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スマートフォンは30秒で充電の時代へ

2014.04.14

Updated by Hitoshi Sato on April 14, 2014, 18:09 pm JST

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イスラエルのスタートアップ企業Store Dotが30秒でスマートフォンの充電ができるバッテリーのプロトタイプを公開した。従来のリチウムイオンなどの金属イオンの代わりに蓄電用の素材として有機物質を用いている。サムスンのスマートフォン「Galaxy S4」で充電を行うデモが公開されている。2016年までに商用化の提供開始を目指しているとのことである。

Store Dotはもともとイスラエルのテルアビブ大学でアルツハイマー研究を行っていた研究室がスピンオフしてできた企業である。アミノ酸の研究過程においてアミノ酸やペプチドがナノクリスタルという微細結晶を構成し、今回のようなバッテリーの代替材料に用いることが可能にしたとのこと。その充電のスピードを同社が公開している動画から見てみよう。

【参考動画】StoreDot Flash-Battery Demo

動画を見ると、充電器はあまりにも大きすぎる。まだ旅行などに持ち運べるサイズではないし、自宅に置いておくのも躊躇される。今後の小型化が楽しみである。

スマートフォンの電池の持ちは数年前に比べるとだいぶ改善された。現在では数日充電しなくとも大丈夫な端末が多い。それにしても30秒で充電ができてしまうのであれば、非常に便利である。スマートフォンはコモディティ化しており、もはやそれ自体で差別化を図ることは難しくなりつつある。これからは充電の速さがウリになる時代なのかもしれない。現在ではまだ「Galaxy S4」のみでしか実証されていないようだが、バッテリーの小型化と同時に対応デバイスの拡大が期待される。

充電のスピードを競う開発は今回が初めてではない。2013年5月には、アメリカのアリゾナ州で開催された高校生向けの国際科学技術大会「Intel International Science and Engineering Fair」においてEesha Khareさんが携帯電話を20~30秒で充電できるスーパーキャパシタ装置を発明して受賞した。こちらはサイズが小さく持ち運びやすい。

スマートフォンの急速充電器の商用化は近そうだ。

【参考動画】Teen's device charges cell phones in 20 seconds

【参照情報】
StoreDot
Gadget claims to charge your phone in 30 seconds with amino acids
Saratoga Teen's Research Takes Science World By Storm

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。