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サービス化の進むテクノロジー産業

2014.05.14

Updated by Satoshi Watanabe on 5月 14, 2014, 18:51 pm JST

本日発表された角川とドワンゴの経営統合の話(PDFリンク)に話題が動いてしまい、業界ネタ的には既にみんな文字通り昨日のこととして興味の軸から外してしまっている感も無きにしもあらずであるが、auというかKDDIというかのじぶん銀行の件である。
要点を先に書くと、
・金融(銀行サービス)、通信サービスがサービスパーツ化した事例と解せる
・サービス競争、サービス開発競争へのルールシフトの気配
・業界をまたいだセット商品が組まれることで、単体事業者では提供出来ないサービス設計が可能な競争レベルにも
となる。
■ 本件のインパクト
ちょっと難しい言い方から入ると、本件は「結局は、ユーザーのキャッシュトランザクションとサービス利用トランザクション(今回はネットワークサービス利用ログ)にを踏まえていろんなサービス最適化することになるのだし、であればキャッシュログとネットワークログというインフラ性と親和性の高そうなものはもう一緒にまとめて考えた方が良いんじゃない?これまでの業界の枠組み基準に縛られて銀行とか通信で分けて考えててもいいサービスなんて作れないよね?」と言っているように見えてしまう。
もちろん、ユーザーデータをほいほい混ぜてなんでも分析していいという話ではないのだが少なくともフロントサービスの統合や相互乗り入れについては可能であり、現に各種振込手数料の無料化が初期のサービスラインナップに含まれている。
振込手数料無料化は、既存の銀行だと一定以上の資産預りや顧客グレード獲得によって提供されるタイプのサービスであるが、この預かり資産額のところを、auでの契約との形(銀行的に見ると将来CF期待)にて代用している形となる。当たり前であるが、普通の銀行は携帯サービス(あるいは通信サービス)をサービス担保に使う、ということは出来ない。
構図を逆にすると、例えば、「一定以上の預金額のある人or特定の金融商品の利用がある人はパケット無制限使い放題!」といったこともソロバンが合えば提供可能になる。これも、普通のキャリアではそう簡単には提供出来ない。
このような複合サービスが次々出てくる状況になると、大手キャリア3社にのどこにも特段の強い思い入れはなく、そこそこ通話/データサービスが使えれば十分というユーザーにとっては、キャリア選択に従来は無かった考え方が提示されることになる。現に、気の早いユーザーが乗り換えを検討するかとそわそわしている気配が各所に出ている。MNPしてもいい、というユーザーにとっては、まずはセカンドバンクとして触ってみるのは魅力的だろう。
 
 
■ 技術が分からない人の方が偉い競争環境に
サービス競争、としばしば言われるが、結局のところ「サービスに関するカタログメニュー競争」になってしまっているケースは珍しくない。サービス分野にスペック競争の癖を持ち込んでしまうパターンである。
あるいは、なんでもかんでもオプションでつけたりおまけしたりで通販の商品紹介のように積み上がってしまっていることもある。付くのはありがたいが、でもいらないものはいらない。
一言にIT技術と括られる分野は出来る出来ないの勝負から、(特にフロントに近いところは)どう上手く実現するか、どう使い勝手に結び付けるかという方に焦点が向かっている。企業活動のポイントも、機能性能はともかくとして、サービスデザインの巧拙に(若干)競争シフトしている傾向を本件からも読み取れる。
のであるが、そこで言う使い勝手や良いサービスというのは実体として一体なんなのだろうか。給側努力としてはユーザービリティ改善やデザイン改善という形、あるいはネット関係だとグロースハッカーと称されるサービス利用コンバージョン改善を意識した活動セットとして良く語られるところではある。
こういった動きが間違ってるというものではないが、今問われ始めているサービス競争というのはもう少し踏み込んだ状況に入ってきているのではないだろうか。
空気として良く分かるのが豚組の中村さんことトレタの中村氏界隈の動きで、導入店舗の方がこのような声を挙げてらした(念のため:ご本人確認済みでの引用です)。
これまでも、ずっと前からいろんな企業が飲食店のデジタル化に挑んできた訳です。
レジが代表でしょうか。発注業務のデジタル化というのもあったし、顧客管理のヤツもあった。スタンプカード、デーブルオーダーシステムもそうですね。最近は動画、静止画関わらず看板もデジタルになり始めていますね。
でも、どれも本当に使いずらかった。
ある程度PCへの免疫がある僕でも理解するのに時間がかかるし、わからなくなって説明書等々を読もうとしてもその説明書が恐ろしくわかりにくい。
ほとんど技術者向けのものじゃないかと思われるモノを平気でこっちによこすのです。
お客さんの目に触れるモノは、お客さんの目に触れるところはとてもわかりやすいんだけど設定するのが難解、不親切すぎとか。
つい先日僕が気絶しかけたw、デジタルサイネージも恐ろしく不親切なUIとマニュアルでした。マニュアルなんて表紙を含めても10pくらいw
流通外食系はお客さんとして関わったことはないものの、ソフトウェアの提供側にいたこともあるので、もうごめんなさい面目ない、との気持ちでいっぱいになる文章となる。いやはや。
業界内の事情や都合はともかく、お客さんサイド目線として、テクノロジーを届ける、サービスする、というのはもはやこういう話になっているということであろう。お客さんのことを考えて、身になってという紋切り型のフレーズではなく、モデルケースで考えましょうでもなく、もはやお客さんと同レベルの身体感覚が要されているのであり、逆にそこ

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渡辺 聡(わたなべ・さとし)

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教。神戸大学法学部(行政学・法社会学専攻)卒。NECソフトを経てインターネットビジネスの世界へ。独立後、個人事務所を設立を経て、08年にクロサカタツヤ氏と共同で株式会社企(くわだて)を設立。大手事業会社からインターネット企業までの事業戦略、経営の立て直し、テクノロジー課題の解決、マーケティング全般の見直しなど幅広くコンサルティングサービスを提供している。主な著書・監修に『マーケティング2.0』『アルファブロガー』(ともに翔泳社)など多数。