医師の診断と処方に従って(=comply)薬をきちんと飲んだり、食事や生活に気を付けたりして治療を受けることを、かつてはコンプライアンス(compliance)と呼んでいた。決められたことをきちんと守るということだろう。
今では企業などが法令を順守することを一般にコンプライアンスと呼ぶようになってきたが、医療の世界では、医師の言いなりではダメで、患者の側も治療法に納得して、それに固執する(=adhere)必要があるということで、服薬順守のことはアドヒアランス(adherence)と呼ばれるようになってきた。薬を飲むという行為に「くっつく(=adhere)」ことが求められている。
ノースカロライナ州ローリーのGema Touch社が開発したGema Kitは、薬をきちんと飲むためNFCとモバイルを利用する。パッシブ型で電池を持たないNFCチップを薄いステッカー(パッチ)にして薬のボトルや容器に貼りつける。薬を飲むたびにスマートフォンを手元に置かなければならないのが面倒だが、薬を飲んだこと──厳密にはおそらく、薬を飲むのと同じ動作をしたこと──を察知してクラウドにアップしてくれる。結果は医療機関などとも共有できるし、個人向けのウェブページで確認することもできる。
薬の容器や包装パッケージにパッチを「くっつける」ことでアドヒアランスを支援するということだろう。
【参照情報】
・GEMAの製品ページ
・Sticky sensors help patients and doctors manage at-home cancer treatment plans
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