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欧州で強まるグーグルへの風当たり - 独仏の政府閣僚が和解案批判

2014.05.26

Updated by WirelessWire News編集部 on May 26, 2014, 12:29 pm JST

独占禁止法違反の疑いで欧州委員会がグーグル(Google)を調査していた問題で、フランスおよびドイツの政府閣僚が欧州委員会に対し、グーグルが提出していた改善案を却下するよう求めた。これに対し,同委員会のホアキン・アルムニア(Joaquin Almunia)競争担当委員はこの和解案を擁護する考えを示したという。

欧州では現在、欧州議会選挙の開票作業が進んでいるが、この話を採り上げたWSJでは独仏閣僚の発言をこの選挙を視野に入れたものと指摘。欧州では長引く不況を背景に、以前から米ネット企業の税金逃れなどが大きな政治問題になっていた。また昨年に明らかになった米国家安全情報局(NSA)による広汎な情報収集活動の問題、そして先ごろ欧州法廷で「忘れられる権利」を支持する判断が下された市民のプライバシーに関わる問題などでも、欧州各国の政府と米政府・企業との間で摩擦が生じていた。

WSJによると、フランスのアルノー・モントブール(Arnaud Montebourg)経済・生産再建・デジタル大臣は、欧州時間15日にパリで行われたイベントのなかで、「フランスをグローバルなインターネット企業が支配するデジタル植民地にはしたくない」などとし、グーグルと欧州委員会とが今月2月に合意に達していたグーグルの独占禁止関連の是正案についても「我が国の主権に関わる問題」として「最低限の内容しかない和解を受け入れるつもりはない」と述べたという。またドイツのジグマール・ガブリエル(Sigmar Gabriel)経済・エネルギー大臣も先週グーグルの提出した和解案について内容に改善の余地があると述べていたという。

こうした批判の声に対し、ECのアルムニア競争担当委員は、グーグルによる提案が独禁法に関する問題を解決するとの見解を示し、グーグル案を擁護したとBloombergは記している。同記事によると、ECが進めてきたグーグルに対する調査は対象が独占禁止法違反の問題に限られ、ネットワーク中立性、市民のデータ(プライバシー)保護、税制に関する事柄は対象の範囲外との考えをアルムニア委員は示したという。

WSJ記事によると、独・仏政府ではグーグルや他の大手ウェブ事業者に対する規制の強化策導入を視野に入れており、仏政府ではこれらの企業を電話会社並みの公益企業に指定するための新たな法案を今年中に欧州議会に提出する考えで、また独政府のガブリエル経済相はグーグルを分割する考えさえ明らかにしているという。

EU当局は2010年11月以降、グーグルが検索市場における圧倒的な地位を濫用し、自社サービスを優先的に扱ったり、他社のコンテンツを無断で検索結果ページ上に表示したりしている疑いがあるとして、同社に対する調査を行っていた。

これに対しグーグル側は、検索結果ページ上で自社サービスのコンテンツを明確に区別し、競合他社のサービスへのリンクを追加するなどの改善案を複数回にわたって提出。昨年10月以降は3回にわたって改善案を提出していたが、なかなかEU側の合意を得られずにいた。しかし今月2月、アルムニア競争担当委員がついにグーグル案を受け入れ、3年におよぶ調査に解決のめどが立った。

【参照情報】
Google's Settlement with European Union Faces Increased Pressure - WSJ
Google Settlement Is Defended by EU's Almunia After Criticism - Bloomberg
Group Calls for EU to Revisit Google Antitrust Deal - WSJ

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