることは大体決まっています。

それは「海外のサービスは最悪だったわ。やっぱり日本は最高ね」です。

ワタクシはいい加減大国のイタリア、イギリス、アメリカに住みまして実感しておりますが、過労死で死ぬ人の屍で成り立っているこの島のサービスはやはり世界最高なのです。ちなみに今日も我が家のネットはぶち切れ状態で電話は混線しています。クリスマスだから技術者も監視人も休みだからです。

日本では最高のサービスが展開される横で、「何々人は師ね」と堂々と書いた愛国ポルノが店頭に並び、偽装食品が溢れ、原発労働者は相変わらず日給1万円かそこらで働いており、汚染水の漏れはガムテームで塞いでいるという大変面白い状況でありますが。

この島の人々に取っては、電車が時間とおりにくることの方が、原発の下水がフランス座の踊り子さんの局部のごとくガムテープで前ばりされていることよりも、重要なのであります。

さて、先日こんな記事を発見しました

フランスのサービスは世界最低って本当?

この筆者の方は、海外経験が豊富らしい金融の方らしいのですが、エールフランスのサービスが最悪だった、という体験をお書きになっておりました。

<引用始め>

"フランスという大国の印象を大きく左右する、その国の玄関であり顔でもあるナショナルフラッグシップの航空会社で低劣なサービスが横行しているのだろうか"

"ちなみに私はこの場で書く前に何度も誠実に該当会社に協議を申し出たが、残念ながらなしのつぶてであり、相手が小さな会社ではなく公共性の高い大規模航空会社であることから、ユーザーの権利向上のためにも今回コラムで触れさせていただくことにした"

<引用終わり>

だ、そうであります。真面目で暇な方のようであります。ワタクシであればさっさと諦めて酒でも飲んでいます。

ワタクシはこれを読んで、ワタクシのあるドイツ人の友人を思い出しました。彼はイタリアや北米などに住んで20年以上になりますが、恐ろしく頑固な人間で、何年たってもどこでも細かすぎるドイツ人様であります。

この人はイタリア人やフランス人、スペイン人、ケニア人、パラグアイ人などに基地○と呼ばれておりました。なぜなら毎日毎日イタリアの電話会社や市役所の適当なサービスに怒りまくり、怒鳴りまくり、手紙を書きまくり、時には電話料金の間違いをEUに訴え、一日数時間、もしくは週末丸々をイタリア人の適当な仕事への文句に費やしていたからであります。

先方の担当者はこの基地○ガイジンを良く覚えております。イタリアは狭い社会です。担当者は他の担当者にこの人のことを伝え、さらにサービスが悪化します。また風の噂に乗って、近所の人や職場の人にもその追求精神と、ドイツ的なやり方を押し通そうとする強引さが伝わってまいりました。当然近所の人には相手にされなくなり、さらに職場でも態度が同じなため、この人の言うことを聞く人はいなくなってしまいました。

昇進もできず、部下も使いこなせず、業者からも嫌われ、まさに四面楚歌でございます。彼の基地○さには細君もあきれており、毎日の様に家を空けて何かしている次第です。

イタリアやフランスでは労働というのは人生の中心ではなく、また、かの地のお客が求めるのは、ドイツや日本の客が求めるものとは違うのでございます。

かの地のお客が求めるのは、時間通りではなくても担当者がルールを曲げてでも対応してくれるルーズさ、人間らしい世間話、笑顔、時間がかかってもうまい飯、機能的には微妙だが手触りやデザインが最高な家具、やたらと壊れるがとにかく美しいバイク、似合わない服であれば「それはアナタには似合わない」と言い切ってしまうプロの対応、といったことであります。

日本の様にマニュアル通りだがルールは絶対曲げないとか、頼んでもないことを機械的にやる、というのは期待してないのであります。真面目だが笑顔もチャームもない人間はバッファンクーロ(ウンコたれ様)なのであります。

そして、かの地では、店もサービスする人間もお客を選ぶのです。シンパティコ(感じが良い)ではない客はウンコたれ様です。

シンパティコかどうかは、人柄、感じ、態度であって、横柄な客はウンコたれ様として扱われるのです。良いサービスを受けるには、働いている人間に「君の髪型は凄く素敵だ」の一言でもいって、気持ちよくなって頂き、たとえ一期一会の間柄であっても、シンパティコでなければならないのです。

それはおかしいといっても、かの地ではそういうものなので、どうしょもないのです。そういうものなのです。

この方は自称世界を股にかけるエリートである様ですが、真のエリートというのは、フランスのワガママ従業員様にもチャームをふりまいて「君、ちょっと頼めないかな♡」と、どんな相手も懐柔して自分の希望を達成する人のことを言うのです。

やれ、どこの国の人間は働かない、どこの国の人間はダメだと延々と文句を言うのはマネージャ(管理者)でも経営者でもございません。異なる労働環境、異なる価値観、異なる宗教、異なる言葉、異なる慣習の人間を説得し、動かしてこそ、真のエリートなのです。

怒らせるツボではなく、動かすツボを知っている人間です。

皆さん、考えてみましょう。口先三寸でアフリカやインドを支配し、面倒くさい国は内乱を起こして自分達以外の人々に戦わせて弱った所で支配したあのイギリス様を。

おフランスはエレガンスとエロスのお国です。一番嫌われるのは、横柄で、脂ぎっていて、金だけは持っているタワケ様にございます。

世界を股にかけるグローバルエリート様はアニメや漫画などワタクシの様なヲタが愛する文化にはご縁がないのかもしれませんが、おフランスにはアニヲタが多く日本語を読める人が大勢いるのです。

全世界から読むことができるインターネッツのサイトにて、フランス様に延々と文句をいうグローバルエリート様が、フランスで袋だたきにあわないことを祈るばかりです。

皆様良いお年をお迎え下さい

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。